リュクスで美しく、しかも社会の課題解決につながるレザー製品――それを実現しようとしている女性がいる。鮫島弘子さん。今年2月にブランド「andu amet」を立ち上げ、エチオピア産のシープスキンを使い、自らデザインを手がけ、現地で生産しています。鮫島さんがここに至るまでの物語とは?鮫島弘子さん/andu amet代表
リュクスで美しく、しかも社会の課題解決につながるレザー製品――それを実現しようとしている女性がいる。。今年2月にブランド「」を立ち上げ、エチオピア産のシープスキンを使い、自らデザインを手がけ、現地で生産しています。「自分が何をやりたいんだろう、と考え始めたのは短大の就職活動の時です。普通の企業の一般職になるのは違和感があった。ものをつくるのが好きだし、現代アートが好き。そこで専門学校に入って、現代アートを勉強しなおしました。卒業して入社したのは化粧品メーカー。カラーやパッケージ、コピーの企画やデザインを担当しました」「最初は、自分のつくったものが形になるのがうれしかった。。半年経つと型落ちになって廃番、そしてゴミに。もともと環境問題に関心もあったので、社会企業やNGOのセミナーなどに参加するようになりました。そこで、若者が自分のスキルを途上国で教える海外青年協力隊を知って、自分の探していることのヒントがあるかもしれない、と応募しました」「採用され、私の応募したデザイン職ではと聞かされました。最初はブルガリアがいいな、と思っていたのですが......。ちょうどその時、メキシコを旅行中だったのですが、採用が決まってから1週間で3人から、エチオピアの話を聞かされたのです。すごいいい国だ、行くべきだって。」「といっても、エチオピアの現実に最初は衝撃を受けることばかり。貧困はすさまじく、数メートルおきに行き倒れが。それが当たり前の光景だから、誰も助けようともしない。こんなところでデザイナーとしてできることはあるんだろうか、と。人々が援助慣れしていることもショックでした。働かなくてもお金が入ってくるから、何もしない。工芸品センターのデザイナーをしていたんですが、何か企画をしようとしてものれんに腕押しみたいな状態が続いて、1年くらい悶々としました。でも、そのうち、中にはやる気と情熱にあふれたのある人がいることもわかってきた。こういう人たちの役に立ちたいと思い、彼女たちと共に、私がデザインした服のファッションショーを企画。大成功を収めることができました」
「いったん日本に帰ってきてからも、何をするかはまだ漠然としていました。エチオピアのシープスキンの質が素晴らしいので、それで何かをつくりたいとは思っていましたが。ちょうど、ヨーロッパ系の高級ブランドで働かないかと声をかけられたので、みんなから憧れられるブランドについて学べるいい機会だと就職しました。たとえ社会的にいいことでも、おしゃれじゃなかったり、品質が今一つなものはつくりたくなかったので」「そこで、ラグジュアリーブランドの世界観や哲学を身をもって経験しました。使い捨てではなくて、ブランドの世界や哲学に共感した人が買って、子や孫へと受け継がれていく。私はこういうものがつくりたいんだと思いました。シープスキンで愛されるブランドをつくろう。長く大切にされる皮革の総合ブランドをめざし、まずはバッグから始めよう。そう決めて2010年に退職して、会社設立の準備を始めました。しかし、そこからが大変だったのです」 [後編に続く]
(取材・文/エンゼルあつみ)鮫島弘子(さめじま・ひろこ)化粧品メーカーでデザイナーをした後、海外協力隊としてエチオピアに赴任。帰国後、外資系リュクスブランドでマーケティングを担当。2012年にエチオピアシープスキンを使ったレザーブランド「andu amet」を立ち上げ、「リュクス×エシカル」を掲げてバッグなどを手掛ける。2013年1月14日まで、六本木ヒルズでポップアップブティックをオープン。業務拡大のため、2013年2月17日まで「REDYFOR?」にてクラウドファンディングに挑戦中。支援はこちら(https://readyfor.jp/projects/andu_amet)から
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