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頭が凝り固まってきたら、現代アートでブレイクスルー

頭が凝り固まってきたら、現代アートでブレイクスルー

いわゆる「現代アート」。ひとくくりにはできないほど多種多様でもあり、なかにはバックグラウンドを理解しないと分かりにくいものもあり、難解なイメージを持つ人も多いようです。

私も、とくに現代アートが好きなわけではありませんが、その鑑賞を通して意外な発見があるのも事実です。

たとえば、以前紹介したようにカテゴリーに当てはまらない作品を見るうち、発想の転換の大切さに気づいたこともあります。

空間に分け入る感覚

つい先ごろ訪れたVincent Barré(ヴァンサン・バレ)彫刻展でも、いままで覚えたことのない新しい体験をしました。

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ヴァンサン・バレ展会場 ©冠ゆき

それはひと言で表すなら、作品同士が呼応する空間に分け入っていくという不思議な感覚でした。

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会場で作品について語るバレ氏 ©冠ゆき

バレは、建築から彫刻へと転向したアーティストで、十数年前からは、映像制作も行っています。

この日は、バレ自身が水先案内人をつとめてくれたのですが、冒頭の台詞は、「僕が、いろいろ話すよりも、まずは、どうか見て回ってください」というもの。その言葉に従い、展示場に足を踏み入れたとき感じたのが、上の印象です。

日本の「空白の美」に通じるものも

場所は、フランス北部マティス美術館の一翼をまるまる使った展示会場。最小限の仕切りを用いたスペースには閉塞感がありません。

床には、大きな金属製のオブジェ。壁には、フォルムのデッサンや、ゴム製の変形自由なオブジェが留められています。天井に吊るされたものもあります。

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Série Océania (2000) と、Deaux Anneaux cannelés (2009) ©冠ゆき

見学しながら、日本人の心に一番響くのではないかと思ったのは、その空間の「空(くう)」の使い方です。

よく言われることですが、壁を絵画で埋めてしまうこともあるヨーロッパの邸宅に対し、掛け軸1本しか飾らない日本間、花瓶いっぱいに花をあしらう西欧に対し、数えるほどの花だけで天と地を表す日本のいけばな、など、空白を嫌う西欧に対し、空白を必須のものとみなすのが日本です。

バレの作る空間は、その比較で言えば、日本人の感覚に近い「空白の美」を感じるもののように思いました。

私たちはみな世界のかけらである

また、もうひとつ面白いなぁ、と思ったのは、見学者が三々五々に歩く展示場で写真を撮っていると、見学者もまた展示の一部に見えてきたことです。

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オブジェの一部に見えてくる見学者のシルエット ©冠ゆき

その動きと空間の変化が面白く、何枚か夢中で写真を撮りました。

私たちはみな世界のかけらなんですよ」というバレの言葉が示すように、バレの作品は何かの「かけら」であり、その作品の間をかいくぐる見学者もまた「世界のかけら」なのです。それに気づかせる空間がこのバレが作り上げた展示場であるとも言えるでしょう。

同時に、もしかしたら、こういう目を見開かされるような発見自体、現代アート鑑賞ならではの体験なのではないかと、ひらめくような思いがしました。

忙しい日々を過ごしていると、ときとして毎日が同じことの繰り返しに思えることがあります。

そんな日々が長く続くと、考え方にもパターンができてしまい、なんだか物の見方などが固まってきたように感じることがあります。

そういうときは、できるだけ頭を空にして、先入観を持たずに、現代アートギャラリーや美術館を、ふらっと訪れるのも良いかもしれないと思いました。

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県立マティス美術館、フェヌロン邸とバレの彫刻二点 ©冠ゆき

Exposition 「Sous les grands arbres」Sculptures et dessins de Vincent Barré(ヴァンサン・バレ彫刻デッサン展「大木の下で」)

場所:Musée départemental Matisse(県立マティス美術館)

住所:Palais Fénelon, Le Cateau-Cambrésis, France(フランス、ル・カトー・カンブレジ、フェヌロン邸)

期間:2016年5/1~9/18

Musée départemental Matisse, le cateau-cambrésis

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冠ゆき
山田流箏曲名取。1994年より渡仏。大学院での研究の傍ら、国立大学や専門学校で日本語日本文化講師を勤める。2000年より、ポーランド五年、イタリア三年半、中国四年半の生活を経た後、2013年夏フランスに戻る。旅好きでもあり、今までに訪れた国は約40カ国。六ヶ国語を解する。多様な文化に身をおいてきた経験を生かして、柔軟かつ相対的視点から、フランスのあれこれを切り取り日本に紹介中。

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