1. Home
  2. Work
  3. 楽しく、挫折せず、身になる「学び方」って?/立教大学教授 中原 淳さん #02

Re:Study ー今、必要な学びー

楽しく、挫折せず、身になる「学び方」って?/立教大学教授 中原 淳さん #02

Re_studynakahara-2_top

定年レス時代を見すえたとき、社会人が学び続けることは絶対に必要。では、楽しく、挫折せず、身になる、正しい学びの道を歩むには? 立教大学・経営学部教授の中原淳先生に、学び始めるときに覚えておきたい「学びの原理原則」を教えてもらいました。

中原 淳(なかはら・じゅん)さん
立教大学経営学部教授。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授等をへて、2018年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人材開発・組織開発について研究している。Blog:NAKAHARA-LAB.NET(http://www.nakahara-lab.net/)。Twitter ID : nakaharajun

1:新しい学びの軸となる「自分の立ち位置」を見つける

これから何か新しいことを学ぼうとするとき、方向性が定まらず途方に暮れてしまうことも。「そんなときは、まず、自分の立ち位置を見つけてください」と中原先生は言います。

自分が好きなことは何か、続けてきたことは何かという『立ち位置』を見つけ、そこから新たな学びを切り開くのが堅実な方法です」(中原先生)

しかし、立ち位置を見極めずに「これまでと違う新しいことをしなければ!」「会社を辞めて海外に留学しなくては!」と意気込んでしまう人も多いと言います。

「僕は『人生帳消しモデル』と呼んでいますが、もちろんそれで上手くいく人もいますがごくわずかです。普段過ごす時間が長いのは職場ですから、そこでの経験を活用しない手はありません。新しい学びは、これまでの仕事人生の連続上で探求したほうが確かだと思います」(中原先生)

IMG_0221_640

社会人の学びについてわかりやすく解説された中原先生の著書『働く大人のための「学び」の教科書』(かんき出版)。

2:「人から感謝されるかどうか」も、ひとつの指標に

そうはいっても、今の仕事が本当に自分に合っているのか、それを軸にして新しい学びを探してもよいのか、いまいち自信が持てないということも。

「毎日ルーティーンのように続けている仕事って、大したことのないような感じがすると思います。でも違う場所に行くと、そのスキルが感謝されることがすごくあるんです。もし自分の立ち位置がわからない場合は、『人から感謝される仕事かどうか』を指標にしてみるとよいかもしれません」(中原先生)

他人から感謝されれば純粋に喜びを感じることができ、学び続けるためのモチベーションを保つことにもつながるのだそうです。

3:1年に2回、過去を振り返る時間を持つ

もうひとつ、自分の立ち位置を見つけ、中長期的な視点に立って仕事人生を考える時に有効なのが「自分を振り返る」こと。

「とはいっても、過去の自分を振り返るのは面倒で嫌ですよね……。僕も振り返るのは嫌いです(笑)。毎日忙しいし、考える暇もありませんよね。だから、毎年振り返る日を決めてしまうんです。僕の場合は、1年に2回共同研究者同士で1泊2日の合宿をするのですが、半期で何をやってきたかをA4一枚にまとめて発表する課題を設定することで、半ば強制的に過去を見つめ直すようにしています」(中原先生)

IMG_0034_

4:学び続けるためには、ベビーステップで進んでいく

大人が学ぶとき注意しなくてはならないのが、がんばりすぎることだと中原先生は言います。

「頑張ろうという気持ちが先走って、敷居を上げてしまうと学びは続きません。たとえば経理の仕事をしている人なら、普段の仕事の効率をアップするためにマクロの知識を得るなど、新しく何かを学ぶときは、ベビーステップ、つまりものすごく小さな一歩を気軽に続けていけばいいんです。まずは地に足をつけて、がんばらずにやれることを探してみてはいかがでしょうか」(中原先生)

しかし、いくらベビーステップとはいえ、最初の一歩を踏み出すのは勇気がいるもの。「大人になると、最初の一歩がすごく重い。僕もそうなので気持ちがよくわかります」と中原先生。

「先日、海外の有名大学の教授がワークショップを開くと聞いて意気揚々と申し込んだのですが、前日になって『英語だし、面倒だし、申し込まなければよかった……』と後悔して、『なんだか熱っぽいな』とか『大変な仕事が控えてるし』とか、行かない言い訳ばかり考えてしまって(笑)。でも結果として、行ってよかったと思いました。もし一歩がすごく重く感じたら、みんなも同じだと思えば気持ちが楽になると思います」(中原先生)

IMG_0215_640

これらの基本的な考え方を知っていれば、自分を見失うことなく新たな一歩を踏み出せるはず。

失敗してもGood try!と自分をほめて、自分に合う学びを探せばいいんです」と中原先生。まずは自分ができそうなことから、気軽に始めてみることが大切そうです。

働く大人のための「学び」の教科書

著:中原 淳
出版社:かんき出版
定価:1620円(税込み)

*こちらもおすすめ

長い仕事人生をハッピーに完走するには?/立教大学教授 中原 淳さん#01

「定年レス」の時代に突入しつつある今現在。では、時代が変化してもずっと働き続けていくためには? 立教大学経営学部教授、『働く大人のための「学び」の教...

https://www.cafeglobe.com/2018/07/re_study_retirement_less.html

わたしは何を勉強すればいい?「大人の学び」の見つけ方

社会人も継続的に学ぶ時代が到来。でも、何をどうやって学ぶのがベスト? 東京大学・大学総合教育研究センター准教授の中原淳先生の著書『働く大人のための「...

https://www.cafeglobe.com/2018/05/restudy_03.html

働く大人のための「学び」の教科書] 撮影/中山実華

  • facebook
  • twitter
小口梨乃

    Re:Study ー今、必要な学びー

    おすすめ

    powered byCXENSE

    JOIN US

    MASHING UP会員になると

    Mail Magazine

    新着記事をお届けするほか、

    会員限定のイベント割引チケットのご案内も。

    Well-being Forum

    DE&I、ESGの動向をキャッチアップできるオリジナル動画コンテンツ、

    オンラインサロン・セミナーなど、様々な学びの場を提供します。