2018年2月22〜23日にトランクホテルで開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP」。Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)のテーマの下、多彩なセッションやワークショップが繰り広げられました。カフェグローブはイベントに密着取材、パワフルな現場の様子をレポートします!
「テクノロジーだけが全てじゃない! テックによらないすてきなイノベーション」と題されたセッション。様々な業種にテクノロジーをかけ合わせたxTech(クロステック)ビジネスによる社会変革が芽吹くなか、ものづくりが持つ可能性が語られました。
テクノロジーは「つくる」を支える技術
壇上には、手編みのラフィアバッグの制作・販売を軸にフィリピンの女性を応援する株式会社スルシィの関谷里美さん、衣服づくりの新しいプラットフォームを構築するシタテル株式会社の河野秀和さん、そしてこの日サプライズで参加したファッションブランドLOKITHO(ロキト)のデザイナー木村晶彦さん。進行役をつとめるのは、ロフトワークの林千晶さん。「急なことで木村さんをご紹介するスライドがないので、私がロキトの最新作を着てきました!」と、ブランドの世界観を伝えるモデル役も。
株式会社ロフトワーク 林千晶さん
3名のスピーカーは、それぞれ異なるフィールドで「つくる」に携わっている方々です。関谷さんはバッグ作りを通して、セブ島の小さな村に産業を興し、女性の雇用を創出しています。「人が好き、という思いが根底にある」という関谷さんは、従業員の医療費や子どもたちの学資金に当てるファンド、スルシィ基金を創設。将来は図書館をつくる計画もあります。
株式会社スルシィ 関谷里美さん
河野さんは、服をつくりたい人、つくる人を有機的に結びつけるプラットフォームを運営。テクノロジーはもの作りの対極に位置するものではなく、ものづくりを支えるものとして捉えています。「ウチにもエンジニアがたくさんいますが、彼らはシステムを作るときに“ものづくり”という言葉を使います。プロダクトとして世の中に役立つものを作るという意味では、テクノロジーも“ものづくり”も一緒じゃないかと思っています」。
つくる行為の満足感は本能的な喜びと同じ
シタテル株式会社 河野秀和さん
河野さんが生み出した仕組みについて、デザイナーの木村さんもつくり手として太鼓判。「今までもブランドと工場をマッチングする話はあったけれど、工場を集めただけで終わっていた。シタテルは、工場の得手不得手や稼働状況まで把握しているところがすばらしい!」
LOKITHO(ロキト)デザイナー 木村晶彦さん
そう話す木村さんはブランド立ち上げ以来、一貫して日本でのものづくりを続けています。コンセプトは、精神的に成熟した女性のための服。林さんから在庫や資材など、ファッションにつきまとうハードルについて問われた木村さん、その答えはシンプルかつ明快です。「本当に欲しい人にむけて、受注生産でつくっています。手広くなんでもやるのではなく、本当に作りたいものは何かをつきつめて、ピンポイントで突破していく。自分が美しいと思うものをつくるようになって、ブランドとしての価値が高まったと思います」。
集約し、広がり、つながる。ものづくりのさまざまな形とパワーの一端が示された45分。林さんは、セッションをこんな言葉で締めくくりました。
「つくるという行為が人にもたらす満足感は、食べることと同じくらい本能的な喜びだと思います。つくることの大切さ、その喜びを、このセッションをきっかけにぜひ話をしてください」。
テクノロジーが全てじゃない! テックによらないすてきなイノベーション
MASHING UP 2018年2月22日 14:30〜15:15 @トランクホテル 3F
登壇者:林 千晶(株式会社ロフトワーク)、関谷里美(株式会社スルシィ)、河野秀和(シタテル株式会社)、木村晶彦(LOKITHO)
撮影/YUKO CHIBA、取材・文/浦上藍子

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