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CONFERENCE:MASHING UP vol.2

人はなぜ学ぶ? 本当になりたい自分への第一歩

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一人ひとりの個性を活かすことよりも、集団で学ぶことを重視する日本の教育現場。自分が理想とする人生を送るために、学ぶとは何か、なりたい自分になるためのヒントとは何か。11月29日・30日に行われたMASHING UPで、教育の現場にいる登壇者のみなさんと考えました。

教育の究極の目的とは

まず進行役の山口有希子さんから「教育の究極の目的とはなんですか?」との大きな問いが投げかけられ、セッションはスタートしました。教育現場を変える活動を通し、引きこもりの若者たちと接する機会も多い高濱正伸さんは、「自立して、幸せに生きられるようにすること」と話します。

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パナソニックコネクティッドソリューションズ社常務の山口有希子さん。

フィンランド出身の坂根シルックさんは、「これが自分の生き方なんだといえるものを見つけること。教育は、自分の強さを見つけて、生きる力を身につけるものだと思います」。

映画化もされたベストセラー「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」のモデルとなった小林さやかさんは、「学校は未来をつくる場所、生きる力を育む場所だから明るいものではないといけないと感じています」とし、さらに、「最近の日本人が考える力がなくなっていているのは、教育が原因」と指摘します。

親が子どもの個性を認めることが大切

わが子が他の子ども達と違うところがあると、それを個性と認めず、他の子と同じようにさせようと思う親が日本には多いようです。

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東京農工大学特任准教授の坂根シルックさん。

日本で教育を受けながら、ずっと違和感を持っていたという坂根さんは、「日本では、子どものためと思って(大人が)色々言い過ぎでは。親に言われたままのことをしたら、失敗したときに立ち直れないから、自分でやりたいことをさせてあげる方がいい。大人は力を信じて背中を押すだけ」と主張します。

ちなみに坂根さんの故郷であるフィンランドでは、学校では知識を学び、その他の“人間としての成長”という部分は、各家庭で教えるのだそう。

お母さんの笑顔がニコニコの子どもを育てる

60年~70年くらい前の日本も、勉強以外は各家庭の責任だったのに、最近は、クレーマーが多く、学校の先生も不自由を感じているという現状も。「母親は基本的に保守的で、子どもを傷つけたくないんです」と、高濱さん。

わが子がいじめられて帰ってきたら、学校に電話してしまうという方向性ではなく、子どもの存在を受けとめて、ニコニコしている方が子どもにとっていい方向に向かうそう

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こうゆう花まる学習会代表の高濱正伸さん。

働く母親が多い現在、昔に比べて子どもと接する時間が少ないからこそ、その母親が笑顔で子どもと接することができるよう、みんなで子育てできる情報やネットワークが重要になってくるとも述べました。

親が自分を信じてくれたことで自己肯定感が

母親が自分を受けとめてくれたことによって、自己肯定感がしっかり養われたと実感している小林さん。中学時代、たばこを吸っていたことが学校に見つかった時、ほかに喫煙する友人の名前を決して先生に教えなかった小林さんのことを、お母さんが「友だち想いのいい子」と言ってくれたことは、その後、自分を信じる支えになったそう。

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icka代表の小林さやかさん。

そして、子どもだけでなく大人になった今からでも間に合う自己肯定メソッドも披露してくれました。それは、「I」から始まる言葉で伝えること。「You」で伝えると、「あなたは○○すべき」と相手を非難してしまいがちですが、「私はあなたに○○してほしい」と言ったあとに理由を述べることで、相手の気持ちも上手に引き出せるそうです。これは、試してみたいですね。

最後に、山口さんが「皆さん、今の仕事は、自分が好きでやっていますか?」との会場への問いに、大半の人が「Yes!」という結果に。

自分で決めて選んだ道なら、失敗してももう一度がんばれる。誰かのレールを走っていたら、失敗したとき、人のせいにしてしまう。自分の人生だから他者に迎合せず、自分らしく生きていきたいですね。

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小林さやかさん(icka代表)
『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(坪田信貴・著)の主人公=ビリギャルのモデル。1988年3月生まれ、名古屋市出身東京都在住。高2の夏に小学4年レベル、偏差値30の学力しかなく、教師に「人間のクズ」と呼ばれたことも。その後、1年で偏差値を40上げ、複数の難関大学、慶應義塾大学に現役で合格。卒業後はウエディングプランナーとして活躍。現在は全国への講演活動やイベントの企画運営をしながら、教育を現場で学ぶため札幌新陽高校でのインターン経験を持つなど、幅広く活動中。

坂根シルックさん(東京農工大学特任准教授)
フィンランド、ヘルシンキ生まれ。3歳のときに初来日、幼少期を大分市で過ごす。小学校卒業後フィンランドに帰国するも、1985年に再来日。20年に渡り複数の在日フィンランド系企業やフィンランド政府機関に勤務。その後フィンランド語通訳翻訳家並びに語学講師として活動。 2012年から国立大学法人東京農工大学のリーディング大学院で特任教員としてグローバル人材育成に携わりながら、自治体や企業においてフィンランド流教育・子育て・働き方・WLM・ライフスタイル・男女平等社会・多様性などをテーマに講演活動を行う。1男1女の母親。

高濱正伸さん(こうゆう 花まる学習会代表)
花まる学習会代表 東京大学農学部卒、同大学院農学系研究科修士課程修了。 1993年、「この国は自立できない大人を量産している」という問題意識から、「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。23年目で会員数は20000人を超す。 ・NPO法人子育て応援隊むぎぐみ理事長 ・算数オリンピック委員会理事/2018年7月より、日本棋院理事

山口有希子さん(パナソニックコネクティッドソリューションズ社常務)
パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社常務・エンタープライズマーケティング本部 本部長。同社のB2Bマーケティング強化に邁進している。 1991年、リクルートコスモスに入社。その後、シスコシステムズ、Yahoo! JAPAN(オーバーチュア)、日本IBMにてマーケティング管理職を歴任。2017年12月から現職。日本アドバタイザーズ協会 デジタルメディア副委員長。ACC広告賞審査員。YMCA FCSCボードメンバー。個人的に不登校児と親を支援する活動にも従事。

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MASHING UP

なりたい自分になるために:個性を活かすとは?
11月29日@TRUNK(HOTEL)

撮影/俵和彦

場の雰囲気にあわせて、プレゼンテーションを自由にデザインするには

MASHING UPのゲストスピーカーの多くが手にしていたクリッカー「Spotlight」。会場の反応や雰囲気に応じて臨機応変に自由にプレゼンテーシ...

https://www.cafeglobe.com/2018/12/mu2_report_logicool.html

失敗は成功のエネルギー。女性起業家たちの成功法則

起業家としてのキャリアを積んできた4名の女性が、失敗から学んだ経験について語ります。失敗なんて怖くない!そう語る4名に、きっと勇気をもらえるはず。

https://www.cafeglobe.com/2019/01/mu2_report_ups_n_downs.html

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林 ゆり
ブランド研究家。フリーアナウンサー。大学在学中にスカウトされたのをきっかけに、朝の情報番組のキャスターとしてデビュー。その後、関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台など幅広く活躍。拠点を東京に移した後、ブランド研究家として執筆活動を始める。アルチザン(芸術家的職人)の技に支えられたブランドに魅せられ、それらが似合う女性になるため自分自身を磨く毎日。職人技のすばらしさを伝えていくために奔走中。ブランドウォッチャー“林ゆり”のB.B.日記

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