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- 逃げずに向き合い続け、遅咲きで見つけた“自分らしさ”/夏木マリさん[インタビュー前編]
大人になると、人に相談を持ちかけられることばかりで、教えやアドバイスを請う機会も少なくなります。しかし、やっぱり頼りたいのは素敵に生きる女性の思考とまなざし。11月29日・30日開催のMASHING UPに登壇した夏木マリさんに、人生の指針とすべきお話をうかがう機会に恵まれました。
アートワークに没頭することが“自分らしさ”に気づく機会に
圧倒的な存在感で多くの人を惹きつける夏木マリさん。意外にも「今の自分がわりと好き」と思えたのはここ最近。“自分らしさ”を見つけたのも40代になってからだったそうです。
「20代は大人の言いなりで、自分に目を向けることをしなかった。30代は身体で表現する舞台にのめり込んだ時期でした。与えられる仕事だけではなく、自分から何かを発信したいとたどりついたのが、41歳のときに初演を迎えて現在まで25年も続く舞台『印象派』です」
「印象派」とは1993年から始まった夏木さんのライフワークと言える作品で、企画から構成、演出、出演まで全てのクリエイションを手掛けるコンセプチュアルアートシアター。現在は「印象派NÉO」としてさまざまなアーティストが参加し、パリ・ルーヴル美術館で公演を行うなどの躍進を続けています。
夏木さんが崖から飛び降りるような覚悟で挑んだ「印象派」でしたが、はじめはまったく評価されず、「叩かれて叩かれて、とにかく苦しかった」と夏木さん。しかし逃げることなく自分と向き合うことで、初めて“自分らしさ”に気づく機会になったと語ります。
「舞台を創るなかで、自分がやりたいこと、できること、いらないことを整理したら“好きなこと”しか残らなかった。その感覚がとても気持ちよかったんです。同じことをライフスタイルにフィードバックして好きと嫌いを見極めていくと、毎日が心地いい。今でこそ独創性があるなんて言っていただけますけど、“自分らしさ”に気づけたのは40代。そういう意味では遅咲きですね」
50代で始めた、音楽とバラの支援活動「One of Loveプロジェクト」
自分らしさと向き合った40代。さらに50代はさまざまな物事や人との出会いによって活動の幅が広がりました。そのひとつが2009年に始めた支援活動「One of Loveプロジェクト」。幼くして学校より働くことを選ばざるを得ない途上国の子どもたち、そしてその母親に向けた支援を行っています。
はじめは個人的に支援を行っていましたが、一方通行の支援だけではなく、実際にその子どもたちに会いに行こうと、パートナーであるパーカッショニストの斉藤ノヴさんとエチオピアとバングラデシュを訪ねたことが「One of Loveプロジェクト」発足のきっかけになりました。
「子どもたちに音楽を届けようと始めたわけですが、彼らと接していると私たちのほうが今までに感じたことのないぐらいハッピーな気持ちにさせてもらえるんですね。『届けよう』なんておこがましかったなと反省しました。1回きりではなく上から目線でもなく、させていただけることを続けていきたい——。そんな思いに賛同してくれた友人が集まってプロジェクトが始まりました」
11月29日、MASHING UPに登壇。生き方やファッションについて語った。
毎年「マリルージュの日」である6月21日を中心に一日選び、賛同アーティストを募ってGIGを開催。さらにエチオピアで出会ったバラにちなんで、夏木さん自身が種を選んで品種改良にも関わった紅いバラを「マリルージュ」と名付け、思いに賛同してくれた生花店で扱ってもらい、そのバラとGIGの収益金をあわせて支援先のリクエストに応じ年単位で支援をしています。
“遅咲き”ながら自分らしさを見つけ、ますます輝く夏木さん。後編では、幅広い活動を支えるパートナーシップについて語ります。(後編はこちら)。
夏木マリ(なつき・まり)さん
東京都生まれ。デビューして45年、全てのクリエイションを手掛ける「印象派」が25年、支援活動「One of Loveプロジェクト」が10年、清水寺奉納パフォーマンス「PLAY×PRAY」が5年と、2018年にはそれぞれ周年を迎えた。2019年は大沢伸一氏プロデュースによる新曲「Co・ro・na / 私を生きて」を1/26(土)にデジタルリリース予定。1/26(土)と1/27(日)の2days、3年目となるブルーノート東京のステージ「MARI de MODE 3」に出演。
撮影/中山実華

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