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CONFERENCE:MASHING UP vol.2

あなたの生き方はWell-being? それともWell-having?

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最近よく耳にするようになった「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉。でも、日本と欧米では、どうもとらえ方が違うようです。2018年11月29日・30日に開催されたMASHING UPでは、「Well-being」の意味や必要とされている理由についてディスカッションが交わされました。

個性的な自己紹介も自己表現

セッションは登壇者3人の自己紹介から始まりました。まず、モデレーターの廣田周作さんが電通から独立後、イノベーションリサーチをしていて、欧米でWellnessについて考えたことなどを手短に紹介。

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ヘンジの廣田周作さん。

そして、予防医学研究者の石川善樹さんにバトンタッチ、と思いきや、「そもそも自己紹介の目的ってなんですか?納得してないことはしないんです」と、石川さん。「このようなトークセッションにはさまざまな立場の人がいることが望ましい。自分はいつも端っこにいて、客観視していたいんです」。ストレートな自己紹介ではなくても、自己表現としての自己紹介を披露してくださいました。

続いて内間らうざさんは、「そんなお話の後に、自己紹介を準備してきた私はやりづらいですが」と笑いつつ、今年10月に設立したばかりのオーガニックスキンケアブランドについて語りました。

アンチエイジングの概念を変えたい

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マジョメディスンの内間らうざさん。

ミュージシャンのお姉さんの「100%健康じゃないと100%のパフォーマンスができない」という言葉をきっかけに、オーガニックスキンケアブランドを一緒に立ち上げたという内間さん。

美容業界でよく謳われている「アンチエイジング」とは逆の「プロエイジング・ウェル」というブランド哲学を打ち出したそう。美しさとは、心と体が健康的であること。歳を重ねて、中身も充実させ最大限に生きようという想いが込められています。

石川さんによれば、世界の長寿地域と呼ばれている地域では、年を重ねることに価値があるため、「お若く見えますね」が褒め言葉にならないとか。日本人は若さにとらわれ過ぎているのかもしれません。

Well-beingの反対ってなに?

「Well-being」について考えるうえで、反対の概念とはなんだろうと考えてみたという石川さん。

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予防医学研究者の石川善樹さん。

Well-beingの反対はWell-havingだと思うんですよね。haveを重視する生き方とは、車なり家なり学歴なり、色々な物を持つ、所有する人生。beを重視する生き方は反対に、何も持っていなくて今にフォーカスする生き方だと思う」と石川さん。

廣田さんは、「日本では、Wellnessやwell-beingというとフィットネスやヘルスケアの意味にすりかえられている」と感じているそう。欧米でいうwell-beingの概念はもう少し広く、周りの人との関係性、さらに、パーパス(モチベーションや目標があるかどうか)、金銭的な安定性、コミュニティーへの帰属意識があるかどうか、など、もう少し全体性があるアプローチ。日本の企業でも近年「ウェルネス向上」が叫ばれていますが、まだまだ発展途上のようです。

年齢とともに変わるwellの意味

内間さんは「以前働いていたGoogleでは、出世するのはEQ(心の知能指数)の高い人でした。相手の立場に立って考えられたり、場をポジティブに変えられる人。それが会社のwell-beingにつながっているのだと思います」と話します。

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最後に、石川さんが、お友達の研究者であるドミニク・チェン氏による「well」に関しての興味深い指摘を紹介しました。

「若い時と年をとってからで、wellも違うらしいんです。若い時は、色々手に入れたくて、上昇する、つまりhaveを追求することがwell。でも年をとってからは、失ったものを受容できたとき、人は満足や幸福を感じると。年を取ると記憶力もにぶって若い時のようには動けないし、親しい人を失くしたり、失うことのほうが多い。でもそれを受容できたらwell-beingにつながるんですね」

単なるヘルスケア、という枠組みを超えた「Well-being」。その奥深さにうなった40分間のセッションでした。これから日本では、どのような形で「Well-being」が浸透していくのでしょうか。

石川善樹さん(予防医学研究者)
1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。(株)Campus for H共同創業者。「人がよりよく生きるとは何か(Well-being)」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

内間らうざさん(マジョメディスン クリエイティブディレクター)
英国大学にてプロダクトデザインと機械工学を専攻。Panasonic Design Center Europeを経て、TBWA\HAKUHODOのイノベーションチーム「QUANTUM」の立ち上げに参画。その後、Google のクリエイティブチームにて、様々なイノベーション開発に従事。現在、ミュージシャンの姉と立ち上げたオーガニック・ヴィーガンスキンケアブランド「Majo Medicine」の Creative Director を務める。テックが持ちえない人間らしさ及びウェルビーイングに情熱を持ち、活動中。

廣田周作さん(ヘンジ ディレクター)
1980年生まれ。放送局、広告会社勤務をへて、新規事業やブランド開発を専業に行うHenge Inc.を2018年8月に設立。英国Londonに拠点を置くイノベーション・リサーチ企業Stylus Media Groupや、米国NYに拠点を置くThe Currentと提携し、様々な企業のブランド開発やイノベーション・プロジェクトに多数参画。著書に『SHARED VISION』(宣伝会議)など。

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MASHING UP

Well-beingの立ち位置、グローバル的にはどうなの?
11月29日@TRUNK(HOTEL)

撮影/俵和彦

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林 ゆり
ブランド研究家。フリーアナウンサー。大学在学中にスカウトされたのをきっかけに、朝の情報番組のキャスターとしてデビュー。その後、関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台など幅広く活躍。拠点を東京に移した後、ブランド研究家として執筆活動を始める。アルチザン(芸術家的職人)の技に支えられたブランドに魅せられ、それらが似合う女性になるため自分自身を磨く毎日。職人技のすばらしさを伝えていくために奔走中。ブランドウォッチャー“林ゆり”のB.B.日記

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