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リソース、コンパス、タイミング。羽ばたくための未来予測技法

「飛行機の実現までには百万年から一千万年はかかるだろう」と、『ニューヨーク・タイムズ』が掲載してからわずか数週間後、ライト兄弟は人類で初めて空を飛んだのだとか。一流紙が、なぜそんなことを自信満々に書けたのだと、当時の人々は笑ったといいます。

人間はそのくらい未来を見誤りがちなものですが、できることなら適切な予測をして、新しい社会やビジネスを生み出していきたい——。佐藤航陽著『未来予測の技法』より、より的確に未来を予測するためのポイントを紹介します。

変化に対応しつつ未来予測を的確に行う

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リーンスタートアップでは、そもそも計画することを放棄します。計画を作成しても、変化が速すぎてまったく役に立たないからです。それならばいっそのこと「未来は予測可能である」という前提を捨て、変化が起きたときにすばやく対応し、修正を重ねていけばいいというのがリーンスタートアップの概要です。

53~54ページより引用

現代社会では、予測どおりにいかないことがさまざまに起きています。それは、人の教育などについてもいえるところです。

著者は「リーンスタートアップ」の考え方は、「強者ではなく、変化に対応できたものだけが生き残る」というダーウィンの進化論をそのままビジネスにあてはめたかのようなスタンスであると語っています。そして、その考え方の本質は、「地図を捨ててコンパスを持つ」ことにあるのだとか。

たしかに、古い地図をいつまでも握りしめていたら、新しい場所にたどり着くことはできません。コンパスの指し示す方向だけを頼りに仮説を繰り返し、修正しつつ前に進んでいくことで、いち早く目的地にたどり着けるのです。

ただし、最近は、状況がさらに一段階先に進んでいると著者はいいます。その市場に参加しているプレーヤーの多くが同じように考えてビジネスに挑んでいるため、競争が激化しているのだとか。未来をより的確に予測し、先回りしていく企業や個人こそが、最終的に勝利を収めることになるといえるでしょう。

月に行きたいのなら自転車を降りなくてはならない

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ビジネス書では、効率化のノウハウや、ライフハック的なテクニックがよく紹介されています。しかし、本当に大きな成果を上げたいのであれば、真っ先に考えなければいけないのは今の自分が進んでいる道が「そもそも本当に進むべき道なのかどうか」です。いくら現状の効率化を突き詰めていっても、得られる効果はせいぜい2~3倍が限度です。

56~57ページより引用

ひたすらに現状の効率化を続けることは、目的地への近道を探すことを放棄した思考停止状態であると著者はいいます。物事の効率化をどれだけはかっても、2~3倍の最適化が頭打ちというロジックは実感として分かるところです。

10倍100倍の成果を得るためには、今、自分が取り組んでいることそのものを見直す必要があります。たとえるならば、自転車をどれだけ改造し、整備しても、宇宙に飛び出すことは永遠にできないように、月に行きたいのであれば、今乗っている自転車からいますぐに降りなければなりません。

短期間で大きな企業を作り上げた企業経営者には、意外な共通点があると著者はいいます。それは、「世の中の流れを読み、今どの場所にいるのが最も有利なのかを適切に察知する力」に長けているところなのだとか。大きなリターンを出していくためには、適切なときに適切な場所にいる先見性と柔軟性がより重要なようです。

リソースを調達してタイミングを見極める

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ビジネスの世界でアクションを起こすのは、電車に乗る行為とよく似ています。目の前には、都内の通勤ラッシュのように、分刻みのスケジュールで電車が走っています。そのなかから、選ぶ市場や戦い方によって、乗る電車を選ばなくてはいけません。ただし、乗客は、その電車がどこまで行くものなのか、事前に知ることはできません。遠くまで行ける電車を見抜けるかどうかは、乗客の未来を読む力に委ねられているのです。

79ページより引用

方針を決めるとき、それはたしかに電車に乗る行為と似ているのかもしれません。最も遠くに連れていってくれる電車を見つけてうまく飛び乗ることに成功すれば、大きく飛躍すること間違いなしです。しかし、そのためには、「切符」を持っている必要があると著者はいいます。「切符」とは、ビジネスでいえばリソース。資金やスキル、経験や人脈などが該当するといえるでしょう。そのような最低条件を持っていないと、電車に乗ることすらできないものです。そして、乗る電車によって「切符」の種類が違うということも、ビジネスと同じでしょう。

しかし、それと同時にもうひとつ重要なのはタイミングであるともいっています。何時の電車に乗るのか、こればかりは、決められた時刻表は存在しません。自分の予測に基づいて理想の電車がやってくるタイミングをはかるよりほかにありません。

未来がただ読めるだけでは価値はない。その恩恵にあずかるためには、未来に向かう電車がやってくるタイミングにあわせて必要なリソースをそろえておく。そして、駅のホームで待っている必要があります。そのタイミングは、周囲の人の反応がいちばん教えてくれるのだとか。

適切な未来予測はさまざまな要因がからみあっていますが、ひとつひとつは日々の積み重ね。気がついたら日常の繰り返しに緩慢にならないように、常にセンサーを働かせていたいものです。

未来予測の技法 時代を先読みし、チャンスを生み出す

著者: 佐藤航陽
発行: ディスカヴァー・トゥエンティワン
定価:1,500円(税別)

Image via Getty Images, Shutterstock

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ナカセコ エミコ
(株)FILAGE(フィラージュ)代表。 書評家/絵本作家/ブックコーディネーター。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。

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