忙しい日々を送っていると、つい目の前の仕事を優先し、心身のメンテナンスを後回しにしがち。でも、女性の体調は、日々刻々と、そして年齢とともに大きく変化していきます。働く女性が増え、長寿社会になった今の時代だからこそ、自分の身体やホルモンについてしっかり知ることは大切です。
2018年11月29日・30日に行われたビジネスカンファレンスMASHING UPでは、産婦人科医の宋 美玄さんを迎え、働く女性の身体とホルモンについて考えました。
月経は一生のうち約450回やってくる
セッションタイトルは、「大人の保健室:人生と女のホルモン」。「30歳を超えてイライラする原因のすべてはホルモンでは?」と、モデレーターの佐藤真希子さんが尋ねると、女性の身体とホルモンの基本的なしくみについて、宋さんが説明してくれました。
月経が始まるのは体脂肪が14%以上になるおよそ12歳ごろ。以降、平均35〜40年、毎月やってくるとすると、一生のうち6年9か月は月経という計算に。昔は、女性の出産回数も多かったので一生で50回くらいだったのが、現在では約450回。その変化は一目瞭然です。
月経回数が多いことで起こるトラブル
生理は妊娠準備のしくみであるため、血液を集めては壊すことを繰り返し、細胞がエラーを起こしやすくがんになるリスクも高まるそう。妊娠を望んでいない時期の女性の健康にとっては、あまりメリットはないようです。しかも、月経痛や月経前症候群(PMS)の期間を考えると、女性は、1か月の間の4分の3が不調ということに。
丸の内の森レディースクリニックの宋 美玄さん。
「低用量ピルを使ったら、PMSもフラットになるし、月経周期という概念もなくなる。働く女性にとってメリットだらけなのに、偏見があって使わない女性が多いのは残念です」と、宋さん。ピル=避妊との偏見があり、欧米のようには浸透していないのが現状ですが、「昔、女性が何人もの子どもを産んでいたころと同じ環境に子宮をもっていくための選択、ということを多くの人に知ってもらいたいです」。
自分だけじゃない、PMSについて話し合う
後半はワークショップ。PMSにはどのような症状があるかをテーブルごとに話し合います。イライラしたり怒りっぽくなったりしたら、しばらくして生理が始まったという意見が多く、生理期間中は、むくみや眠気、湿疹など、人によってさまざまな症状があることがわかりました。
また、参加した男性のひとりは、普段は冷静なのに突然感情的になる女性に対し、「その怒りは僕のせい?それとも?」と思うことがある、と語りました。宋さんいわく、「PMSに対して20代の男性はやさしく、30代になると避けたりあきらめたりするようになる、というアンケート結果があります」とのこと。
月経痛やPMSの症状の重さは個人差があります。「悩んでいるなら、偏見を持たずに低用量ピルなども使用し、自分の体調やメンタルをコントロールしましょう」と佐藤さん。女性の半数が90歳まで生きるという現代、自分のホルモンや体調をきちんと理解することで、もっと自由に過ごせる気がしました。
宋 美玄さん(丸の内の森レディースクリニック院長)
産婦人科医師、医学博士。1976年兵庫県生まれ 。2001年大阪大学医学部卒業。周産期医療と性科学が専門 メディアでの情報発信も積極的に行っている。
佐藤真希子さん(iSGSインベストメントワークス取締役代表パートナー)
株式会社iSGSインベストメントワークス取締役・代表パートナー。株式会社サイバーエージェントへ新卒一期生として入社。同社インターネット広告事業本部に配属となり、3年目に同社ベストプレイヤー賞(MVP)を受賞。同社営業部門では初の女性マネージャーとして、営業に加え採用・組織構築において同社の事業拡大に貢献。その後、株式会社ウエディングパークへの出向を経て、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズ出向。国内のシード・アーリーステージのベンチャー企業を対象とした投資事業に従事。2016年2月に独立系ベンチャーキャピタルにおける国内初の女性パートナーとして現職に就任。
MASHING UP
大人の保健室:人生と女のホルモン
11月29日@TRUNK(HOTEL)3F SORANIWA
撮影/俵和彦

この記事に関連する人
イベント
おすすめ
JOIN US
MASHING UP会員になると
Mail Magazine
新着記事をお届けするほか、
会員限定のイベント割引チケットのご案内も。
Well-being Forum
DE&I、ESGの動向をキャッチアップできるオリジナル動画コンテンツ、
オンラインサロン・セミナーなど、様々な学びの場を提供します。