1. Home
  2. キャリア
  3. ハローじゃなく「ナマステ」で、巨大EC市場を狙うアマゾン

ハローじゃなく「ナマステ」で、巨大EC市場を狙うアマゾン

The New York Times

インド人約13億人のうち、じつは英語を理解できる人口はたったの10%だ。にもかかわらず、インド国内のeコマース・サービスのほとんどは、これまで英語だけで提供されてきた。その結果、大多数のインド人はオンラインショッピングから締め出されていたのだ。

今、EC大手のアマゾンは、この“言語の壁”を壊そうとしている。同社は2018年9月4日、インドで最も多く使用されている言語であるヒンディー語の現地サイトとアプリを用意したことを発表、インドにいる5億人のヒンディー語話者に心からの「ナマステ(こんにちは)」の言葉を贈った。

ちょうどアメリカ在住のアマゾン利用者がスペイン語を選択できるように、今後はインド在住の利用者も同社のサイトやアプリでヒンディー語を優先的に使用する言語として設定できるようになる

AMAZON_INDIA_1

Priyadarshini Ravichandran/The New York Times

インドを制するにはヒンディー語がカギ

インドを次の主力市場にしようと目論むアマゾンにとって、ヒンディー語サービスへの進出は必須だ。他の企業は同じ戦略を取ろうとしてことごとく撤退してきたが、そんな中でもアマゾンはインドの現地語に初めて挑戦しようとしている

330億ドルもの市場規模を持つインドeコマース市場において、アマゾンはすでにナンバー2の地位を獲得している。同社によると、インド国内の登録ユーザー数は、すでに約1億5,000万人に達しているそうだ。

しかし、インターネットユーザー数が世界で最も急速に増加しているインドにおいて、都会から遠く離れた地域にもリーチし、さらに教育水準のあまり高くない顧客層にもアピールしたいアマゾンにとって、英語だけでは不十分だとわかったのだ。

英語以外の言語でショッピングしたい!

「ここからさらに1億人の顧客を獲得するためには、現地語のサービスを提供しなければなりません」そう話すのは、アマゾン・インディアの顧客体験・マーケティング部門ディレクター、キショール・トータさんだ。

トータさんによると、インド人顧客の10人中8人が、英語以外の言語でオンラインショッピングをしたいと考えていることが同社調査で明らかになったという。「製品やサービスが自分の使用している言語で提供されていると、信頼度が増すのです」とトータさん。

さらに、ヒンディー語話者向けのサービスを提供すれば、ニューデリーからの政治的圧力をかわしやすくなる可能性も考えられる。ニューデリーの政治家は、外国のIT企業の影響力を減らすための対策を検討しているところだ。

AMAZON_INDIA_5

アマゾン・インディアの顧客体験・マーケティング部門ディレクター、キショール・トータさん (Priyadarshini Ravichandran/The New York Times)

ヒンディー語以外の言語でも準備中

もしヒンディー語版のサイトとアプリが成功したら、アマゾンは他の主要現地語のオプションもすぐに追加する準備をしている。たとえば、ベンガル語、タミル語、カンナダ語、テルグ語などだ。

今から3年ほど前に、Snapdeal(スナップディール)という別のEC企業もインド現地語サービスに挑戦したことがあったが、利用者が少なかったためすぐに撤退する羽目になった。

しかし、アマゾンは今、“機は熟した”と判断している。モバイルデータが安価になったことで、現地語話者がものすごい勢いでインターネットに流れ込んできているからだ。

ヒンディー語サイトの翻訳作業は大変だった!

アマゾンにとって、ヒンディー語サイトとアプリの構築は、最初から苦労の連続だった。約2年前にスタートした時、当初は英語版サイトをそのまま翻訳アルゴリズムに通してみたのだそうだ。ところが、その結果は「まったく判読不能だった」とトータさん。

そこでチームは振り出しに戻り、人の手で翻訳することにした。出来上がったヒンディー語版のサンプルを既存顧客と見込み顧客に見せて、さらに推敲。完成した最終版は、大量翻訳に使用するアルゴリズムを組むのに活用した。

