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NYで生きる女性たちに学んだプラクティス。精神的・経済的な自立の大切さ

NYで生きる女性たちに学んだプラクティス。精神的・経済的な自立の大切さ

ニューヨークのマンハッタンに暮らす女性、と聞いて、どんなイメージが浮かびますか? 自立して自分らしく生きている女性や、仕事もプライベートも充実した華やかな女性でしょうか。

2006年に東京からマンハッタンに移り住んだ当時、私も彼女たちの颯爽とした格好よさに憧れて、いつかそうなりたいと心から思いました。しかし、彼女たちと親しくなるにつれ、人が羨むような生活をする彼女たちにも、また別の一面があることを知ったのです。

華やかだけでないニューヨーカーの裏の顔

たとえばある女性は、みなが振りむくほどの美女で、かつ、コロンビア大学で博士号を取得するほどの才女であるにも関わらず、男性との関係が3か月以上続いたことがなく、まるで、恋愛の仕方を知らない高校生のようにデート市場で苦戦をしていました。

また別の女性は、弁護士として大手事務所で企業法務の仕事をして高収入を得ていた一方で、毎日窓から飛び降りたくなるほどのストレスを抱え、そこから逃げるように20歳以上も年上の男性と結婚したものの、毎日不幸を嘆いていました。

側から見ると、何もかもを手にしているように見える彼女たちが苦しむ姿を見て、外からどう見えるかではなく、自分が本当に望む人生を生きる、ということを真剣に考えさせられました。

精神的・経済的に自立することの大切さを教えてくれたメンター

そんなとき出会ったのが、私のメンターのひとりであるメアリーです。先日60歳になったメアリーは、当時、某大手化粧品会社の役員をしていて、毎朝6時からジムでパーソナルトレーナーと運動をして、8時前には完璧なヘアとメイクアップで出社していました。

お父様が米軍として日本に駐留していた際に、お母様と出会い、お母様は英語がほとんどできない状態で結婚して、ニューヨークのアップステートに移り住んだそうです。

ご両親は、長女のメアリーにくわえて、男の子2人に恵まれますが、メアリーが6歳のとき、お父様が交通事故で亡くなってしまいます。その後、英語ができないお母様と一緒に、メアリーは第二の母親として、弟さん2人の面倒を見てきました。

日本語はほぼできない彼女ですが、私のことをとても可愛がってくれて、アッパー・ウェストの自宅にも何度か招いてくれました。彼女がひとりで暮らすセントラル・パークからほど近いそのアパートは、若い頃から集めてきたというアーティストの作品がセンス良く飾られていました。

「30歳になる頃に、会計士さんに、『箱みたいに小さいアパートでもいいから、できるだけ早く買うように』と言われて、本当に小さいアパートを買ったの。それから2回買い替えをして、今はここに落ちついたのよ」。さらに、その当時から毎月少なくない額を老後の資金として、投資信託に積み立ててきたそうで、毎年一回、資産配分を見直していると言います。

それまで、将来に漠然とした不安を抱えながらも、なんとかなる......と見ないふりをしてきた私は、未婚・既婚に関係なく、メアリーのように精神的にも経済的にも自立した女性になると誓いました。

どんな順序で生きているかは人それぞれ

その後、ブルックリンに引っ越して出産をした私を訪ねてきてくれたとき、彼女が穏やかにこう言いました。「私は子どもが大好きだけど、自分の子が欲しいと思ったことは一度もないの

私が「どうして?」と聞くと、彼女は、

「幼い頃から、弟たちの母親代わりをしてきたでしょう。だから大きくなったら、自分のために時間を使いたいってずっと思っていたの

それを聞いて、私は、もやっとしていた心の曇りが、すっと晴れたように感じました。

それまでの私は、結婚して子どもを産むのが女性の幸せ、と少なからず心の片隅で思っていたように思います。しかし、一度も結婚せず、子どもを持たなかった彼女の言葉を聞いて、どんな順序で生きているかは人それぞれであり、世間一般の幸せの型にはめて生きることなど無意味だと、腹の底から納得したのです。

そんなメアリーは今年の4月に会社を辞めて、1年間はお母様との時間を優先したあと、恵まれない環境にある女性たちの起業をサポートするNPOに参加するそうです。

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2017年9月、私は、『自分を知るプラクティス』という本を上梓しました。メアリーをはじめ、ニューヨークで出会ったさまざまな女性たちのストーリーに加えて、私自身がニューヨークで手放したもの、得たもの、そして、自分を受け入れるまでのプロセスを紹介しています。

ニューヨーカーや私自身の苦い経験や葛藤から、読んで下さった方が、より自分らしく生きるためのヒントを得て下さったら、これ以上嬉しいことはありません。

自分を知るプラクティス

著者:白石里美発行:大和書房定価:1,512円(税込)

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白石 里美
ニューヨーク在住11年。クリーンな心と体を作るライフスタイルを提案するウェルネスブランド「ANCIENTICS」をNYで立ち上げ、マンハッタンとブルックリンのカフェやストアでスーパーフードや日本の発酵食品をアレンジした商品を販売。日本企業向けのプロデュースやコンサルティングも行っている。 世界最大の栄養学校Institute for Integrative nutritionでホリスティックヘルスを学び、最新のヘルス・ウェルネス・ビューティー・ライフスタイル情報に精通。ウェブや雑誌でもコラムを執筆中。 Blog / Facebook / Instagram

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