2018年2月22〜23日にトランクホテルで開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP」。Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)のテーマの下、多彩なセッションやワークショップが繰り広げられました。カフェグローブはイベントに密着取材、パワフルな現場の様子をレポートします!
「生理痛がきつくて生活に支障がでる、仕事のパフォーマンスが下がる。産婦人科医からしたら、もうこの時点で治療の対象。お医者さんに行って、適切な治療を受けて欲しい。それが今のためだし、将来の妊娠のためだし、世界経済のためでもあるんです」
セッションの冒頭にこう語ったのは、産婦人科医で、丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄さん。その心とは? 女性自身もきちんと知らないことが多い生理のこと、妊娠のことを改めて考えるセッションのスタートです。
丸の内の森レディースクリニック院長の宋美玄さん
壇上には、宋美玄さん、株式会社リクルートライフスタイルで精子のセルフチェックサービス『Seem(シーム)』 を開発している入澤諒さん、モデレーター としてハフポスト日本版で「Ladies Be Open」のディレクターを務める井土亜梨沙さんが座ります。まずスクリーンに映し出されたのは、「NO Questions, YES Ideas」の文字。スピーカーはもちろん、参加者も一緒にアイデアを出し、ともに考えていくのが本セッションのスタイルです。
ハフィントンポスト日本版の井土亜梨沙さん
昔に比べて生理の回数が増えている?
「あなたにとって生理とは?」「女性が働きやすい環境って?」「生理休暇は必要?」。テーブルにおかれた付箋に、参加者それぞれが思いついたことをどんどん書き出しながらセッションは進みます。
宋さんからは「昔の女性に比べて、現代の先進国に生きる女性は、一生のうちの生理の回数がかなり増えている」という驚きのデータも。
「9割以上の人は、生理の際に月経血が卵管からお腹の方へと逆流しています。それが子宮内膜症を引き起こす原因にも。赤ちゃんを待ち受けている人以外にとっては、排卵と生理は特に意味がないだけでなく、体にとって負担なんです」。
今現在の妊娠を望んでいないなら、ピルや子宮内避妊システムのミレーナなどを使うことで、排卵を起こさせないようにすることも選択肢の一つ。
前職で女性の健康管理アプリのルナルナに携わり、現在はスマホで精子のセルフチェックができるサービスを開発している入澤さんは、男性側ももっと理解を深めて、と呼びかけます。
「職場にも生理痛が重い女性がいましたが、周りの男性メンバーはどう声をかけていいのかわからない。男性の理解がないのは課題ですよね。ただ、生理ってバイオリズムの変化の一つだから、生理ばかりに特化するのも理解を歪めてしまうかも。男性と女性の体の役割の違い、そもそも体のリズムが違うというところに目を向けることも必要ですね」
株式会社リクルートライフスタイルの入澤諒さん
話すことが環境を変える一歩になる
会場からも多くのアイデアが出され、セッションは時間を延長して盛り上がりました。
「リモートワークできる環境が整えば、生理中も負担が減る」「会社内に、生理中の女性に限らず、体調の優れない人が休めるスペースがあるといい」「休まないといけないほどの状態は、病気のサイン。休暇制度よりも、病院に行きやすくすることが大切」「生理休暇という名前も取得しづらい要因。もっと申請しやすい名称に」
生理に限らず、すべての人が働きやすい環境を求める声も多く聞かれました。そのためには、このセッションのようにオープンに話し合い、多様な考えを共有する場が有効になるはず。オフィスで、家庭で、友人同士で、生理や妊娠について、体のリズムについて話し合うこと。それが、環境を変える一歩になる、と感じました。
生理と妊娠についてきちんと知ろう。働きやすい環境作りとは?
MASHING UP 2月23日 17:15〜18:00 @トランクホテル 3F
井土亜梨沙(ハフポスト日本版)、宋美玄(丸の内の森レディースクリニック)、入澤諒(株式会社リクルートライフスタイル)
撮影/野澤朋代、取材・文/浦上藍子

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