日本の「おもてなし」が注目されつつありますが、おもてなしの心は今に始まったことではありません。例えば、茶道や華道などの古来からの伝統文化もそれぞれの作法があり、日本では昔からおもてなしの心、そして礼儀を重んじる風習があったのだなと思います。
お辞儀だけで、相手の心を捉えていた武家の挨拶
とくに、昔は武家の家柄などでは、挨拶やいわゆるお辞儀にも並々ならぬ思いが込められていたようです。
書籍『松平家 心の作法』によると、
江戸時代、位の高い方にお目にかかりご挨拶できる機会は、数少ない貴重なチャンスでした。そのため、松平家の人々は作法を磨き、お辞儀だけで、相手の心を捉える、美しい動きをつくり上げていったのです。
『松平家 心の作法』P.2より引用
とのこと。
お辞儀だけで相手の心を捉えるーーいったいどれだけ美しいお辞儀をしていたのだろうと、想像するだけで頭が下がる思いです。
礼儀と美しい心を後世に伝えた「松平家」の女性
「松平家」とは、徳川家の母体となった家系。礼儀作法を重んじる武家の精神は、その末裔にまで細かに受け継がれています。
大正から終戦期まで社会事業家として活躍した松平俊子さんは、そんな松平家に、嫁いだ女性のひとりです。侯爵の娘だった松平俊子さんは、武家の精神と、西洋を知り尽くした一流の侯爵を実父にもっていたことで、松平家の作法、美しい所作、美しい心の持ち方を身につけ、それを後世に伝えた女性でもあります。
そんな松平俊子さんの生き方教本「松平法式」を孫である松平洋史子氏がまとめたのが『松平家 心の作法』です。
美しい挨拶の作法
なかでも、挨拶については、
挨拶は、自分を表現する一番わかりやすいコミュニケーションです。
『松平家 心の作法』P.104より引用
と言っています。さらに同書では、美しい挨拶の基本が紹介されていました。
ポイントは言葉と動作を一緒にしないこと。相手の目を見て「おはようございます」と言ってから、そのあと頭を下げます。ご挨拶は語尾に向かってゆっくりと。「おはよう・ございます」の、「よう」「ます」の言葉尻を丁寧に言うと、さらに心のこもったご挨拶ができます。
『松平家 心の作法』P.104より引用
とのことです。また、ゆっくりと言うとより品のある印象になるようです。
たしかに、このような「美しい挨拶」をしている女性なら品があって美しい人なはず、と思わず想像してしまいます。
しかもこの「美しい挨拶」、まったく難しいことではなく、誰でもできるのがポイントです。とは言うものの誰もが慌ただしく過ごしている現代で、このような挨拶ができる人や風習が限られてしまっているのも現状。でもだからこそ、心がけてみることが必要なのだと思います。
丁寧な挨拶をすることで、美しく品のある女性に近づけるだけでなく、小さな心の余裕も、生まれるかもしれません。
『松平家 心の作法』著者:松平洋史子定価:1,300円(税抜)出版社:講談社
Japanese traditonal residence via Shutterstock
(若松真美)

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