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CONFERENCE:MASHING UP vol.1

ばっさり切ります。日本のジェンダーギャップ問題![MASHING UP]

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2018年2月22〜23日にトランクホテルで開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP」。Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)のテーマの下、多彩なセッションやワークショップが繰り広げられました。カフェグローブはイベントに密着取材、パワフルな現場の様子をレポートします!

世界経済フォーラムが昨年11月に発表した「ジェンダー・ギャップ指数2017」によると、日本は144か国中114位。2016年の111位よりもさらに順位を落とし、過去最低を更新しました。セッションに先立って投げかけられた「男女格差をあまり感じたことがないという人は?」と質問に対しても、挙手はまばら。会場に集まった参加者の多くは、何らかの形で格差を感じているようです。

男女格差が当たり前すぎて、感覚が麻痺?

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株式会社リプロエージェント代表 勝部元気さん

株式会社リプロエージェント代表で、ジェンダー論や社会論を専門とする論客としても活躍する勝部元気さんは、「女性の愚痴の多さ」も格差の現れだと指摘します。女性同士、気のおけない友人同士で話すとき、日頃吐き出せない思いが愚痴となって出てくる。それは、パートナー、上司、男性の同僚に対して何か発言をすると「女のくせに生意気」と思われてしまうリスクを感じていることの裏返しではないか、という分析です。

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インクルージョン・ジャパン株式会社、Lean In Tokyo代表理事 鈴木伶奈さん

また、インクルージョン・ジャパン株式会社でベンチャーキャピタリストとして活躍する傍ら、Lean In Tokyo代表理事を務める鈴木伶奈さんは、男女役割分業の意識が社会常識となっていることで、若い世代であっても無意識のうちに格差を受け入れてしまっていると感じています。

「世の中的にこれは女性の仕事だよね、当たり前だから仕方ないよね、というふうに、いわば感覚が麻痺してしまっている」

保守化するミレニアル世代

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Business Insider Japan 滝川麻衣子記者

Business Insider Japan滝川麻衣子記者は、「一般職を目指す高学歴女性」を取材した経験をシェア。仕事も家庭も両方を充実させるためには、総合職で家庭と仕事の両立に四苦八苦するより、一般職でほどほどに働きたい、という考えを持つ人が多かったそう。細く長くずっと働き続けたいからこそ、総合職が敬遠される傾向が出てきた、というのです。

現在26才の鈴木さんは、その考えに共感する部分もあると言います。「今、(社会では)リーダーとして活躍している女性があまりにも頑張っていて、まるでスーパーウーマンのよう。(彼女たちのような働きが)自分にはできないと思ってしまうところはあるかもしれない」

また、勝部さんは、そんな女性像を形成する男性の“妄想”を一喝!「それって、自分のことを自分でできないガキ男が原因だよね」。仕事も、育児も、さらには夫のお世話まで! 自立できない子どものような男性が生み出す妄想が、女性に“良妻賢母であれ”という圧力をかけている、というわけです。

女性の活躍が叫ばれながらも、性別に対する固定概念から抜け出せない現状が浮かび上がります。

女性だけでなく、男性も生きづらさを抱えている

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社会が求める「女性像」に縛られて窮屈な思いを抱える女性が多い一方で、男性にも生きづらさを感じている人は少なくありません。

「特に妻が専業主婦で、自分が一家の大黒柱という男性。少しとがった言い方ですけれど、ある意味で女性を経済的に支配しているような状態ですよね。そうすると、自分は何があっても会社をやめられないから、結果的に社畜マインドになりがち。経済的にも精神的にも自立し合う男女、というものを求めていけば、男性の生きづらさも吹き飛ぶと思う」と勝部さん。

鈴木さんは、ジェンダーギャップをはじめとする固定観念に気づくためには、海外に出ることも有効とアドバイス。「海外に行くと、日本人であること自体がマイノリティ。マイノリティの立場を経験することで、さまざまな立場の人の気持ちがわかるようになることってあると思います。実際、Lean In Tokyoの活動をサポートしてくれている男性も、海外経験のある方が非常に多いです」

負のスパイラルを断ち切る「グラデーション・シンキング」

セッションの最後に、参加者のお一人から「今までずっと続いてきたジェンダーをめぐる負のスパイラルを断ち切るには?」という問いかけがなされました。

鈴木さんの考えは、まずは無意識のうちに受け入れている偏見、バイアスに気づくこと。勝部さんは、白か黒かに二分するのではなく、さまざまな色彩が混じり合う世の中をありのままに捉える“グラデーション・シンキング”を提唱。個人でも、そして社会のムーブメントとしても、一つ一つの偏見を認識し、クリアにしていく努力を起こしていくことが大切、と結びました。

一足飛びには難しくても、一人一人の意識が変わることで、このギャップは必ず埋まっていくはず。その気づきと、勇気をもらう機会となるセッションでした。

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ばっさり切ります。日本のジェンダーギャップ問題!

MASHING UP 2018年2月23日 14:45 - 15:25 @トランクホテル 2F
勝部元気( 株式会社リプロエージェント )、滝川麻衣子(Business Insider Japan)、鈴木伶奈( Lean In Tokyoインクルージョン・ジャパン株式会社 )

撮影/今村拓馬、取材・文/浦上藍子

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浦上 藍子
上智大学フランス文学科を卒業後、出版社にて勤務。2014年よりフリーランスの編集・ライターに。育児、生活実用、ビジネス・ライフスタイル分野の雑誌、Web、書籍を中心に活動。趣味はフラメンコ。

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