1. Home
  2. Work
  3. 「性善説」だからうまく回る。強い会社を作るヒント

CONFERENCE:MASHING UP vol.2

「性善説」だからうまく回る。強い会社を作るヒント

kakekomidera_top

社員一人ひとりが輝ける、ユニークで強い組織はどうしたら作れるのか——。それは、経営者や管理職にとって避けては通れない課題です。

国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」オーガナイザーである横石崇さんをモデレーターに、躍進著しい株式会社メルカリで労務を担当する横井良典さんと、精神科医・産業医の濱田章裕さんが、強く健やかな組織づくりについて語り合いました。

※セッションは2018年11月29日・30日に、ビジネスカンファレンス「MASHING UP」にて行われました。

勝てる組織を作る「最小限のルール」

「強い企業には、“駆け込み寺”がある。話題の企業の人事労務&産業医に聞く健やかな組織の作り方」と題された今回のセッション。禅寺の長男に生まれ、メルカリ社内で「おしょー」と呼ばれているという横井良典さんは、穏やかな語り口で独特の人事制度について話してくれました。

横井さん「“性善説でルールを創る”という社の理念が、人事制度の設計にも生かされています。大切なのは、いかにルールを少なくするか。社員を信じ、社員自身に考えさせることです」

kakekomidera_yokoi

株式会社メルカリの横井良典さん。

人事労務というと、何かと管理したがる部署というイメージを持たれます。それは、自分たちの仕事を守り、やりやすくするためにルールを作る傾向があるからかもしれない、と横井さん。

横井さん「ルールによって柔軟性が失われると判断スピードが遅くなり、本質的には事業の妨げになります。それを防ぎたいという考えが、メルカリの“最小限のルール”の根本にあるのだと思います」

ストレスチェックテストの結果、どうしてる?

いかに人に投資できるか。そういう会社は強い」と話すのは、産業医の濱田章裕さんです。

濱田さん曰く「産業医は医療版顧問弁護士のようなもの」。体調が悪い人をみるだけでなく、過労やうつ病による休業者をいかに減らすかを考え、ワクチン普及キャンペーンや対人スキル講習も行っています。

kakekomidera_hamada

精神科医・産業医の濱田章裕さん。

濱田さん「企業が健やかな組織を作るためには、社員のパフォーマンスの見える化が必要です。ストレスチェックテストも結局やったままになってしまい、そのあとの産業医面談などの具体的なケアがないパターンが多い。プライバシーなどの問題もありますが、ぜひ中立的な立場である産業医にフィードバックして頂けると、会社としても産業医に投資する意味が出てくると思います」

なぜ産業医は機能しづらいのか

最後にモデレーターの横石崇さんが問いかけたのは、社員のメンタルヘルス対策に重要な役割を果たすべき産業医が、なぜ企業で機能しづらいのか、という問題です。

横石さん「現状の制度では、社員50名以上の会社は必ず産業医と契約することが義務付けられていますよね。しかし多くの企業は産業医の役割を理解しておらず、どう連携していくか手探り状態にみえます」

kakekomidera_yokoishi

&Co.,Ltd./Tokyo Work Design Weekの横石 崇さん。

これに対しメルカリの横井さんは、産業医と一般社員との接点が少ないことが理由の一つではないかといいます。健康維持をきっかけとして接点を増やし、社員に産業医の仕事を知ってもらうこと。産業医だからこそ把握できる、経営側にとって有効なデータをあげていくことも大切ではないかと提案しました。

いっぽう濱田さんは、産業医側の問題点を指摘。じつは産業医の業務を専門で行っている医師は少なく、多くは兼任であり、業務の理解に欠ける医師もいるといいます。そして、企業側はぜひ産業医をどんどん活用してほしい、それが企業の権利であり義務でもあると語りました。

2人の話を聞き、「人事労務も産業医も、ある種のコミュニケーションのハブとして機能すべき、ということですね」と横石さん。一人ひとりが生き生きと働ける“強い組織”に何が必要なのか、改めて考えさせてくれたセッションでした。

kakekomidera_audience

濱田章裕さん(精神科医・産業医)
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室所属。現在、大手製薬会社にて統括産業医を行いつつ、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程に在学し産業医学関連の研究に従事。 アートと医療の関係性、より社会に開かれた医療、に関心がある。CYPAR メディカルアドヴァイザー。東京代官山ロータリークラブ幹事。猫好き。

横石 崇さん(&Co.,Ltd.代表取締役/Tokyo Work Design Weekオーガナイザー)
多摩美術大学卒。テレビ局・雑誌社・ポータルサイトをはじめとするメディアサービス開発を手がけるほか、企業の組織開発や人材育成など、さまざまな場の編集に携わる。「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、のべ500以上の講演やセミナーを実施。国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」代表。鎌倉にオープンしたコレクティブオフィス「北条SANCI」のプロデュースおよび支配人。編著に「これからの僕らの働き方 〜次世代のスタンダードを創る10人に聞く〜」(早川書房)がある。

横井良典さん(メルカリ)
2016年6月より株式会社メルカリにて労務を担当。急成長する企業における労務管理の課題を現場にて解決、働きがいのある職場づくりに取り組む。 また、「労務担当者の変革」を掲げ、企業内の立場、社会保険労務士としての立場から労務担当者の支援を行っている。

Kakekomidera_last

MASHING UP

強い企業には、”駆け込み寺”がある。- 話題の企業の人事労務&産業医に聞く健やかな組織の作り方
11月30日 @TRUNK(HOTEL)

撮影/間部百合

いくつの役割を抱えてる? いったん「棚卸し」をしてみよう

会社員、妻、母、社会人——。知らないうちに役割がたくさん増えて、こんがらがっていませんか? 一度すべて「棚卸し」して、思想の人生を送るにはどうすべき...

https://www.cafeglobe.com/2019/02/mu2_report_value.html

AIで変化する時代でも、幸せに仕事をして生きていく方法

AIの登場と浸透により、わたしたちの仕事はどう変わっていくのか? 浜田敬子さん、伊藤羊一さん、松本 勝さん、山中 ファンキー 直子さんがトークセッシ...

https://www.cafeglobe.com/2019/02/ai_and_work.html

  • facebook
  • X
田邉愛理
ライター。学習院大学卒業後、センチュリーミュージアム学芸員、美術展音声ガイドの制作を経て独立。40代を迎えてヘルスケアとソーシャルグッドの重要性に目覚め、ライフスタイル、アート、SDGsの取り組みなど幅広いジャンルでインタビュー記事や書籍の紹介などを手がける。

この記事に関連する人

    CONFERENCE:MASHING UP vol.2

    おすすめ

    powered byCXENSE

    JOIN US

    MASHING UP会員になると

    Mail Magazine

    新着記事をお届けするほか、

    会員限定のイベント割引チケットのご案内も。

    Well-being Forum

    DE&I、ESGの動向をキャッチアップできるオリジナル動画コンテンツ、

    オンラインサロン・セミナーなど、様々な学びの場を提供します。