私たちにとって「価値ある働き方」とは何でしょうか。自分らしい働き方をしている4人の豊かな生き方には、働き方のヒントがありました。働き方改革が注目される現在、個人の働き方を考えるセッションです。
まずは、自分にしかできない仕事をつくることから
Dropbox Japanの植山周志さん。
Dropbox Japanの植山周志さんは自転車競技の一種であるBMXの大会で、国内外合わせてなんと45回も優勝したことがあり、学生時代からアスリートとして食べていきたかったそう。
ところが、大学院在学中に、趣味で学んだExcelやプレゼンについてビジネススクール生向けにレクチャーするようになり、さらには本を出版することに。「今は勝手にアウトプットするのをエンジョイしてまーす!」と会場を笑わせてくれました。
今回のセッションは、会社の働き方というより、個人でどう向き合うかについて。積極的にアウトプットすることは非常に大事なポイントといえそうです。
経済産業省の八木春香さん。
一方、行政から新たな仕事にチャレンジしているのは、経済産業省に所属する八木春香さんです。
八木さんは現在、某ベンチャー企業に出向中。これは、もとから経済産業省にあった仕組みではなく、八木さんの直談判もあり始まった制度なのだとか。
「時代の変化に一番についていかなくてはいけない行政が、昔の働き方を引き継いだままの組織になってしまっていてはダメ。だから、自分が外に出て、世の中の最先端の働き方を経済産業省に持ち帰りたいと相談したところ、このような制度をつくるので行ってみるかと打診されました。そして、第一号として行ってらっしゃいと言われ、いま出向しているという流れです」
また八木さんは、イントレプレナー(社内起業家)として大企業のなかで新しいことを起こそうとしている人を応援するイベントやネットワークを企画・運営しています。
more treesの水谷伸吉さん。
坂本龍一氏が代表を務めるmore treesの事務局長を務める水谷伸吉さんは、環境問題にずっと関心があり、一般企業から転職。森林の問題に経済的な視点からメスを入れる仕事に就いています。
水谷さんは経済学部出身。アカデミックなバックボーンがない状態から森林保全団体の仕事を始めたので、ずっと自分になにが出来るか考えた結果「自分の仕事は森林と都市を掛け合わせる、そんなニッチなところだ!」と確信したそうです。
ベストインクラスプロデューサーズ /一般社団法人邑サポートの伊藤美希子さん。
このセッションでモデレーターを務め、現在ダブルワークをしながら2拠点生活もしている伊藤美希子さん。
ベストインクラスプロデューサーズでマーケティングプロデューサーとして働きながら、2011年の東日本大震災を機に岩手県に通うようになり、邑サポートの理事として仮設住宅のコミュニティ支援も行っています。
登壇者のみなさん、立場、環境は違えど、自分にしか出来ない仕事、立ち位置をつくって働いています。
「価値ある働き方」をするには? それぞれの視点からのアドバイス
八木さんは「手を挙げ続ける」ことを大事にしているといいます。
「『こういう仕事あるけど、どうですかー?』と聞かれたら、帰りたい、面倒くさい、と思うこともあるけど、グッと耐えて『はい』と手を挙げます」
逃げないことが大切。そしていろんな人と話すことによって、自分をダイバーシティ化しているのだとか。
また、転職に関して、「このままでいいのかな」という漠然とした想いで、新卒入社した会社から転職した水谷さんからは「新しい洋服にチャレンジするくらいの感じで転職してもいいんじゃないですか」というアドバイスが。
たしかに、ひとつの会社に長く勤めることが必ずしも「正」ではなく、転職が、その人にとって良い方向に流れる大きな分岐点となるかもしれない。そう考えると、新しい洋服にチャレンジするような感覚でポジティブに転職を選択することも「あり」なのかもしれません。
そして、転職後は勉強するアップデートを続け、自分なりの生産性のある仕事を見つけたといいます。転職する、しないということよりも大切にするべきことは、日々の努力を続けることといえそうですね。
現在7社目の植山さんは、自分でコントロールする幅を増やすことが重要だと主張します。
「これやりたい!」と主張することにより、仕事をどんどん任されるようになり、自分で仕事のコントロールを出来るようになったといいます。また、仕事における「サバイブ力」を上げる3つの「ECO」を参加者に提案。
Effort:努力し続ける。
Challenge:挑戦し続ける。
Output:勝手なアウトプット
依頼されたものじゃなくても、好きなことをアウトプットしていくと、ベンチャー企業から誘われたりするなど、自分では思ってもみないことが起きるといいます。
チャレンジしないとチャンスがなくなるという意識を持ち、自分の思っている方向に舵を切ることをお勧めしていました。
自分にしかできない仕事を見つけ、価値ある働き方を実践している3人の熱い想いが伝わったセッション。参加者のみなさんも、自分なりの仕事の価値を考えたのではないでしょうか。
植山周志さん(Growth & Monetization Head of International Strategy, Dropbox Japan)
Dropbox にてオンラインでのビジネスの成長に従事。2018年から非英語圏を成長させることにチャレンジ中。 2009年よりビジネスマンに向けたExcelの使い方、数字思考力などのレクチャーを実施。2011年にグロービス経営大学院を卒業し、MBAを取得。1994年からの12年間で、BMX(自転車競技)の国内外の大会にて45回の優勝経験を持つ。 著書に『「あるある」で学ぶ忙しい人のためのExcel仕事術 (できるビジネス)』(インプレス)、『数字思考力×EXCELでマーケティングの成果を上げる本(翔泳社)』。
水谷伸吉さん(一般社団法人more trees 事務局長)
1978年東京生まれ。 慶応義塾大学経済学部を卒業後、2000年より㈱クボタで環境プラント部門に従事。 2003年よりインドネシアでの植林団体に移り、熱帯雨林の再生に取り組む。 2007年に坂本龍一氏の呼びかけにより発足された森林保全団体「more trees」の立ち上げに伴い、活動に参画し事務局長に就任。日本の森づくりをベースとした国産材プロダクトのプロデュースのほか、熱帯雨林の再生活動、カーボンオフセット、ツーリズム、被災地支援も手掛ける。
八木春香さん(経済産業省 課長補佐)
経済産業省 大臣官房秘書課 課長補佐。 2011年、経済産業省に入省。自動車産業振興、イノベーション政策等を経て、2017年6月よりダイバーシティ・女性活躍推進政策に従事。「ダイバーシティ経営企業100選」、「なでしこ銘柄」等による事業会社のダイバーシティ経営の推進に加え、社会全体の女性参画を促進するため、女性復職支援プロジェクトを新たに立ち上げた。2018年8月より現職。
伊藤美希子(株式会社ベストインクラスプロデューサーズ マーケティングプロデューサー/一般社団法人邑サポート 理事)
2005年総合広告代理店入社。プランニング部、デジタルマーケティング部に所属。 2012年(株)ツナグ入社、2016年より株式会社ベストインクラスプロデューサーズ(BICP)に入社し、マーケティングプロデューサー/プランナーとしてクライアントのマーケティング戦略・活動の支援をおこなっている。 2011年から岩手県住田町に仮設住宅のコミュニティ支援にボランティアとして入り、2014年に一般社団法人邑(ゆう)サポートの理事に就任。 現在は、東京でBICPの仕事をしつつ、邑サポートの理事として毎月岩手に通う2拠点生活を続けている。
MASHING UP
価値ある働き方とは?生産性って何だろう
11月30日 @TRUNK(HOTEL)
撮影/俵和彦

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