2018年11月29日・30日に行われたMASHING UP。インフォバーンの中村圭さん、HEART CATCHの西村真里子さん、スノーピークの山井梨沙さん、アドビの武井史織さんが『自分のクリエイティブ・スイッチを取り戻す』と言うテーマで語り合いました。
開口一番、「皆さん、紙飛行機を作りませんか?」とモデレーター役の武井さん。会場に集まった聴衆たちは、戸惑いつつも手元に配られた折り紙で紙飛行機を作り、飛ばします。武井さんは「皆さん、飛行機は飛びましたか? 昔教わった折り方は正しかったでしょうか? そもそも正しい折り方ってあるんでしょうか?」と問いかけました。
クリエイティブを支える理念
山井さんが働くスノーピークでは、「人生に、野遊びを」というコーポレートメッセージを掲げ、アウトドアパーソン(好奇心が強いひと)とクリエイティブパーソン(創造するひと)の要素を大切にしているといいます。社風を支える「尖れ/遊べ/語れ/冒険せよ/育てよ/つながれ」という「行動6か条」を教えてくれました。
コンテンツマーケティングで同社と関わっている中村さんは、社員一人ひとりが「この企画って、スノーピークらしいかな」とジャッジする姿勢をもっていることが素晴らしいと実感したそうです。照らし合わせるべき信条や理念があるからこそ、クリエイティブな事業を打ち出し続けていられるのかもしれません。
スノーピークの山井梨沙さん。
“ありえない”を生み出そう
「"ありえない"を生み出すためのアート思考」というワークショップを企業などに提供している西村さん。現代は、マニュアルや過去の事例に沿ったアイディアではなく、世の中になかったまったく新しい価値観=“ありえない”価値観が求められている時代だといいます。
「AIが登場し、予測可能なことは人工知能やロボットが人間以上に賢くやってくれる。じゃあ、人間は何をするべきなのか、となったときに、人間こそが“ありえない”を生み出すべきだと思うんです」。アートに縁がないビジネス思考の人でも、ワークショップを通して、クリエイティブな表現をできるようになる、と話しました。
HEART CATCHの西村真里子さん。
子どもからインスピレーションをもらうことも多いという中村さんは、アイディアを出すためのヒントとして、
「本でマーケティング論を学ぶのも大事だけど、日常で感じる『どうして?』を見つめることが、クリエイティブなアイディアにつながる」と話します。「『自分はなぜ今この商品が欲しくなったのだろう』『迷ったけど買わなかった理由は?』『コストパフォーマンスのジャッジってどんな項目でするのかな』などと、感覚をとことん突き詰めることが大切です」
インフォバーンの中村圭さん。
武井さんも「クリエイティブ・スイッチとは、好奇心を埋没させず保てる状態ではないでしょうか」と話します。そして最後に、「好奇心とは不服従の最も純粋な形である」というロシアの作家ウラジーミル・ナボコフの言葉を紹介すると、会場からは大きな拍手が巻き起こりました。
アドビの武井史織さん。
中村圭さん(インフォバーン プロデューサー・クリエイティブディレクター)
2007年インフォバーン入社。雑誌『MYLOHAS』にてデスク業務を担当。その後、ソリューション事業部へ異動し、美容、健康食品などを中心に、女性のライフスタイル提案を行う企業、およびブランドのブランディングサイトやオウンドメディア、プロモーション活動の支援を担当。2017年からは、女性に特化したマーケティング×クリエイティブチーム“WOMEN’S HEART LAB.”を立ち上げ活動中。
西村真里子さん(HEART CATCH 代表取締役、プロデューサー)
国際基督教大学(ICU)卒。2014年株式会社HEART CATCH設立。 テクノロジー×クリエイティブ×マーケティングを強みにプロデュース業や執筆活動を行う。 Art Thinking Collective Japan 主宰。
山井梨沙さん(スノーピーク 取締役 執行役員 企画開発本部長)
創立者の祖父・幸雄、現代表取締役の父・太から代々続く「スノーピーク」の3世代目。幼いころからキャンプや釣りなどのアウトドアに触れて育つ。2014年の秋冬にアパレル事業を立ち上げ、スノーピークが培ってきた“ないものはつくるDNA“を受け継いだものづくりを次世代のフィルターを通し発信。現在はプロダクト全般の統括のほか、「LOCAL WEAR」プロジェクトなど、新たな試みも率先して牽引している。※肩書はイベント開催時のもの。現在は代表取締役副社長 CDOに就任。
武井史織さん(アドビ コミュニティーマネジャー)
アドビのクリエイティブ製品Creative Cloudのコミュニティマネジャー。世界100都市以上で開催する延べ30,000人のクリエイターが参加するコミュニティーイベント『Adobe Creative Jams』のアジア開催を主宰。また、「デザインの力」を軸に「地域活性」「教育」「社会課題」など、各分野に存在する課題解決の糸口を見つける課題解決型プログラム『Adobe Design Jimoto』を立ち上げ、各地域のクリエイティブコミュニティー・地元企業・地方自治体と連携し、産業を横断したさまざまな場づくりを手がける。
MASHING UP
自分のクリエイティブ・スイッチを取り戻す
2018年11月30日@TRUNK(HOTEL)
撮影/酒 航太

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