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政府だからってスマホを覗き見していいの? デジタルプライバシー保護の波[The New York Times]

The New York Times

政府だからってスマホを覗き見していいの? デジタルプライバシー保護の波[The New York Times]

キャッシュレス化が進む中で、現代人の生活におけるスマホの重要性は一段と増しています。お金だけでなく、スマホの中には検索履歴や大事な思い出などセンシティブな個人情報がたくさん。そんな中、米最高裁ではデジタルプライバシー保護に向けて進みはじめたようです(以下、2017年11月29日付ニューヨーク・タイムズ掲載記事)。

政府が国民を監視するのはおかしい!

11月29日の米最高裁では活発な議論が行われたが、その中で過半数の判事は、政府が令状なしでデジタルデータの山から証拠を収集できる権限を有することに懸念を抱いているようだった。ソニア・ソトマイヨール判事は、「ほとんどの米国人は、映画『ビッグ・ブラザー』のような状況を避けたいと思っているのではないか」と述べた。「国民がいつ、どこにいるのかを監視したり特定できる権限を、政府が持つという状況は避けたいだろう」

この議論は、通常より20分も長引いた。最終結論としては、政府が携帯電話会社に対し、長期間にわたる顧客の位置情報などの開示を求め、記録を収集する権限を制限すべきだと、少なくとも5名の判事が考えていることがわかった。しかし、長らく続いてきた憲法原理では、政府は第三者が保有する事業記録を収集できると定めている。この憲法原理を最高裁が変更するにあたって、その決定の論理的根拠があるのか、またはどの程度の準備ができているのかについてのコンセンサスはない。

ティモシー・アイボリー・カーペンターの事件

複数の強盗事件への関与で有罪判決を受けたティモシー・アイボリー・カーペンターの事件では、彼の使用していた携帯電話キャリアの提供した数か月間にわたる彼の移動記録が証拠の一部となった。カーペンターを担当するイサン・フリード・ウェスラー弁護士は、検察が合衆国憲法修正第4条に違反していると主張した。この修正第4条では、令状なしで不合理な捜索を行うことを禁止している。

カーペンターに有利な判決が下された場合、修正第4条の原則が改正される可能性もあるかもしれない。この修正第4条の原則とは、携帯電話会社などの第三者に対し人民が任意で情報を譲渡した場合には、プライバシーに対する「合理的な期待」を有しないというものだ。複数の判事が言うには、最高裁は早急な対応には慎重な姿勢を崩しておらず、カーペンターに有利な判決が下された場合に生じる影響にも懸念を抱いているという。

「この新しいテクノロジーは、プライバシーに関する重大な懸念を引き起こしている」サミュエル・アリート判事は、ウェスラー弁護士に対してこう語った。「しかし、どれくらいの数の判例を覆すか、または時代遅れであることを宣言しなければならないのかを把握しておく必要がある」

18世紀のルールを使うのは時代遅れ

このカーペンター対合衆国裁判(No. 16-402)でやろうとしているのは、ポケットや車の中にあるデバイスや高速道路の料金所、トランジット・システムなどで人々の動きを絶えず記録しているというこの時代に、18世紀に起草された修正第4条を適用しようとしているということだ。

「膨大な量の、極めてセンシティブなデジタル記録が存在している」ウェスラー弁護士はこう述べ、最高裁が動かない限り「スマートフォン上のグーグル検索履歴、オンライン上で読んだ全てのウェブ閲覧履歴、医療情報や不妊治療の追跡データなどが危険にさらされるおそれがある」とした。

この問題にどのようにして取り組むのかについては、判事の間でも意見が分かれているようだ。カーペンターの携帯電話の記録が開示された件について、一部の判事は、彼のプライバシーに対する合理的期待を侵害している度合いこそが論点だと主張している。一方、ニール・ゴーサッチ判事など他の判事らは、異なるアプローチをとった。つまり、携帯電話の記録はカーペンターの財産であり、本人の合意または令状なしに開示されるべきでなかったというものだ。

連邦政府側の弁護士であるマイケル・R・ドレーベンは、最高裁判事はドラスティックな行動を起こすべきでないと訴えた。「このテクノロジーは新しいものだが、最高裁が修正第4条に基づき取り上げている法理は、そうでない」

プライバシーに対する重大な侵害か?

最近の最高裁判決には、膨大なデジタル・データに対する政府の無制限なアクセスを許すことに対する懸念が現れている。2012年の合衆国対ジョーンズ裁判では、容疑者の動きを追跡するためにGPS装置を使用する政府の権限を制限する判決が下された。また、2014年のライリー対カリフォルニア裁判では、逮捕された人の携帯電話を捜索する際には、令状を要するという判決が下された。

さらに古い判例では、第三者に提供した情報については、政府が適法に収集可能であると結論づけている。たとえば、1979年のスミス対メリーランド裁判において最高裁は、強盗容疑者は、固定電話からかけた電話番号にまでプライバシー権が及ぶという合理的期待を持たないと判断した。1976年の合衆国対ミラー裁判においても、最高裁は銀行記録について同様のことを述べていた。

アリート判事は、上記の古い判決は、プライバシーに対する重大な侵害を容認するものだと話す。「なぜ携帯電話の位置情報が、とりわけ多くの人々が現金を使用しない現代社会において、銀行記録よりもセンシティブだと言えるのか? それは、携帯電話によって単に購入記録や現在位置が分かるだけでなく、それ以外の極めてセンシティブになり得る情報も開示することになるからだ

ウェスラー弁護士によると、携帯電話の基地局から発信される位置情報が権利の侵害に繋がる可能性は、今まで以上に大きくなっているという。「国民の動向に関する情報を長期間にわたって収集・蓄積できる機械のある時代を経験するのは、今の政府が初めてだ」

ジョン・ロバーツ最高裁長官は、携帯電話を使用するという行為には携帯電話キャリアに個人情報を渡すという任意の判断が含まれるというのは現実的ではないと主張する。「現代社会において携帯電話を持ちたいと思ったら、そうするしかないではないか」

© 2017 The New York Times News Service[原文:Justices Seem Ready To Boost Protection Of Digital Privacy/執筆:By Adam Liptak](翻訳:吉野潤子)

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