今でこそ、科学分野、いわゆるSTEMへの女性の進出が当たり前になってきましたが、70年ほど前は状況がまったく違っていました。
美貌のハリウッド女優へディ・ラマー
70年前ではなく、現代に生きていたらきっとSTEM界のスターになっていただろうと思う女性がいます。
女優のへディ・ラマー。
それは、女優のへディ・ラマー。
1914年ウィーンに生まれ、目を見張るほどの美貌で1930年代からハリウッドで活躍。代表作には、1941年の『美人劇場』や1949年の『サムソンとデリラ』があります。
その彼女を取り上げたドキュメンタリー映画『Bombshell: The Hedy Lamarr Story』が、女性監督アレクサンドラ・ディーンによって完成しました。
発明という知られざる才能
なぜ、ディーン監督はへディを取り上げたのでしょうか。
それは、へディの発明家というあまり知られていない一面を知ってもらうため。
映画では彼女の歴史的な発明が、その美しすぎる容姿や女性であること、外国人であることなどを理由に日の目を見なかったいきさつが描かれています。
周波数ホッピング技術を開発
子どものころから発明心のあったへディ。
1940年代に作曲家のジョージ・アンタイルと協力して開発したのが、周波数ホッピング技術でした。連合軍に貢献しようという一心で、ドイツ軍の妨害を受けない魚雷の無線誘導システムを発明し、1942年には特許も取得していたのです。
ところが当時アメリカ海軍はその技術には目もくれず、へディには人気女優として軍事公債を売ることでの協力を要請。へディはその活動で多額の貢献をしますが、それは彼女が心から望む形ではなかったのかもしれません。
特許技術は最終的には軍に採用されますが、特許料が彼女のもとに入ってくることはありませんでした。
周波数ホッピング技術は、Bluetoothなどの通信技術にも応用されているそう。この発明が軍事面だけではなく、その後の社会にとってもいかに重要な発明だったかがわかります。
映画製作業や美容整形の先駆者
聡明な印象のヘディ・ラマー。
彼女の才能は発明だけにとどまりませんでした。
本業の映画でも製作業に進出します。当時のハリウッドで女優が製作業をするというのは前代未聞。完成した作品を公開するにも苦労したのです。
また、美貌と若さを保つための美容整形の草分けでもありました。耳の後ろなど、美容整形医師に切開する箇所の提案などもしたそうです。
女性製作陣が描く、レッテルと闘う多才な一女性の物語
アレクサンドラ・ディーン監督
『Bombshell: The Hedy Lamarr Story』からは、類まれな美貌ゆえに、存命中にはそれ以外の才能が認められなかったヘディのことを世間に知らしめたい、彼女の素顔を描きたいというディーン監督の強い決意が伝わってきます。
製作総指揮を執った女優のスーザン・サランドンはこう言っています。
これは、美貌で定義されたハリウッドの一女優のストーリーです。その裏では、彼女は一流の発明家で、歴史を変えた人でした。
[Variety]
タイトルの『Bombshell』には魅力的な女性と爆弾という2つの意味がかけられています。Bombshellの典型だったヘディが、爆弾に関する発明をしたことを表現していて、タイトルも映画も秀逸。
へディだけでなく、性別や人種などさまざまな理由で才能を活かしきれなかった人たちがいます。今、機会は増えましたが、それでも活躍の場を制限されている人たちがいなくなったわけではありません。
『Bombshell: The Hedy Lamarr Story』で、魅惑的な女優兼発明家のことを知ってください。
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[Zeitgeist Films , Variety]Images courtesy of Zeitgeist Films

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