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MASHING UP/マッシングアップ vol.2

プロジェクト成功のカギは巻き込み力/Mr.トイレット、ジャック・シムさん[インタビュー]

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2018年11月29日・30日トランクホテルで開催されたビジネスカンファレンスMASHING UP。1日目、最初のセッションであるキーノートスピーチに登壇したのは、世界中にトイレを普及させている社会起業家のジャック・シムさんです。

トイレの伝道師としての活動の先には、貧困根絶などさらなるビジョンが広がっています。次々と新しいアイディアを実行に移していけるのはなぜなのか? トークを終えたシムさんに、お話を伺いました。

リーダーよりも、ファシリテーターが必要とされている

——セッションでは、たった一人で始めたトイレ普及の活動を、世界の首脳や国連をも巻き込むムーブメントに育てていった経緯をお話しされていて、大変刺激的でした! MASHING UPに参加された感想や、セッションの手応えをお聞かせください。

ジャック・シム:興味深い活動をされている方々が集まっていて熱気を感じますし、会場からはとてもポジティブな反応をいただきました。

セッションでお話しした「Feminine Philosophy – フェミニン・フィロソフィー(女性的な哲学)」では、指導者としてムーブメントを率いるリーダーよりは、ミッションを分かち合う人々の活動を円滑にするファシリテーターが重要だと考えます。1人がインスパイアできる人数は限られていますが、大勢のリーダーがそれぞれの持ち場でさらに人々を巻き込んでいけば、大きな仕事を達成できます。

ベースにあるのは、お互いが尊重しあう女性的な考え方です。家族を支える要となる存在なのに自分の手柄を言い立てない、母のようなあり方と言ってもいいかもしれません。競争や個人主義をあおる男性原理ではたくさんの敗者が生まれてしまいます。 皆が協力しあったほうが世界はよくなるはずです。

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——とはいえ、いま世界各地で男性原理で支配するタイプのリーダーが選ばれています。社会システムのひずみに苦しむ人々が変化を求めての結果だと思うのですが、この流れは変えられるのでしょうか?

ジャック・シム恐怖ではなく、愛をベースに社会を築かなければいけません。人々の恐怖を利用するタイプのリーダーは長続きしません。社会は右寄りになったり左寄りになったりと、振り子のように移り変わるものです。悲観せず中庸を目指していけばいいと思いますよ。

イノベーションを生むため、教育を変える

——ビジョンを具現化するには、説得力のあるストーリーとして世界に向けて発信すればいいとおっしゃっていました。シムさんはユーモアのセンスや、人を引きつける語りの才能をお持ちですが、そういう能力は誰でも身につけられるものなのでしょうか?

ジャック・シム:人のやり方を真似てもほころびが出ます。個々が自分にあったやり方を見つければいいのです。内側から自然に出てくる言葉は人々にうったえる力があります。信念があれば、人の信頼を得ることができます。

——新しい教育システムを構築されているそうですね。

ジャック・シム:今ある仕事の多くはロボットの方が効率的にこなせます。ですので、ロボットにはない発想力や、人間的な能力を伸ばすことが急務です。

そこで、「School of Gumption(進取の気性のための学校)」と銘打った新しい教育カリキュラムを作っています。キーワードは、Curiosity(好奇心)、Courage(勇気)、Compassion(共感)、Commitment(関与)、Collaboration(協働)、Calmness(平静さ)です。

最初は政府に働きかけていたのですが、既存の教育制度を変えるのは難しく、現在は世界中のさまざまな企業と組んで進めています。

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人を巻き込むなら、相手の求めていることを知れ

——アイディアを形にし、成果を出していくためのヒントをいただけますか?

ジャック・シム:貧困層を中間層に引き上げるために立ち上げた BoP HUB(Base of the Pyramid Hub)という会社を例にお話しします。このプロジェクトの実現には様々な分野の人々が力を合わせる必要があります

協力者を増やすため、政治家には票、研究機関には論文発表につながる機会等々、それぞれにメリットを提示しながら巻き込んでいきます。相手に響く言葉で語り、向こうから積極的に関わりたいと思ってもらうことが大事です。

また、成功したときは自分の手柄にするのではなく、メンバーの功績を讃えることも重要です。そうすれば、長く続く関係ができていきます。自分のエゴがミッションの妨げにならないように気をつけなければいけません。常に自分よりもミッションを優先させることを心がけています。

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子供のようにシンプルに考える

——シムさんが人生で大切にしていることは何ですか?

ジャック・シム:子供でいることです。子供は世の中の矛盾を素直に指摘します。大人になると「昔からそういうものだから」と思考停止に陥ってしまいますが、そうならずイノセントであり続け、他人にどう思われるかを気にしすぎないこと。そうすれば、すべてのことをシンプルに考えることができるでしょう。

——10年後、どんな働き方をしていると思いますか?

10年後、私は71歳になっています。それまでには徐々に若い人たちに仕事を引き継いでいきたいですね。私の会社でインターンとして働きたい日本の方がいれば歓迎します。

ところで、日本の農村部では過疎化が進んでいるそうですね。シンプルライフに興味がある外国人を呼んで、国際的なコミュニティを作れたら面白いと思います。日本に古くからある共存共栄の価値観を学びながら、生活してもらう。記事を読んで興味を持った方はぜひ声をかけてください。ぜひ一緒に取り組みましょう!

ジャック・シム(Jack Sim)さん
40歳で社会起業家に転身した元起業家。World Toilet Organizationをはじめとする7つの社会的事業を手がける。2013年には11月19日を「世界トイレデー」に制定するよう提唱、国連総会で満場一致で認められた。現在は世界的に功績を知られる社会起業家として活躍。受賞歴、講演実績多数。

撮影/中山実華、酒 航太(セッション1枚目)、間部百合(セッション2枚目)

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野澤朋代

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