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携帯充電、残りわずか。街にようやく明かりが【熊本大地震ルポ #4】

携帯充電、残りわずか。街にようやく明かりが【熊本大地震ルポ #4】

携帯電話の体力、残り16%。「あとでまたかけ直す」と友人に伝え、ひとまず母に電話した。

「お母さんは大丈夫。いま、外に出てご近所さんと一緒にいるから」と母。気丈にしているがその声は震えていた。家のなかはめちゃくちゃだけど、家具・家電は倒れていないという。「あなたのところは? 10階だから相当揺れたど?」

「うん、揺れた。電気がまだつかないけど、たぶん本棚とか全部倒れて、台所は食器とかの割れ物でいっぱいみたい」

「ケガせんごと(ケガをしないように)気をつけて移動しなっせ。お母さんが明日片付けにいくから」

「よかよか。危ないから自分でするけん。お母さんはそこにおって。明日様子見て、そっちに帰るけん。携帯はずっと持っとってね」

こんなときでも娘の心配が先だっている。母、強し。

母との電話を切った直後に、Jから着信が入った。彼も無事だったけど、部屋がやはりめちゃくちゃになっているという。「実家と両親の様子を見たあと、そっちにいくけん」とJ。本当は来てほしかったけど、彼を移動させるのも恐かった。これだけの揺れだ。建物も道路も結構なダメージを受けているはず。「危ないからこなくていい」と伝えた。

ベランダから、マンションの非常階段を覗くと、住民たちが次々に下に降りて避難している。消防車やパトカーのサイレン、ビルやマンションの非常ベルが町中に鳴り響いている。見たところ火災は起っていないようだ。

「避難したほうがいいのかな。その前にコムをベッド下から引きずり出さなきゃなあ」。母、J、コムの無事を確認できたことで、半ば魂が抜けて、ベランダでしばし放心した。

20160502_kumamoto_02.jpg猫が、怯えつつも部屋を見渡した瞬間

突然、町が明るくなった。電気が回復したようだ。

急いで部屋に入り、まずはボトムパンツを探してはいた。次に家の照明をつけた。が、つかない。ベッドサイドのスタンドを引きずり出してスイッチをつけると、仕事部屋、そして寝室の照明がふたつとも消滅していた。天井に叩き付けられたのか、見事に砕け散ってしまったようだ。

ベランダにおいていたクロックスをはいて、意を決してキッチンへ向かう。ジャリジャリと割れ物の音がする。キッチンには備え付けの照明があり、そこだけ灯りがついた。

撮影/福島はるみ(熊本城の夜景。歴史ある宇土櫓が震災で壊れる前の姿)

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