出産後も育児と仕事を両立してバリバリ働く女性が多いイメージのあるアメリカですが、産休の短さや金銭的な理由から出産後仕事をやめる女性も少なくありません。
しかし、今後ワーキングマザーたち自らが声を上げることにより、少しずつ改善されていくかもしれません。
大企業のCEOであるワーキングマザーの訴え
Googleの16番目のメンバーで、社内で初めてに産休を取り、現在はGoogleの傘下にあるYouTubeのCEOを務めるSusan Wojcickiさんは、現在5人目を妊娠中で、同社で4か月半の産休が取れることに感謝していると言います。
しかし、アメリカではそもそも有給での産休は法律で義務づけられておらず、会社の制度で取れたとしても12週間というのが一般的。Googleのように18週間もの産休を認めている会社は少数派です。
これに対してSusanさんは、
「母親に対するサポートは運の問題であるべきではありません。当然されるべきことです」と彼女は言います。「有給の産休は母親にとっても、家族にとっても、ビジネスにとっても良いことなのです。アメリカも他の産休を提供しているほぼ全ての国に加わるという感覚を持つべきです。」
「Business insider」より引用翻訳
と法律で義務づける必要があることを訴えています。
12週間の産休後、子供を託児所に預けて働くことに抵抗があったり、ナニーや託児所の費用を支払えない母親たちは、止むなく産後仕事をやめていく現状があります。
コーネル大学の Blauさんや Kahnさんによると、ヨーロッパ諸国と比較して1/3 近いアメリカの女性の相対的な労働市場への参加の減少は、ヨーロッパの有給の産休や、パートタイムの仕事体系、託児所に対する政策の拡大と、アメリカでのこれらの政策の欠如によるものです。もしもアメリカが同様の政策を取っていれば、女性の労働市場への参加率は2010年までに7%は高くなっていたでしょう。
「The New York Times」より引用翻訳
産休期間を増やすと離職率は50%も減少
筆者の周囲でも、短い産休後すぐにフルタイムで復帰するのは、ナニーを雇えるだけ稼いでいるハイキャリアな女性が中心です。もしくはパートタイムや自宅勤務などの柔軟な働き方ができる人であれば、仕事を調整しながら育児と両立させている人もいます。
幸い筆者は自宅でも仕事が可能でしたので、産後3か月弱で仕事に復帰しましたが、フルタイムのオフィスワークだったとしたらこれだけ早い復帰は難しかったと思います 。
実際Googleでは有給での産休を12週間から18週間に増やしたところ、出産後の女性の離職率が50%も減少したそうです。
「何よりも母親たちは新しい見識を得て職場に戻ってきます」とWoicickisさんは言います。「自らの経験上、母親になったことはより広義な目的や、慈悲心や、優先順位を付け、より効果的に物事を済ませる能力を与えてくれました。」
「Business insider」より引用翻訳
とWoicickisさんが言うように、これまで女性達が仕事で積み上げた経験や実績が、出産を機に止まってしまうのは、女性自身にはもちろん社会にとっても本当にもったいないことです。
日本ではアメリカより長い産休が一般的とはいえ、認可の保育園不足などで思ったように復帰できない女性も多くいます。
今後 、より多くの会社で産休制度や柔軟な仕事の体系が導入されるとともに、個々の会社としてだけでなく、法律で定められたより長い産休の導入や、公立の託児所ができて、女性が出産後も生き生きと仕事ができる社会は日本でもアメリカでも共通する女性たちの願いです。
Woicickisさんのように、多くのワーキングマザーたちが声を上げることにより、少しずつでもその実現に近づいていけるのではないでしょうか。
[Business insider, The New York Times]
photo by Getty Images
(白石里美)
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