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人生の節目に読みたい、「生きる」がわかる究極のレッスン

春は別れの季節。そして、新たな旅立ちの時でもあります。オフィスにおいても、異動や退職・入社など、一年でもいちばん人の出入りが目まぐるしい時期。いやがおうにも別れについて、考えさせられる瞬間が多くあります。

ミッチ・アルボム著『愛蔵版 モリー先生との火曜日』より、いかにして生き、別れと対峙するか。その考え方をご紹介します。

残された時間に最善を尽くして生きる

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医者は余命二年と見ていた。モリーはそれ以下と考えていた。しかし、心の中には深く思い定めたものがあった。それを彼は、頭上に剣がぶら下がっているような状態で診察室から出てきたその日に練り始めた。希望なくして消えていくか、それとも残された時間に最善を尽くすか——と自分に問いかけていた。めげるものか。死ぬことは恥ずかしくなんかないんだ。死を最後のプロジェクト、生活の中心に据えよう。誰だっていずれ死ぬんだから、自分はかなりお役に立てるんじゃないか? (中略)
モリーは、生と死の架け橋を渡るその道すがらの話をしようと考えた。

19~20ページより引用

スポーツコラムニストとして活躍する著者は、大学時代の恩師の姿をテレビで偶然目にします。しかし、その姿は、難病であるALS(筋萎縮性側索硬化症)に侵されていたといいます。先生の名は、モリー・シュワルツ。モリー先生は、我が身におきた突然の出来事を、実に前向きに、そしてあるがままに受け止めていきます。

『愛蔵版 モリー先生との火曜日』には、難病に侵された恩師が、週1回・毎週火曜日に、著者ただ1人に語ってくれた、生涯最後となった授業の様子がまとめられています。1977年に出版された著書は、世界の小・中・高・大学においてカリキュラムの一環として使われることも。世界で1600万部を超える大ベストセラーになり、刊行20周年を記念して、著者・訳者による新たなあとがきが加えられた「愛蔵版」が刊行されたほど。それほど長い間、人はいかに生きるべきか、そして死にどう向き合うかを多くの人々の心に訴えかけてきたといえるでしょう。

つくり出した愛は、死んでも生き続ける

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「よろしい。さてここで、あれっというような結論になるんだけど、われわれ人間は、こういったすばらしい植物や動物とは実はずいぶんちがうんだよ。人間は、お互いに愛し合えるかぎり、またその愛し合った気持ちをおぼえているかぎり、死んでもほんとうに行ってしまうことはない。つくり出した愛はすべてそのまま残っている。死んでも生きつづけるんだ——この世にいる間にふれた人、育てた人すべての心の中に」(中略)
その前に、モリーが最後に口にしたセンテンスはこれ。「死で人生は終わる、つながりは終わらない」

221ページより引用

死の床にあった恩師モリー先生を訪ねた著者は、毎週火曜日に先生からさまざまな講義を受けることになります。講義の内容は多岐に渡ります。たとえば「自分をあわれむこと」「感情について」「許しについて」。そして、先生はことあるごとにこんな言葉を語ります。

「愛とは、人生が終わっても生きてとどまることだ」
「思いやりをもつ。お互いに責任をもつ。これだけで世界はずっと素敵な場所になる」
「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べるんだよ」

先生と著者のような状況と関係性は、稀なことかもしれませんが、誰の人生にもさまざまなシチュエーションで別れはやってくるものです。たとえば、介護する人とされる人、親と子、先生と生徒、上司と部下。死ぬことは悲しいことだけれども、それを絶望視してただ待つのではなく、どう生きてどう死んでいくか。最後まで自らの問いかけ、惜しみない熱量と愛情を著者に注いだ先生の言葉は、現代を生きる私たちの心にも強く伝わるものがあります。

さまざまな別れが交錯する春だからこそ、自分が生きる意味や死、そして別れについて、真正面から考えてみたいものです。

愛蔵版 モリー先生との火曜日

著者:ミッチ・アルボム(翻訳:別宮 貞徳)
発行:NHK出版
定価:1,800円(税別)

Image via Getty Images

ナカセコ エミコ

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