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360度どこから見ても美しい。球体に閉じ込められた自然のひとかけら

360度どこから見ても美しい。球体に閉じ込められた自然のひとかけら

家の中に花や植物があると心が和みます。生花はやがて枯れてしまいますが、もしその命の一瞬がガラスの中に永遠に閉じ込められるとしたらどうでしょうか。

自然を閉じ込めたガラスアート

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(C) Ron Farina

そんな想像を実現したのがポール・スタンカードさんのアートガラスの「オーブ」シリーズです。一見すると、ガラス球体の中に本物の植物や虫が入っているように見えます。しかし実は中の草花などもガラスでできているのです。

360度どこからでも鑑賞できる「オーブ」シリーズ

透明なガラス球体(オーブ)の中に、彼が解釈した自然が凝縮されているのが「オーブ」シリーズです。なんとも魅惑的なアートには思わず見入ってしまいます。その中より2点紹介します。

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(C) Ron Farina

こちらの「Flowers and Fuzzy Fruit Series」は、直径4インチ(10センチ)で、花々と細かい毛のようなオレンジの果実の色彩がとても美しい作品です。雄しべや雌しべが伸びている花は本当に生きているようです。

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(C) Ron Farina

「Flowers and Fruit Bouquet with Swarming Honeybees」は直径6インチ(15センチ)で、花にミツバチが集まっています。ブンブンという羽音が聞こえてきそうなリアリズムと、花の美しさに息を呑みます。

ガラス工芸を美術のレベルまで引き上げたポールさん

サンタクロースのような風貌で優しい語り口のポールさんは1943年生まれ。

ドキュメンタリー「Beauty Beyond Nature(自然を超えた美)」の中で、診断はされなかったがディスレクシア(学習障害の一種)があり、学校の成績はよくなかったと言っています。高校卒業後、ニュージャージー州セーラムの職業学校へ進み、科学器具などに使うガラスを作る技術を身につけます。

やがて生業から自分のクリエイティビティの表現の一手段としてのガラス制作へと移行してゆきます。ペーパーウェイトの中に入れる花々に他の職人には見られない本物のようなリアリズムを加え、技術を磨いていきました。

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(C) Ron Farina

ルーブル美術館にも展示された作品

ガラス一筋に50余年、現在はガラス工芸をアートへと引き上げたアーチストとして世界中の美術館やコレクターから高い評価を受けています。作品はメトロポリタン美術館やルーブル美術館を始め、日本でも北海道立近代美術館などで展示されてきました。

ニュージャージー州マンチュアにあるスタジオで、年に制作するのは25点から30点ほどだそうです。1点を完成させるのには200時間から1000時間も費やします。完成品の値段は6千ドルから4万ドルほど(70万円〜470万円)になります。

ポールさんは自分のワークについてこう語っています。

私はレポーターのようなものです。自然(ネイチャー)に応答して、それをガラスの中に表現するんです。(中略)

私のワークは参照的です。細かい部分をガラスに取り込むプロセスが好きです。その細かさによって信憑性が育まれるのだと思います。人々から「一体どうやって花をガラスの中に入れたの? あんな花見たことないんだけど」と言われます。

その「花」は私が考えた花の可能性を表現したものなんです。

Beauty Beyond Nature」より翻訳

コレクターが出版した美術本も

実物を見る機会はなかなかないかもしれませんが、65作品を鑑賞できる本があります。

コレクターのひとりで、ワシントン州タコマにあるガラス美術館の理事を務めるロバート・M・ミンコフ氏が、自らのコレクション65点を掲載した美術書を出版したのです。彼はまた自分のコレクションを展示会などに貸し出しもしています。

写真も素晴らしいのですが、この魅惑的な球体ガラスをいつか手のひらに乗せてあらゆる角度から見てみたいものです。

[Paul Stankard, Beauty Beyond Nature/YouTube, Visiting Stankard Studio/Youtube, Beauty Beyond Nature: The Glass Art of Paul Stankard

(ぬえよしこ)

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ぬえよしこ
通算21年のアメリカ生活=テキサス居住歴の東京テキサス人。立教大学英米文学科卒、北テキサス大学院映画専攻修了。映画・航空・教育業界で、ずっと日本語と英語を使っています。ほどほどに都会、ほどほどに田舎、なんでもでっかいダラスで、好きなことや興味のあることを書いています。

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