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マリー監督、女性の豊かな人生の源泉って何ですか?【今この映画】

マリー監督、女性の豊かな人生の源泉って何ですか?【今この映画】

歳を重ねるとともに増え、人生になくてはならないものといえば、人との出会い。思い返せば、学校こそが初めて他人と向き合うことができた場所であり、自分を知ることができたスタート地点。

そんな誰にとっても思い出のある学校を舞台にした映画が、世界各国の映画祭で数々の観客賞を受賞し、話題となっている。

その作品とは、パリ郊外の高校で落ちこぼれクラスの生徒たちとベテラン教師が引き起こした、心揺さぶる実話を描いた感動作『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』

クラスにはさまざまな人種が集まっていて、争いが絶えない。そこで教師のアンヌが生徒たちに持ちかけたのは、アウシュヴィッツの歴史について研究し、コンクールでその成果を発表するというプロジェクト。

本作が誕生した裏側には、ある青年と女性監督の出会いがあった。その青年とは、生徒役で出演もしているアハメッド・ドゥラメのことだが、じつは、彼の体験をもとに映画化されたのだという。経験もコネもない無名の18歳の彼が、みずからの経験をまとめたものを映画関係者に片っ端から送ったそうだが、返事をしたのは、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール監督ただひとり。誰もが予想できなかった成功をこの作品にもたらしたバイタリティ溢れる監督に、思いを語ってもらった。

歴史を知ることで未来はよりよくなる

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「アウシュヴィッツ」という難しいテーマと向き合うことで、徐々に変わっていく生徒たちが描かれているが、過去の歴史を学ぶことの意義とは?「歴史的事実だけを語るのではなく、どのような時代背景で、どんな人物が誰を支配していたのか、ということをひとつひとつきちんと見ていくことが大切。それを知ることによって、ただ歴史の一部であるということを忘れて、過去も現在もなく、『なぜそのことが起きたのか?』と考えるようになります。そして、それが失敗を繰り返さずに、将来をよりよくするということに繋がっていくのです」学生時代に歴史の授業は、ただの受験勉強にしか思っていなかった人も、この作品を観れば、「なぜ歴史を知ることが大切なのか」という答えに出会えるはず。制作会社も立ち上げ、監督業だけでなく、プロデューサーや脚本家としても精力的に活動しているマリー監督。その原動力となっているものは、"好奇心"だという。「私は、好奇心というものを必ず持っていて、いつも何かをしたいという気持ちに溢れています。そして、どんなに小さなことでもいつも感謝の気持ちと喜びを感じて生きることを忘れず、そのときそのときの幸せをしっかりかみしめるようにしているのです」さらに、人が好奇心を持ち続けることの必要性についてもこう訴える。「一生同じ場所に暮らしていても、旅をすることができなくても、好奇心のある人というのは視野が広いので、豊かな感性を持っています。しかし、心の目を閉じたままの人はどんなに旅をしても、周囲に興味がないままなので、何も見ていないのと同じこと。だからこそ、好奇心を大切にしてもらいたいの。文学や映画から学べることはたくさんありますから」

フランス映画界の女性たちをリード

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常に多角的に目を光らせ、興味の向いたことには労力を惜しまない監督だからこそ、言葉には説得力と重みがある。そして、"女性であることの豊かさ"を活かすために、フランス映画の女性サークルも設立し、その活躍はとどまることを知らない。「女性は男性と考え方も違うし、問題に対する解決方法としても、まったく異なるアプローチをすると私は思っています。サークルをつくったのは、そうやって女性の視点から考えたかったから。若い女性たちとっても扉を開くことに繋がったと思っています」シングルマザーで2人の子どもを育てているというマリー監督は、仕事と家庭を両立させる心がけについても語ってくれた。「時間がすごく必要な職業なので、もちろん大変。でも『与えられた状況と限られた条件のなかで上手にやるしかない』と思っています。なので、そこで不平を言うようなことはしません」誰もが忙しさを理由につい不満を先に口にしてしまいがちなだけに、マリー監督の姿勢に思わずハッとさせられる。また、監督はいまの世代間が抱えているギャップについて疑問を感じているという。「たとえば女性の生き方についての考えにも、祖父母や両親の世代、そしていまの自分たちの世代には、大きな隔たりがあると思っています。でも、前の世代の記憶というものを自分たちが引き継ぐことなく生活を送っていることは、少し残念ですよね。時代はものすごい勢いで進んでいますが、その早さが必ずしも良さに繋がっているとは思えないから」日々進化をしていくことは大事だけれど、過去から繋いでいくべきことがあるのも事実。次の世代に残していきたいものを私たちの世代も考えなければいけないのかもしれない。「映画や文学で異なる文化や民族に触れることによって、『じつは人類には共通点がある』ということが初めてわかる」と言う監督の言葉通り、この物語では言葉や文化の違いを超えて、誰の心もとらえて離さない感動に出会えるはず。大人になっても学ぶべきことはまだまだあり、映画の中の生徒たちとともに心が成長していくのを感じる本作。彼らと同じ目線で歴史をひとつひとつ知ることが、あなたにとっても"人生の授業"となるのかもしれません。

* * *

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『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』

2016年8月6日(土)、YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマントラストシネマ有楽町、角川シネマ新宿ほかにロードショー

監督:マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

脚本:アハメッド・ドゥラメ、マリー=カスティーユ・マンシオン=シャール

出演:アリアンヌ・アスカリッド、アハメッド・ドゥラメ、ノエミ・メルラン、ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ、ステファン・バック

配給:シンカ

後援:ユニフランス 在日フランス大使館/アンスティテュ・フランセ日本

(c)2014 LOMA NASHA FILMS - VENDREDI FILM - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - UGC IMAGES -FRANCE 2 CINÉMA - ORANGE STUDIO

http://kisekinokyoshitsu.jp/

撮影/土佐麻理子

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志村昌美
映画宣伝マンとして洋画や邦画の宣伝に携わったのち、ライターに転向。イタリアとイギリスへの留学経験を経て、日・英・伊・仏のマルチリンガルを目指しながら、現在は海外ニュースや映画紹介、インタビューなどを中心に女性サイトや映画サイトで執筆中。女性目線からみたオススメの映画を毎月ご紹介していきたいと思います! 日々の試写の感想などをつぶやき中:https://twitter.com/masamino_19

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