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CONFERENCE:MASHING UP vol.2

大衆の心をつかみ、製品を手に取ってもらうカギは?

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2018年11月29日・30日に行われたMASHING UP。『企業が「マイノリティの共感」に取り組むワケ』というテーマのセッションでは、企業として多様な文化への歩み寄りに挑戦する方々が集まりました。登壇者は、パナソニックの片山朋子さん、KDDIの松木恵さん。そして進行役は、ツナグの佐藤尚之さんがつとめます。

顔のない"大衆"からマイノリティの集積という"大衆"へ

「大衆という顔が見えない一つのかたまりはもうない。小さな集合体の集積、つまりマイノリティの集積があるだけである」と語るのは佐藤さん。そしてそのマイノリティがグループとして成立している理由は、嗜好性や環境・状況といった"共感"によるつながりがあるからだと語ります。

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ツナグの佐藤尚之さん。

AIDMA(Attention:注意→Interest:関心→Desire:欲求→Memory:記憶→Action:行動)やAISAS(Attention:注目→ Interest:関心→Search:検索→ Action:行動→ Shere:共有)といったATTENTION(注目)を念頭に置いた購入モデルで、顔の見えない"大衆"という存在に企業の価値観を強く打ち出して商品を受け取ってもらうことは古くなりつつあるようです。

従来の大衆は終わりを遂げた、もしくは変化しており、マイノリティの集積という"大衆"となっています。企業の価値観を共感してもらうことが、伝わるために必要な時代だと会場に呼びかけました。

少人数でも強い共感を抱く人びとがいる

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KDDIの松木恵さん。

「iPhone持ってる人、手を上げてもらえますか?」と松木さんが会場へ呼びかけると、ほとんどの人が挙手。フリック操作のスマホが主流の今、KDDIはあえてキーベースの携帯電話「INFOBAR」を15周年記念モデルとして販売開始しました。

その理由として、長年「INFOBARは出ないのか?」と声を出し続ける人たちがいたことを明かしました。フリック操作もできるけれど、キー操作を好んでいる人たちがいて、INFOBARの復活を望んでいる。マーケットは小さいものの、auを長年利用してくれているマイノリティグループに目を向けて企画を進めることで、販売に至ったそうです。

社員が愛したプロダクトは共感を生み、影響が広がる

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パナソニックの片山朋子さん。

片山さんは「The Roast(ザ・ロースト)」という焙煎マシンについて語りました。関わっていた社員が、本当に商品のことを愛していて、本当にコーヒーが好きな人たちとつながることができるようになったといいます。

「結果、(お客さんが)商品を育ててくれるとか、周りのビジネスが発生するようになったと聞きました」

強い共感が生む影響力の大きさについて実感したそう。

その一方で、「これは本当に売れるのか、スケールするのか」という社内からの疑問の声と衝突することもあります。社内を突破する秘訣について松木さんは、「後押ししてくれる人のアタリを正しくつけなくてはいけない」と自身の体験を通して語りました。そのうえで、巻き込む人を間違えたり、反対する人がいた場合でも、その理由を突き詰めることで、ただの"反抗勢力"として終わらせず、効果的な作戦を立てるチャンスとすることができます。

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マイノリティの共感が求められる一方で、マーケットが小さいという理由から、社内で意見を通しづらいという課題を多くの企業が抱えています。組織という課題を突破する方法について片山さんは「諦めないコミュニケーションが大事」と語り、松木さんは「まずは自分が、一番の理解者・ファンになることが必要」と呼びかけました。

片山朋子さん(パナソニック 未来戦略室)
2008年パナソニック入社。R&D部門でのデジタル家電向けソフトウェア開発を経て、日・米での新規事業開発に従事。 2017年2月より現職。「未来のくらしのプロトタイプ」プロジェクト等の活動を通して、 パナソニックの超長期の戦略立案を行っている。

松木恵さん(KDDI 商品企画本部 プロダクト企画部 端末2G グループリーダー)
第二電電株式会社(DDI)入社したのち、2000年10月KDDI株式会社発足。 コンシューマ営業(インターネット・モバイル)に従事した後、商品企画本部にてauの商品企画・開発を担当。 2016年4月から事業統括担当役員付補佐を1年間経験し、2017年4月より現職。 現在は、INFOBARをはじめお客様のニーズに沿ったauオリジナルモデルの企画を推進し、 商品を通してauのお客様体験価値向上に取り組む。

佐藤尚之さん(ツナグ 代表取締役)
(株)電通にて、コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・ディレクターとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。著書に「明日の広告」「明日のコミュニケーション」「明日のプランニング」など。最新刊は「ファンベース」。

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MASHING UP

企業が「マイノリティの共感」に取り組むワケ
2018年11月29日@TRUNK(HOTEL)

撮影/酒 航太

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せきぐちゆう
フリーライター。インド在住後、2012年からライティング業務に従事。インドのRabindra Bharati大学、オーストラリアMacquarie大学で学んだ経験を生かし、英語教材出版社やニュースメディアなどで執筆中。

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