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起業の理由は「自由を得たい」がトップ。フランス人の転職観

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ここ数年「会社を興した」という話をしょっちゅう聞くように思っていたら、それを裏づける数字を企業家向けウェブサイト 「Widoobiz」で目にしました。それによれば、筆者の住むフランスでは、6年前から起業件数が右肩上がりだということ。

起業の理由

昨年(2017年)、INSEE(フランス国立統計経済研究所)は、59万1000社もの新会社を登録しました。これは、前年と比べて7%も多い数字です。

Widoobiz」より翻訳引用

面白いのは起業の理由。以前なら“高収入を目指す”、“自分の挑戦のため”といった野心を伴うものが見られましたが、いまは全く異なる理由が主流です。

INSEEによれば、起業に踏み切る人の46%は、その理由を「自由を得たいため」と答えています。次に、38%は、「人生に意味を与えるため」と答えています。

Widoobiz」より翻訳引用

一企業の社員として働くには、さまざまな取り決めに従う必要があります。もともと独立独歩な精神をもつ人の多いフランス。「自由を得たい」という理由が一番というのは不思議ではありません。

注目したいのは、第2の理由です。企業の社会的責任(CSR)が世界的にもクローズアップされる現代では、「自分の人生に意味を与える」仕事を選ぶのは、ごく当たり前のことになりつつあるのです。

バーンアウトならぬブラウンアウト

この傾向は、起業する人だけでなく、社会全体にも感じられます。

例えば、仕事による過労を専門とする医師ボーマン教授が2018年1月出版した『Le brown-out: quand le travail n’a plus aucun sens(ブラウンアウト:仕事に意味を見出せなくなった時)』。これは、バーンアウトならぬブラウンアウトにフォーカスをあてた内容の本です。ブラウンアウトについて、同教授は下のように定義しています。

(ブラウンアウトとは)仕事の目標に意味を見出せなくなったり、企業内での自分の役割が理解できなくなったりしたとき感じる苦痛や不調のことです。

Public」より翻訳引用

つまり、仕事に意味を見出せなくなった人々の陥る一種の鬱症状と言えます。

具体的な統計は取られていませんが、ボーマン教授は、ブラウンアウトに苦しむ人は増加の傾向にあると考えています。

「意味」を渇望する現代人

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私の身近にも、最近「意味を求めて」転職した人が複数います。そのうちひとりは、大手技術開発企業で働いていた友人で、仕事やポスト、待遇自体には不満はなかったようですが、その企業の一部門に軍事産業部門があったことから転職を決意。「若いころは気にならなかったけど、僕の価値観と相容れない企業で働いていることに疑問を覚えるようになったんだよ」と、退職したころ語ってくれたのが印象的でした。

また、テキスタイルの会社で買いつけの仕事をしていた友人も、つい先日転職を決意したところです。布の価格や縫製工程が安く済む工場を開拓するため、賃金の安いアジアを回り、良いとは言えない労働条件で働く人々を目にするうちに、自分の仕事にほとほと嫌気がさしたのだそうです。転職先はまだ決まっていませんが、できれば、子どもの教育のような建設的な仕事がしたいと希望しています。

彼らに共通するのは、自分の価値観に合わない仕事はできないという姿勢でしょう。報酬や大企業の看板といった、目に見えるもの、形のはっきりしているものよりも、価値観や主義、自分にとっての意味という形のないものを優先させる傾向が生じつつあるのかもしれません。

Widoobiz, Public

photo by Getty Images

冠ゆき

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