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40代の失恋は「女としての終わり」だった【スペシャルストーリー】

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40代の失恋は「女としての終わり」だった【スペシャルストーリー】

「気持ち悪い......」

今朝も二日酔い。でも、飲みの誘いを断っては「酒豪の花咲響子」の名折れだ。昨夜は営業チームの若手と中目黒のもつ焼き屋で浴びるほど飲むというハードコース。ひと回りも歳の離れた男たちから「姉さん」と呼ばれるのにも、すっかり慣れていた。

二日酔いでも、6時半にはきっちり起き上がる。朝のBGMはグリーンスムージーを作るブレンダーの音。

スムージーを飲みながら、半年前に引っ越してきた部屋を見渡す。広めのリビングダイニングとベッドルーム。靴と時計とバッグに目がない響子が一番こだわったのは、広いウォークインクローゼット。「さて、今日の勝負服は?」とコーディネートを考えるのがたまらなく楽しい瞬間なのだ。

今朝の響子が手に取ったのは、シックなネイビーのワンピース。そしてお気に入りの腕時計を着ければ準備万端、オンモード。

後輩の遠野有香とのランチを終えてから、響子の胸はざわついていた。

新入社員でまだミスは多いけど、「あの子はデキる」と響子は一目置いていた。その有香がランチのときに見せた、弱々しい顔。どうやら失恋したらしい。話しをするうちに肩の力が抜けたようで、「大丈夫です」と明るく笑っていたから心配ないだろう。たっぷり泣いて笑って女は成長するもの......。

「失恋ねぇ」と我が身を振り返って、息を吐く。もはや響子にとっては遠い記憶だ。

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響子にだって男がいないわけじゃない。ただ、「恋人」と言いきる自信はない。1年前に出会った哲哉。45歳、独身。仕事と趣味を謳歌している。月に1度はデートらしき食事をし、体を重ねる。でも「付き合おう」という契約を言葉で取り交わしたことがない。

むしろ響子のほうが、2人の関係性をクリアにすることを避けてきたところがある。「私たち、これからどうなるの?」などと詰め寄る重い女になったらアウトだ。40歳の響子にとって、それは恋の終わりであると同時に「女としての終わり」を意味していた。つまり、これが響子のラストラブ......。

――でも。有香を通して、「失恋」という甘く苦いその味を思い出してしまった響子は動揺していた。落ち着くために、いつものカフェでコーヒーを頼む。やわらかな笑顔の女性店員がテーブルまで運んでくれた。左手には結婚指輪と品のいい腕時計が光っている女だった。

響子は、無性に哲哉の顔が見たくなった。

「今日、会える?」

これまで響子が絶対に使わなかったフレーズ。勢いでメッセージを送信して、デスクの隅にスマホを押しやった。どうせ返信はないだろう。既読になってから2日後、というのが哲哉のペース。

ところが、スマホのバイブレーションに響子の体そのものが震えた。そっと画面に目をやると、「ちょうどよかった。今夜、会おう。大事な話があるから」と、まさかの哲哉からの即レス。

「大事な話......」

来たな。これはきっと、別れ話なのだろう――。

響子の「最後の恋」の行方は後編で>>

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イラスト/MIYUKI OHASHI

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