"世界最強の投資家"、"オマハの賢人"の異名をとるアメリカの投資家ウォーレン・バフェット氏。御年86歳ですが、世界最大の投資会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOとして今でも現役バリバリで活躍中で、さらに熱心な篤志家としても有名。
投資や経営の手腕だけでなくその人柄でも多くの人から愛され続けているバフェット氏のマインドをより深く知るために、あるデータ・サイエンティストが過去の発言を分析。その結果が話題となっています。
質素倹約、朴訥な人柄で人望も厚い
ウォーレン・バフェット氏は、1930年ネブラスカ州オマハ生まれ。父親は証券会社を営んでいましたが、その影響もあってか幼い頃から商才を発揮していたと言われています。
一代で巨万の富を築き上げた人ですが、普段の生活は質素で倹約を徹底しており、真面目そのもの。そのため、人望も厚いようです。
毎年開催される同社の株主総会は、バフェット氏に会うために世界中から大勢の人たちが集まって、お祭り状態になっているそう。
先日も、バフェット氏とのランチ券がオークションにかけられ、開始早々100万ドル(約1億円)で入札され話題となりました。
ちなみに、"オマハの賢人"という名前の由来は、バフェット氏の生まれ故郷であるオマハに50年以上前に3万ドル(約300万円)ほどで購入した一軒家を今でも手放さず、大切に住み続けているから。
一代で大成功したからと言って、自分の名前を冠したキンキラキンのタワーを都会のど真ん中に建てたりしないところも愛されるゆえんなのでしょう。
積極的に使うのはポジティブな言葉
バフェット氏のマインドの秘密を探るべく、フィンテック企業「オーチャード・プラットフォーム」データ・サイエンティストのマイケル・トス氏は、1977年から2016年までのバークシャー・ハサウェイの年次株主通信に記載されている内容を分析。すると、ある傾向が浮かび上がりました。
「バフェット氏は、"傑出している(outstanding)"、"非常に優れている(excellent)"、"並外れて素晴らしい(extraordinary)"などの単語をよく使います。これはつまり、バフェット氏が自分の楽観的な考え方に強い自信を持っており、それゆえに彼は気楽な状態でこの楽観主義へ傾倒し、それを表現しているのだということを伝えるものではないでしょうか。
彼が使っているネガティブな単語、たとえば"普通でない(unusual)"、"困難な(difficult)"などは、課題や珍しい状況に言及する場合に使用されるようです」トス氏はこのように述べた。
「CNBC」より翻訳引用
トス氏が分析したデータによると、バフェット氏の楽観的な姿勢は、2008年に起こった世界金融危機のときでさえも変わらなかったのだそうです。
筆者も、ちょうどその頃に金融機関に勤めていたのですが、現場はまさに阿鼻叫喚でした。そんななかでも、変わらずポジティブかつ冷静なバフェット氏のようなリーダーがいたら......きっととても心強いはず。
物事は常にパーフェクトにうまくいくとは限らない。このような悪い時期でも変わらず自信を伝え続け人びとをインスパイアするバフェット氏の能力は、重要だと思います。
「CNBC」より翻訳引用
楽観主義者であるだけでなく、同時に現実主義者であれ
バフェット氏についての著書も執筆している経営コンサルタントのローラ・リッテンハウス氏も、バフェット氏の地元紙「Omaha World-Herald(オマハ・ワールド・ヘラルド)」によるインタビューのなかでポジティブな性格の重要性を認めています。
しかし、ただ単にポジティブなだけでなく、バフェット氏のように現実主義者的な側面も同時に持っていなければいけないとのこと。
ポジティブで、気長に好機を待てるマインドセットこそが、ビジネスにおいて極めて重要な資質です。けれども、同時に現実的でなければなりません。コンテクストがなければ、いくらポジティブでもまったく意味がありませんから」月曜のインタビューで、リッテンハウス氏はこう語った。
「Omaha World-Herald」より翻訳引用
医療技術の進展により、"寿命100年時代"が到来していると言われています。超長寿時代になると60歳以上になっても働き続けなければならなくなる可能性が指摘されていますが、バフェット氏は文字通り生涯現役です。
ともすると年齢とともに頑固になりがちですが、86歳になっても柔軟さやチャレンジ精神を失わずに第一線を走りつづけ、若い世代に愛されているバフェット氏には学ぶところが多いのではないでしょうか。
[CNBC1, 2, Omaha World-Herald]
photo by Getty Images

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