おなかが空いている時に食料を買いに行くと買い過ぎてしまうというのは、よく知られています。
スーパーの棚に並んだ商品が何でもおいしそうに見えて、帰宅してから気が付くと、お惣菜などのすぐに食べられるものや、揚げ物やスナックなどの高カロリー食、甘いものなどをいつもより多めに購入してしまった、という経験がある人も多いのではないでしょうか。
ところが、空腹は食料だけでなく、日用品や洋服など、その他のショッピングでも買い過ぎを招くという興味深い研究結果が明らかになりました。
ジャンルを問わずに何でも欲しくなる
ミネソタ大学の研究者たちが379人を対象に行った実験では、空腹状態の被験者たちはそうでない人に比べて、多くのものを求め、購入することがわかりました。
品物は、クリップなどの小さなものから大型テレビまで幅広く、いかに空腹がジャンルを問わずに物欲を刺激するかが明らかとなったのです。
また、デパートで行った実験では、
空腹の買い物客は空腹でない人に比べて多額の買い物をする傾向が見られ、最高で64パーセントも多くのお金を使った。
「The Smithsonian」より意訳引用
といいます。
買い過ぎてしまうのは意志力の問題で、自制心があればコントロールできるもの思っていましたが、どうやらそんなに単純ではないようです。
どきりとさせられる研究結果ですが、空腹時の体内では一体何が起きているのでしょうか。
空腹で目覚める「獲得モード」
研究を行ったアリソン・ジンシューさんによると、
空腹時には胃の中でグレリンというホルモンが産生され、脳内で報酬やモチベーションを司る部分に影響を与えます。空腹になると人間は「獲得モード」に入り、空腹を満たしたいという欲求が、モノを手に入れるための行動を活性化するのです。
「The Smithsonian」より意訳引用
とのこと。
食べるという行為は生存の基本であると同時に、最も大切なこと。それが脅かされると、ヒトの意思決定や行動に多大な影響がでるのも不思議ではありません。
原始時代なら、人間はお腹が空けば狩りに出かけ、木の実や草など、身の周りで手に入る食べ物なら何でも採取したことでしょう。溢れかえるマテリアルの中で生きる現代のわたしたちが物欲を刺激され、たくさんのモノを買ってしまうのはつまり、狩猟をしているようなものなのかもしれません。
空腹になるとイライラしたり、攻撃的になったりしてしまうことがありますが、それも一種の生存本能だと考えれば納得です。
夜中のインターネットショッピングにも注意
ダイエット中には、食べ物を減らす代わりに気づかないうちにモノを買い過ぎていないか、注意したいものです。また、お腹が空きがちな夜中にインターネットやテレビショッピングをするのも、思わぬ後悔を招いてしまうかも。
週末にショッピングしてレストランで外食、という定番のお出かけコースも、買い過ぎを防ぐためには食事を先に済ませ、適度にお腹を満たしてからにする方が良さそうです。
woman sitting on the sofa with shopping bags via Shutterstock
(田上晶子)

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