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今年106歳で他界。世界最高齢の現役監督が残した幻の作品

今年106歳で他界。世界最高齢の現役監督が残した幻の作品

今年も映画業界ではさまざまなトピックスが賑わせましたが、個人的には現役最高齢映画監督が亡くなったことを思い起こさずにはいられません。

今年、106歳で永眠

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1931年に短編ドキュメンタリー映画で監督デビューしたポルトガルの名匠マノエル・ド・オリヴェイラ監督。

その後、長編作品を製作するも興行的に失敗してしまい映画業界を離れ、家業に携わります。

1954年にサンパウロ国際映画祭で再評価されたことをきっかけに、再び映画に取り組むようになり、数々の国際映画祭で賞賛されるようになりました。何がすごいというと、100歳を超えてもその製作意欲が衰えなかったこと。

精力的に作品を発表し、世界で最も偉大な映画作家として尊敬を集め、今年の4月に106歳でその生涯を終えました。そんな巨匠オリヴェイラ監督が101歳の時に残した幻の傑作『アンジェリカの微笑み』が12月5日(土)より公開になります。

第63回カンヌ国際映画祭では<ある視点>部門のオープニングを飾った今作、オリヴェイラ監督が1952年に脚本を執筆したにも関わらず、映画化されないまま半世紀以上が経ち、その後、監督自らの手で現代の物語として完成させたという作品です。

舞台はポルトガルはドウロ河流域の小さな町ある日、カメラが趣味の青年イザクのもとに、若くして亡くなった娘アンジェリカの写真を撮って欲しいという依頼が入ります。白い衣装に身を包んで横たわる美しいアンジェリカにかメラを向けると、突然、瞼を開き、青年にほほ笑みかけるアンジェリカ。その日以来、青年はアンジェリカに心を奪われ、彼女に想いを馳せるようになるのですが......。

心地いい曖昧さを感じる作品

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設定は現代なのに登場人物は1950年代の服装で、青年は昔ながらの下宿宿に住み、住人たちと食事を共にします。農夫たちはトラクターを使わずに歌いながら畑を鍬で耕したりと見ているといつの時代なのかわからなくなります。

さらに、アンジェリカはすでに亡くなっているものの、青年の前に度々登場したり......。と時代設定だけではなく、物語自体、夢なのか現実なのかも曖昧に。

今回、監督がなくなってしまったことは非常に残念なことですがこうして作品を通して、監督の世界に触れることで監督は生き続けているように思いました。

世界はものすごいスピードで変化をし、価値観はどんどん変わってきているけれど、普遍的なものは変わらないということを人生の大先輩に教えてもらった気がします。

オリヴェイラ監督が生涯、愛し続けたポルトガルの美しさもそのままの姿でスクリーンに。年を重ねたからこそ分かる要素が詰まった大人に観て欲しい作品『アンジェリカの微笑み』。このような偉大な監督は、もう二度と誕生しないかもしれません。

監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:リカルド・トレパ、ピラール・ロペス・デ・アジャラ、 レオノール・シルヴェイラ、 ルイス・ミゲル・シントラ、イザベル・ルート
2010/ポルトガル・スペイン・フランス・ブラジル/97分/カラー
原題:The Strange Case of Angelica
配給:クレストインターナショナル
(C)Filmes Do Tejo II, Eddie Saeta S.A., Les Films De l'Après-Midi,Mostra Internacional de Cinema 2010
12月5日(土)より Bunkamuraル・シネマ他全国順次ロードショー

松崎桃子

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