宮沢賢治が書いた短編小説『よだかの星』。
醜い容姿をもった「よだか」は、皆に疎まれ、鷹からは「鷹の名前を使うな」と改名を強要され、故郷を捨て、最後は星となり今も輝き続けている、というストーリーです。
子どもの頃に読んだこの話を思い出したのは、ある一杯の珈琲を飲んだからでした。原宿にオープンしたばかりの「ヨダか珈琲」の店名は、『よだかの星』が由来のひとつでもあります。
待ち時間を楽しめる店
「ヨダか珈琲」の一番のこだわりはハンドドリップで淹れるコーヒーです。
注文をしてからドリップを開始。その間、店内の好きな席に座って、前面ガラス張りの店内から外の様子をぼーっと眺めるーー。ほんの数分間ですが、ハンドドリップを待っている時間は、とても貴重なものに感じられます。
そして、出されたのが「ヨダか珈琲」。マグカップにはお店のモチーフになっているヨダかが描かれています。ひと口飲んでみると、苦みがは少なくすっきりとした印象。やさしい飲み口なので、さらっと飲めてしまいます。そして何より、「美味しい」と感じてしまうコーヒーです。
実は、ヨダか珈琲のコーヒーはすべて石川県珠洲市にある二三味珈琲で焙煎された豆を使用しています。能登半島の先っちょ、奥能登といわれる場所で焙煎されたコーヒーを東京で飲めるのは、とても貴重なこと。
石川で味わった一杯がきっかけ
二三味珈琲の焙煎豆を使っているのは、オーナーが二三味珈琲を飲んで「なにこれ! 美味しい......」と素直に感じたのがきっかけでした。それまでコーヒーは好きだけれどこだわりのなかったオーナーが、二三味珈琲を飲んで感動し、とにかく「誰かに飲んでほしかった、飲める場所が欲しかった」というのがこのお店のオープンのきっかけです。
ユニークなみたらし団子

そんなオーナーの思いは、コーヒーだけでなくスイーツにも詰まっています。コーヒーショップには珍しい和菓子の半吉だんごもそのひとつ。みたらしとあんこの2種類の味付けは、子どもの頃に食べた素朴な和菓子を思い出させてくれました。
「よだかの星」の世界のように少しのファンタジーと、生きていくつらさや苦みが入り交じった気持ちになる「ヨダか珈琲」。ひとりでふらっと入りたくなるやさしいお店です。
[ヨダかコーヒー]
住所:渋谷区神宮前6-14-11 1階電話:03-6712-6950営業時間:11:00〜20:00
text by 篠田慶子, photo by 玉木知哉
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