まだ全ての翻訳が完了したわけではなく、アマゾンは主要ブランドと協同で各サイトの翻訳作業に取り組んでいる。ページの記載内容が正しいかどうか、スタッフが目視でもチェックしている。ほとんどの場合、英語からヒンディー語への訳語は何通りもあるからだ。

難しいのは、英語をミックスして使う話し言葉のヒンディー語だ。アマゾンでは、「free(フリー)」「jeans(ジーンズ)」「cash on delivery(代金引換)」などの言葉については英語のままにしておきつつ、デーヴァナーガリー文字で表記することに決定した。

AMAZON_INDIA_3

Priyadarshini Ravichandran/The New York Times

オンラインの買い物は「ハイレベルで難しそう」

年間4,000万人のインターネットユーザーが増加しているインドにおいて、言語こそが、オンライン買い物客を増やすための唯一の障害である。この事実は、ベイン、グーグル、そして投資会社Omidyar Network(オミダイア・ネットワーク)が実施した最近の調査で明らかになっている。

同調査によると、インターネットへのアクセスを有する3億9,000万人のインド人のほとんどは、友達・家族とのチャット、動画や音楽の視聴、宗教関連コンテンツの検索、ニュース閲覧などにインターネットを使用している。オンラインショッピングを利用しているのはたった40%にとどまり、しかもおよそ3分の1は一度きりしか買い物していない。

オミダイア・ネットワークのインド事業責任者であるルーパ・クドヴァさんによると、インターネットユーザーになったばかりの人々にとって、オンライン上で何かを買うという行為は“最後のステップ”となっているそうだ。

「インド人は基本的に、とても快適な気分でインターネットを活用しています。けれども、オンライン上の支払いとなると、専門的な知識を必要とする非常にハイレベルな行為に思えて、敬遠してしまうのです」とクドヴァさん。

そもそも「買い物かご」に馴染みがない

現地の人にとって親しみ深い言語でサービスを提供するのも重要だが、ショッピングカート機能のようにグローバルで標準となっているオンラインショッピングの仕組みのほとんどはインド人にとって馴染みのないものだとクドヴァさんは指摘した。

彼らにとって買い物と言えば、まずお店に出かけて、欲しい商品を棚から取り出してほしいと店員に頼むものだからだ。

これらの問題は、ヒンディー語版サイトを用意しただけですぐに解決するものではないと気づいたそうだ。

アマゾン・インディア社長のアミット・アガーワルさんは、「顧客のことを理解すれば、もっと快適にオンラインショッピングを楽しめるようになるでしょう。しかし、我々が今取り組んでいるのは、インドにおける買い物の形を究極的に変えるために乗り越えなくてはならない、あらゆる面での障害です」

2021年までに、インドのインターネットユーザーの73%が英語以外の言語を選択することが、KPMGとGoogleが2017年に実施した調査で明らかになった(2016年時点では57%)。

このトレンドを踏まえて、インドに進出しているすべてのECサイトは、現地語に対応するべく対策を練らなくてはならない。

© 2018 New York Times News Service[Amazon’s Plan to Reach 500 Million Indians: Speak Their Language/執筆:Vindu Goel](抄訳:吉野潤子)


▼ Sponsored

世界を動かすトイレの伝道師、ジャック・シムさん

不動産ビジネスで成功を収めたのちに突如、トイレ問題に向き合う社会起業家として活動をはじめたジャック・シムさん。政府、国連まで突き動かした彼の活動の原...

https://www.cafeglobe.com/2018/09/mu2_jacksim.html?test2018_01

【緊急座談会】スマートウオッチ、使うべき?……YES!

仕事時にぴったり、といわれながら、多機能すぎて使いこなせるのかどうかと、ハードルの高さを感じる女性も多いスマートウオッチ。そこで、編集部員が実際に着...

https://www.cafeglobe.com/2018/09/citizen_eco-drive_w410.html?test2018_01

  • facebook
  • twitter
  • hatena

    ハローじゃなく「ナマステ」で、巨大EC市場を狙うアマゾン

    FBからも最新情報をお届けします。

    メールマガジンにご登録いただくと、 MASHING UPの新着記事や最新のイベント情報をお送りします。

    また、登録者限定の情報やイベントや座談会などの先行予約のチャンスも。

    MASHING UPの最新情報をご希望の方はぜひご登録ください。