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「出身」はもっと流動的でいい。マルチローカルという逆転発想

「出身」はもっと流動的でいい。マルチローカルという逆転発想

新年度になりました。新しい人と会うと話題になるのが、「出身」です。

「ご出身は?」「Where are you from?」というのは、よくある質問です。国籍か出生地、または、住んでいる都市を答えるのが普通でしょう。

でも、アメリカ在住の私にとっては、質問相手や場所によって答えが変わる、微妙な質問なのです。

私がテキサス州内のほかの街で出身をきかれたら、ダラスと答えます。しかし、他の州や外国で聞かれたら、テキサスと答えます。アジア系の人から質問されたら、日本。日本人に聞かれたら、東京。

同じ質問でも、答えが変化するのです。

「出身」のとらえ方が一変するスピーチ

この「出身」について、視点が一変するTEDトークを紹介します。

タイトルは、「Don't ask where I'm from, ask where I'm a local」、つまり、出身を問うときには、どこが地元なのか、どこが生活拠点なのかを尋ねようという提案です。

作家・写真家のタイエ・ セラシさんは、ナイジェリアとガーナからの両親の元、ロンドン生まれ。ボストンで育ち、ローマとベルリンで生活しています。

2013年、セラシさんは、著書の宣伝のために14か国を回りました。講演のたびにさまざまな紹介をされて、違和感を感じずにはいられなかったそうです。

出身地より生活拠点を重視。マルチローカルという考え方

生活や文化の基盤が数か国、そして複数の都市に及ぶ彼女は、「マルチナショナル(多国籍)」と呼ばれてきました。でも、自分は「多国籍」ではない、と20年以上感じていたのです。

このツアーの途中で、セラシさんは、自分は「マルチローカル」なのだと気づきました。つまり、人の出身は、国籍ではなく、自分が過ごす地域とそこでの経験だという結論に達したのです。

「ご出身は?」と聞く代わりに、「あなたの地元、生活拠点はどこですか?」と質問すれば、相手のことがもっとわかるし、たくさん共通点も見つかるでしょう。

例えば、フランス出身と言われても、フランスの固定概念が頭に浮かぶだけです。

でも、フェズとパリが地元だと言われたら、おまけにグットドール地区と言われたら、いろいろな経験が思い浮かびます。私たちの経験こそが、出身なのです。

TED」より翻訳引用

「出身」はもっと流動的でいい

セラシさんが感じていた違和感。それは、3県1府1都で育ち、日米で暮らしてきた私が、漠然と感じていたことでした。だから、プロフィールでも東京テキサス人と言ってきたのです。

東京もダラスも私にとっては「帰る」場所。子ども時代はずっと関西だったので、食に関しては関西人。東京とダラスでも生活がもっとも長く、そこが家族のいるところ。これらすべてが、私の経験であり、「出身」を作りあげているものなんです。

パスポートは取りあげることができても、私の経験を取りあげることはできません。経験は私が内に持っているものだから。それは、どこへ行こうと私とともにあるものなのです。

TED」より翻訳引用

自分のアイデンティティのひとつである「出身」は、出生地や国籍のように固定的なものではなく、もっと流動的で多層的であっていいんだと、セラシさんは教えてくれます。

こちらの発想のほうがしっくりくる人、けっこう多いのではないでしょうか。

自己紹介を変えてみる

生まれ育った街、働く都市、住んだ外国の街、定期的に行く出張先......新年度は、これまでの経験や生活拠点を振りかえって、「出身」を考えなおすチャンスです。

グローバル時代のビジネスパーソンなら、「出身」をマルチローカルととらえることで、国籍が違う相手でも、海辺の街で育った経験や大都市で働く点などに、思いのほか共通点があるかもしれません。話がはずめば、共感や相互理解はもちろん、一生の友情や恋愛の可能性だってありですよね。

次回紹介されるときには、本当のことを言ってもらいたいです。「タイエ・セラシさんは、みなさんと同じ、ひとりの人間です。ひとつの世界の住民ではなく、いろいろな世界の住民です。ニューヨークとローマとアクラを地元としています」というように。

TED」より翻訳引用

今のあなたの「出身」に、どんなストーリーを含めますか。

TED

image via ChameleonsEye / Shutterstock.com

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ぬえよしこ
通算21年のアメリカ生活=テキサス居住歴の東京テキサス人。立教大学英米文学科卒、北テキサス大学院映画専攻修了。映画・航空・教育業界で、ずっと日本語と英語を使っています。ほどほどに都会、ほどほどに田舎、なんでもでっかいダラスで、好きなことや興味のあることを書いています。

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