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ファクトチェックサイトも騙された! フェイクニュースの仕組み [The New York Times]

The New York Times

ファクトチェックサイトも騙された! フェイクニュースの仕組み [The New York Times]

どれも目を引く見出しだ。「メラニア・トランプ、ホワイトハウスを去る!」「ケーブルTVの人気インテリアデザイナー、ジョアンナ・ゲインズ、夫を捨てて、看板番組も降板」「妻を捨てたいテレビ宣教師、ジョエル・オスティーン」

いずれも本当ではないが、つい先週までウェブ広告で大きく宣伝されていた。それも、このようなデマに対抗するために作られたファクトチェック(事実検証)サイト「ポリティファクト(PolitiFact)」や「スノープス(Snopes)」で......。広告はグーグルの広告サービスを通じて表示されていた。

ニューヨーク・タイムズが検証したところ、PeopleやVogueなどの主流ニュース配信サイトに見せかけた不正サイトに呼び込むおとりとしてこれらの見出しは使われていた。

ニュース記事を装った広告

PolitiFactとSnopesは事実検証サイトの中でも有数の影響力と人気を誇るサイトだ。Snopesは都市伝説の検証サイトとして1994年に開設された。今や16人体制になり、政治的情報操作の評価も行っている。PolitiFactは(フロリダ州の日刊紙)タンパベイ・タイムズ紙の部門として2007年にスタートした。2008年の米大統領選中の活動が評価されてピュリッツァー賞を受賞。全国版のほか、14州のローカル版も存在する。

どれも手口は同じだった。まず、ファクトチェックサイトのトップに見出しが表示される。クリックすると、真っ当なサイトのロゴやページデザインを真似たサイトにたどり着く。フェイクニュース記事を開くと、見出しと有名人の大きな画像が表示されるだけで、数行もするとアンチエイジング化粧品の宣伝に切り替わる。

フェイクサイトの運営者は、ゆるい条件を満たしたサイトに広告を掲載するため、グーグルの広告出稿サービスAdWordsを利用していた。ただし、ファクトチェックサイトに対象を絞っていたかどうかは不明だ。今回の出来事は、誤報の拡散にグーグルが今もなお利用され続けていることをよく物語っている。誤報の問題は多数のネット企業に絡み、注目を集めてきた。ロシアが米社会を分裂させる扇動的で誤った認識を広めるために、各社の自動化された広告システムを利用したとして、フェイスブックやツイッター、グーグルは捜査下にある。

インターネットに蔓延する偽情報

デジタルマーケティング・ソリューションを提供するImpact Radiusの研究員であるデービッド・レッツラーさんは言う。「SnopesとPolitiFactの広告をとっても、インターネットに偽情報がどれほど蔓延しているかがわかる。 説明責任の追求を使命に掲げるサイトでさえ、不本意にもいんちき商売に利用され得るのだから」

グーグルは、ファクトチェックサイトにフェイクニュースの広告が掲載された経緯についてコメントを控えている。関係者によると、グーグルは本紙の問い合わせを受けた後、広告プラットフォーム上の問題アカウントを停止処分にしたという。

グーグルの広報担当者チ・ヒー・チョウさんは声明文の中で「当社プラットフォームで詐欺的宣伝行為が見つかった場合には常に、アカウント停止を含む必要な対応をすぐに取っています。さらに、パブリッシャーに対しては、特定の種類の広告や広告主をブロックできるように制御手段を提供しています」と語った。

誤報の拡散を可能にするインターネットの広告環境

SnopesとPolitiFactによると、フェイクニュースの広告掲載について注意喚起を受けた後も、打てる手はほとんど無かったという。グーグルのAdSense(パブリッシャー向けの広告配信サービス)は自動化されたツールを使用している。そのため、多くの場合、広告主は広告がどのサイトに掲載されるかを把握していない(不適切、または、いかがわしいコンテンツの横に掲載される場合もある)。パブリッシャーにしても、どのような広告が自分のサイトに掲載されるかは分からない。

Snopesの共同所有者で部長を務めるヴィニー・グリーンさんによると、「先月、掲載予定の1億5000万件の広告の中から、怪しげな広告をフィルターでブロックしようとした」。しかし、その効果には限度がある。

「選択的にフェイクニュースの広告を排除するといった是正措置を直接的に監督したり、管理したりする術が(パブリッシャー側には)ほとんどない。インターネットの広告環境は、誤報の拡散やそれによる金儲けと共犯関係にある。こういった広告の質の問題は体系的なもの」とグリーンさんはメールで述べた。

PolitiFactのエグゼクティブ・ディレクターであるアーロン・シャロックマンさんによると、同サイトはグーグルと一緒に「怪しいテキスト広告」の排除に取り組んでいるという。

「我々のようなサイトにとって、広告収入は運営資金として欠かせない。ただ、意図的に人を欺こうとする広告がサイトに掲載されないように手を尽くすことも同様に重要だ」

取り締まりに動き始めたグーグル

インターネット広告販売で競合他社を凌ぐグーグル。これまで不正サイトがフェイクニュースを広めることで金儲けするのをなかなか防止できないでいた。しかし、 今年すでに、フェイクニュース・サイトの取り締まりの一環としてAdSenseに登録されたサイト340件と200のパブリッシャーを停止処分にしたと発表した。問題のパブリッシャーの大半は、人目を引くデマの政治ニュースを載せたサイトを作り、広告を盛り込むことでグーグルから広告収入を得ようとしていた。

ただし、SnopesとPolitiFactに広告を出稿した複数のサイトの手法は違った。それらはグーグルに対価を支払い、真っ当なサイトに広告を載せてコンテンツを宣伝していた。多くの場合、主流ニュースメディアのバナーを表示した、ニュース記事に似せた広告ページに読者を呼び込むことを狙いとしていた。

グーグルはこの手口をゴシップ偽装型と呼んでいる。詐欺師たちはタイムリーな話題を取り上げ、あたかもどこかのニュースサイトの見出しのように見える広告を用意する。グーグルによると、ゴシップ偽装型の不正を行ったとして、2016年には1300件あまりの広告主アカウントを停止処分にしたと言う。また、パブリッシャーが扇情的な広告を排除できるように、2017年10月、追加の規制手段を導入した。

ファクトチェックサイトも対策に協力

SnopesとPolitiFactは、「2016年の大統領選中に偽ニュースの拡散の手助けをした」と批判を浴びたフェイスブックと2016年12月に手を組み、実験を始めた。ファクトチェッカーにフェイクと判断された人気投稿は「係争中」扱いとされ、フィードに入らなくなった。この取り組みは2017年8月にさらに拡大、強化されている。

グーグルも誤報の一掃に乗り出した。グーグルの関係会社であるテクノロジーのインキュベータ、Jigsawはデューク大のレポーターズ・ラボ(the Duke University Reporters' Lab)と一緒に事実を共有するためのツール「Share the Facts」を開発した。

© 2017 The New York Times News Service [原文:Google Serves Fake News Ads in an Unlikely Place: Fact-Checking Sites /執筆:Daisuke Wakabayashi and Linda Qiu] (翻訳:Ikuyo. W)

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