仕事を始めた頃は何もかも新しく、日々の経験を通して自分の成長を感じられたもの。しかしキャリアを重ねた今、「これでいいのだろうか」と漠然とした不安を抱えている人もいるのではないでしょうか。
そうした不安を払拭し、これからの人生に希望を持つためにも大切なのが「学ぶこと」。
東京大学・大学総合教育研究センター准教授の中原淳先生は、著書『働く大人のための「学び」の教科書』のなかで、大人が学び直すことを以下のように説いています。
「大人の学び」とは、「自ら行動するなかで経験を蓄積し、次の活躍の舞台に移行することをめざして変化すること」と定義します。
28ページより引用
これから続く「仕事人生」を豊かに過ごすために
なぜ大人になっても学び続けなくてはならないのでしょうか。それは、健康寿命が伸び、「長い人生を、できるだけ働きながら過ごすこと」が求められているからです。
あまり見通しのもてない社会保障に対して薄々、人々が覚悟を決めているのが、「仕事人生の長期化」です。要するに「仕事人生を長くしてもらって、自分の生活はできるだけ自分自身で支えていかなければならないのではないか」と多くの人が気づいています。
19ページより引用
そのためには、現状に満足するのではなく、直面する様々な「変化」に対応していくことが必要です。
仕事の経験を積んできた30〜40代は、仕事をバリバリとこなせる「仕事人生のピーク」の世代。管理職やチームリーダーとして、責任あるポジションを任せられることもあるでしょう。しかし、そのピークを過ぎれば、求められる仕事や、自分にできることも変化していきます。
ピークに達した自分のキャリアを横ににらみつつ、長い仕事人生を全うするべく、いったんは「下山」を行ったり、再び山に向かう「再登山」が求められています。
22ページより引用
「下山」や「再登山」という変化は、なかなか受け入れがたいことかもしれません。しかし、時代の流れとともに変化するスキルや知識を学び直せば、新たな自分の道が見つかり、仕事を長く続けられるのだと中原先生は言います。
「楽しめること」「他人から感謝されること」に挑戦する
「でも、何を学べばよいかわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで中原先生は、2つのヒントを提案しています。ひとつが、「楽しみを感じることにチャレンジする」こと。そして、もうひとつが「感謝されることにチャレンジする」こと。
何を学べばよいかわからないということは、自分の方向性が定まらず、「わたしの存在が弱っているとき」。そんなときには、自分一人で内面を見つめるより、自分から離れ、他人から感謝されることを試したほうがよいと、中原先生は言います。
勇気を出して、新しい学びの第一歩を踏み出す
さらに中原先生は、自分の方向性に疑問を持っている状態を恥じることはないと言います。それよりも大切なのは、勇気を出して「まずはやってみること」。そうしなければ、本当にそれが学びたいことなのかどうかがわからないからです。
大人にとって必要なのは、まず、動くことです。とりあえず、「これだな」と思った方向に背伸びをしてみる。何をやっていいか、まったくわからないときには、「楽しみを感じること」「他人から感謝されること」に取り組んでみる。そのうえで生じる結果を見つめながら、ときおり方向転換をしていくことが大切だと思います。
64ページより引用
学びの第一歩を踏み出すのは、なかなか難しいこと。しかし、これから先の人生を、自分らしく、楽しく過ごすためには、少し背伸びをすることが大切なのです。
働く大人のための「学び」の教科書
著:中原 淳
出版社:かんき出版
定価:1620円(税込み)
健康寿命80代まで働く時代。働き続けるためには、社会人も学び続け、成長し続ける必要があるといわれる。でも「どうして学び続けなければいけないのか、何を学べばよいのか、本当にはわからない」という人もたくさん。そこで、「大人の学び」を体系立てて解説。今からやるべきことは何かが見えてくる一冊。
[働く大人のための「学び」の教科書]Image via Shutterstock

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