2018年2月22〜23日にトランクホテルで開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP」。Unleash Yourself (自分自身を解き放とう)のテーマの下、多彩なセッションやワークショップが繰り広げられました。カフェグローブはイベントに密着取材、パワフルな現場の様子をレポートします!
かのトーマス・エジソンは、電球を発明するまでの「失敗つづき」とも思える道のりに関して、「失敗したのではない。うまくいかない1万通りの方法を見つけただけだ」と語ったといいます。
今回のセッションテーマはずばり「失敗」。パワフルに活躍する4人の女性をゲストに迎え、「人生の折れ線グラフ」とともに、過去の失敗体験やスランプについて語っていただきました。華々しいキャリアを積み、失敗なんて言葉とは一見無縁に思えるゲストたち。失敗をどのように捉え、乗り越えてきたのでしょうか。
「地獄の日々」を乗り越えたから、なんでも乗り越えられる
まずは、法律事務所エクラうめだの代表弁護士を務める亀石倫子さん。文学部に所属していた大学時代はしたいこともなく、将来の理想像も描けず、停滞した4年間だったと語ります。卒業後、地元の北海道へ帰って就職するも、まもなく自分が企業の一員として働くのは、まったく性に合わないと気づきます。「協調性がなく、配属された部署の全員で行うラジオ体操も、女性だけが着なきゃいけない制服もとにかく苦痛で。毎日泣きながらバスに乗っていました」。
法律事務所エクラうめだの亀石倫子さん
転機は26歳のとき。今の夫と出会って運命を感じ、出会って3日で逆プロポーズ。会社を辞め、心機一転、夫の住む大阪へ転居します。新しい土地で次のキャリアプランを考えたときに、なんと「直感で」司法試験の受験を決意。8年間の猛勉強の末、34歳で司法試験に合格しました。「机にかじりついて1日10時間も勉強する日々は、孤独で先が見えず、地獄のようでした。それでも、自分で決めた道だったからどこか前向きでいられた。それに、あの日々を乗り越えたから、どんなことでも乗り越えられるんだって自信になりました 」と笑顔で振り返りました。
専業主婦から編集長へ、大病も経験
株式会社リクルートホールディングスサステナビリティ推進室室長の伊藤綾さんは、新卒で入った出版社を1年で寿退社。晴れて「憧れの専業主婦」になるものの、まもなく「私の生き方は、本当にこれで自分に合っているの?」と悶々とした日々を送ります。悩んだ末、社会と再び接点を持つべく、27歳で契約社員としてリクルートに入社。ゼクシィ編集部に配属され、なんと5年半で編集長の座まで昇りつめました。
生活者目線を大事にしたさまざまな企画をヒットさせ、「庶民派編集長」などと呼ばれるようになった伊藤さんでしたが、35歳での出産時、産じょく性心不全という大病に倒れます。病の床で苦しみつつも「もう一度元気になって働きたい」と痛感したといい、その後、奇跡的な復活をとげてふたたび編集長の職に戻りました。
株式会社リクルートホールディングスの伊藤綾さん
「心配ごとなんて、常にたくさんある。でもいつでも、これはツイてるんだ、って自分に言いきかせるようにしています。失敗とリセットは、ストーリーテラーとなる最大のチャンス。脳内で自分らしいストーリーを導いて、人生に前向きでいられたら」 と語りました。
失敗は、挑戦をしたからこそ得た「勲章」
株式会社オウチーノ代表取締役社長 の堀口育代さんも、伊藤さんと同じく、大学卒業時は「結婚して寿退社をすることが夢だった」そうで、就職活動時にも「いい結婚ができそうなところ」という視点も持っていたとのこと。リクルートに入社し、結婚。その後、興味のあった編集の仕事をするべく「ぴあ」へ転職。しばらく経験を積んだあと、生活情報誌「サンキュ!」の副編集長として誘われ、ベネッセへ。慣れない職場で「当時は、突き上げられていると感じて精神的にしんどく、気づけば泣いているという時期もありました」。またこの時期、仕事に夢中になりすぎて、離婚も経験。「仕事をやりすぎていく私の姿に、自分も含めてよくわからなくなっていたかも」
株式会社オウチーノの堀口育代さん
それでも一つの仕事が次の仕事を呼び、さらに次の仕事を呼んで、と数々の事業やサービスを成功させてきた堀口さん。ヤフーやクックパッドを経て、今は、不動産のポータルサイト事業に携わっています。「人生、生きているだけで丸儲け。私も数々の失敗もしていますが、サラリーマンの場合は、大きな失敗をしたということは、それだけ大きな挑戦をしたということ。だから、失敗は勲章とも言えます」と締めくくりました。
失敗をして、もがく中で見えた道
最後は、テキパキとした語り口でモデレーター役を務めた株式会社 ほぼ日CFOの 篠田真貴子さん。大学受験、留学、結婚、就職……と、20代までは何もかもが思いどおりの、順風満帆な人生だったと語ります。しかし、31歳で入社したマッキンゼーで3年半が経ったころ、「あなたは、成長が止まっています。もう会社にあなたを育てる余力はありません」と「退職勧告」を言い渡されてしまいます。その後、大手製薬会社のノバルティスに転職するも、「マッキンゼーに捨てられた、ダメな私」という自己イメージから、なかなか自分を認めることができず、もがく日々。そんな折、ほぼ日から声がかかり、まったく業種の異なるユニークな会社の中に、居場所とやりがいを見出していきます。
「人生には、突然リセットボタンを勝手に押されてしまうときもある。でも、大きな失敗を経験し、このつらい状況からなんとか脱出したい、ともがく中で次が見えるということもあるんですよね」と振り返りました。
株式会社 ほぼ日の篠田真貴子さん
登壇した4人に共通するのは、大きな失敗やスランプを何度か経験していること。でも、4人とも柔軟に、人生のリセットボタンを押して方向転換をしたり、泣きながらでももがいて這い上がったり。当時は辛かったであろう失敗談を、時には笑い話にして明るく語る姿が印象的でした。
失敗は、どうしたって怖いもの。でも、失敗したということは、挑戦したという証。一見マイナスに見えるようなできごとも、次の飛躍のための大事なステップなのかも。「あの失敗があったから、今がある」。そう語る4人のエジソンたちに、そっと背中を押されたような50分間でした。
成功者とは「たくさん失敗をした人」⁉︎ ポジティブ失敗論
MASHING UP 2018年2月22日 18:10〜19:00 @トランクホテル 1F
伊藤綾(リクルートホールディングス)、堀口育代(オウチーノ)、篠田真貴子(ほぼ日)、亀石倫子(法律事務所エクラうめだ)
撮影/野澤朋代、取材・文/中村茉莉花(cafeglobe編集部)
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