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20/1,500,000,000人! マイクロターゲティング広告の威力

The New York Times

フェイスブックはこれまで、顧客としてもっとも見込みのあるユーザーだけにリーチできるサービスを広告主に提供することで大儲けしてきた。現在地、政治志向、さらには連合博物館やオンライン・ギャンブルに興味があるか、などといったかなり細かいレベルでも閲覧者を選り分けることができる。

1日あたり15億人と言われるフェイスブックのユーザー数から、広告のターゲットをわずか20人くらいにまで絞って狙い撃ちをすることができるのだ

企業ブランドはもちろん、政治キャンペーンでもこの技術をこぞって活用した。たとえば、ドナルド・トランプ現大統領やオバマ元大統領なども、有権者を細かく分類し、それぞれの特性に応じたオーダーメイドのメッセージを送っていた。

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Image via Getty Images

マイクロターゲティング広告って、危ないの?

しかし、マイクロターゲティングと呼ばれるこの技術について、慎重に調査する動きが米国や欧州で広まっている。政府高官や研究者、広告会社役員の一部は、この技術が有権者を分断し不当に操作するために利用されかねない、と警告している。そして、政治活動におけるこの技術の使用を制限するべきだと主張している。

英広告代理店協会のサラ・ゴールディング代表は、「これは、一般消費者向けの商品・サービスのために設計された広告技術を武器化したものです」と解説した。ゴールディング代表率いる同協会では最近、マイクロターゲティングの政治利用の一時停止を求めた。

2016年米大統領選へのロシアの介入がきっかけ

マイクロターゲティング広告が警戒される大きなきっかけとなったのは、ロシアによる米大統領選への介入、そして政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカがフェイスブックのユーザー数百万人分の個人データを収集していた事件だった。その際に主要なツールとして使われていたのが、マイクロターゲティングだったのだ。

英国では7月、情報コミッショナーオフィス(ICO)がまとめた政治キャンペーンに関する報告書の中で、マイクロターゲティングにおける個人情報の使用を“倫理的な理由で休止”し、この技術がもたらす影響について監督官庁や企業は熟考すべきだとする意見が注目を集めた。

どのようにロシアは介入できた?

「これらの技術は、プライバシーと民主主義との関係を根幹から揺るがすものです。監視されているかもしれないという懸念が有権者の間に広まれば、政治ばなれを引き起こしかねません」英情報コミッショナーのエリザベス・デンハム氏は報告書の中でこう述べていた。

また、2016年米大統領選において、ロシア政府と関連するグループがどのようにしてこの広告技術を使用していたのか、ということについての新しい調査結果も発表され、さらに懸念が高まっている。

さらに、ウィスコンシン大学マディソン校のヨン・ミー・キム教授がまとめた報告書では、“インターネット・リサーチ・エージェンシー”というロシア政府関連グループが、フェイスブックの広告システムを活用して非白人の有権者を特定した手法について解説。同グループは、非白人の有権者層を投票に行かせないよう働きかけていた。

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ウィスコンシン大学マディソン校のヨン・ミー・キム教授。(Justin T. Gellerson/The New York Times)

具体的にどういうことなのかというと、まず選挙1週間前、同グループはフェイスブックにお金を払って、アフリカ系アメリカ人の歴史や公民権運動、キング牧師やマルコムXなどの人物に興味を持っているユーザーを選別。そして、ビヨンセのバックダンサーの写真に「ブラックガール・マジック!」のコピーを添えるなど、一見楽しく無害そうな広告を打った

そして選挙当日、今度は同じユーザー層を狙って、大統領選をボイコットするようけしかけた。その広告には、「黒人を代表してくれる人なんていない。投票に行くのをやめよう」と書かれていた。

批判を受けて、大幅改善したフェイスブック

ロシアによる選挙介入を受けて、フェイスブックは広告システムを大幅に変更した。

5月、フェイスブックはロシアの介入グループが使用していた広告ターゲティング項目を削除した。全体の3分の1に相当する量だった。その中には、“若い黒人で、プロフェッショナル”、“アメリカ先住民族”、“障がいを持つ退役軍人を助ける”などの項目が含まれていた。

さらに同社は、特定のセンシティブなカテゴリ(人種、民族、性的指向、宗教など)に属するユーザーを閲覧者から除外する広告オプションも廃止した。これらの変更は、米国の調査報道機関プロパブリカが、フェイスブックの広告システムを批判する記事を公開した後に行われた。

しかし、それでもまだ、多種多様な項目で広告の閲覧者を選別できる状態にある。たとえば、ZIPコードや教育水準、スマートフォンのブランド、さらには政治的に中立なのか、超保守的か超リベラルなのかによってもターゲットを絞ることができる。

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フェイスブックの幹部たち。左より、マーク・ザッカーバーグCEO、ダン・ローズVP、シェリル・サンドバーグCOO。 (Photo by Drew Angerer/Getty Images)

フェイスブックの措置は「まだまだ不充分」

フェイスブックの行った措置は、これだけではない。今後、フェイスブックで政治広告を打つ際には、識別情報や所在地だけでなく、誰が広告料を支払っているのかまで情報を開示するよう求められるようになるという。さらに5月には、フェイスブックとインスタグラム上に表示される政治広告のアーカイブも導入。このアーカイブには、広告費、閲覧率、広告閲覧者の属性などの情報が含まれる。

しかし、公民権の専門家や研究者の一部からは、フェイスブックのこれらの努力はまだまだ不充分だと批判する声があがっている。たとえば、前述のアーカイブには、ロシアのグループが有権者を絞り込むのに使用した項目が含まれていない。

米国では先日、“誠実な広告法(Honest Ads Act)”という名前の法案が上院に提出された。これは、政治広告がターゲットとする閲覧者の各属性について詳細な説明を提供するよう、オンライン・サービス業者に義務付けるというものだ。法案を提出した議員の中には、ジョン・マケイン上院議員も含まれていた。

行き過ぎた規制は、逆に良くないという声も

一方で、マイクロターゲティングを制限しすぎるのも良くない、という専門家もいる。初めて投票する有権者や、新たに移民としてやってきた人々などが政治情報をキャッチしにくくなるからだという。彼らは、今までにも多くの政治キャンペーンにおいて“優先順位が低い”と捉えられがちだった。

「行き過ぎた修正をすると、もともと政治への関心が薄い層にリーチできなくなってしまう。ぜひ政治に積極的に参加したい、と彼らに思わせるチャンスまで失ってしまうことになるでしょう」。ノースカロライナ大学チャペルヒル校でポリティカル・マイクロターゲティングを研究しているダニエル・クレイス准教授はこのように語った。

© 2018 The New York Times News Service[原文:Weaponized Ad Technology’: Facebook’s Moneymaker Gets a Critical Eye/執筆:Natasha Singer](抄訳:吉野潤子)

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