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女性が不調になりがちなのは、生物としての宿命なのかも/石川善樹さん[中編]

LIFE after 2045/シンギュラリティと私の未来

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2045年、人工知能(AI)と人間の能力が逆転する「シンギュラリティ(技術的特異点)」を迎えたら、私たちの仕事や暮らしはどう変わる?

石川善樹さんを迎え、前編では長寿時代の「退屈を埋めるのは“創造性の充足”である」という話を伺いました。中編となる今回は、女性のウェルビーイング(幸福度)について、より踏み込んだ話を聞いています。

平均的女性のウェルビーイングは、50代で底を打つ

——前編の最後では、分業化が進展して仕事から充足感を得づらい現代社会において、「小さな問い」や「不思議な感覚」を持つことの大事さをお話しいただきました。それってカフェグローブの読者にもあてはまるのでしょうか?

石川善樹(以下、石川):うーん、カフェグローブの読者がどのような人たちなのか、正直全然わからないので、何とも言えません(笑)。いかんせん僕は仕事の付き合いも男性が圧倒的に多いので、発想が偏っていると思います。女性と触れ合う機会は、せいぜい健康教室くらいで、その場合は若くても60代の方々ですからね。そのくらいになるともう、みなさん達観されていますよね。子育ても終わって、自分自身と向き合っている方が多いようです。

ちなみに統計調査から言うと、一般的に、女性は若いときほどウェルビーイングが高くて、50代ぐらいに底を打ちます。でも、またそこから80代にかけて、グーンと上昇します。アルファベットのUの字を描くわけです。

女性のウェルビーイングは「U」の字型を描いている

——たしかに働く30~50代の女性といえば、様々な局面で不安や心配事、心身の不調を抱えている人が多いのではないでしょうか。更年期に差しかかるとか、仕事上でも管理職になったり、子供が受験期を迎える……といったものなど。

石川:そうですよね、「あれもしなければいけない、これもしなければいけない」と、とても忙しい時期ですからね。

——では、どうすればいいのでしょうか?

石川:まあ、渦中にいるときは大変ですが、ふと先を見据えると、別になんとかなるとも言えます。たとえばこれまでの研究を見ると、50代以降は幸せカーブがどんどん上がっていくようです。ちなみに、猿やチンパンジーにもそういったミッドライフ・クライシス(中年の危機)は存在するくらいです。そういう意味で、30〜40代がつらいというのは、生物としての宿命なのかもしれません(笑)。

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心身の不調や痛みを克服するのは、“捉え方”次第?

——ここまでは、どちらかというと「考え方」に関する話が多かったので、フィジカル(=身体的)な側面についても伺わせてください。

石川:たとえば歳を重ねると、病気や怪我をしていなくても体がだんだん痛くなってきます。だいたい40歳前後から痛みが始まって、60代になるとつねに体に痛みを覚える人が多くなる。しかも原因は病気や怪我じゃないから、治療ではその痛みが取れず、なおさらつらい。しかしそれにも、患者側の“受け止め方”や“捉え方”次第という側面があります。

心身の痛みは、“捉え方”次第で変わる

たとえば、あるおばあさんが膝を痛めて病院に行って、「先生、どうしたらいいですか?」と相談に来ます。先生は「筋肉をつけないといけないから、水泳でもしたらどうですか」と言いました。それでおばあさんが水泳を始めたら、パタッと病院に来なくなった。その後、街でばったり遭遇したおばあさんに、医師が「やっぱり水泳は膝にいいですか?」と聞いたら「膝の痛みは良くなりませんよ」と答えた。じゃあ、なんで病院に来なくなったのかと訊ねたら、「水泳は楽しいんですよ」と言う

——まさに、それは“捉え方”次第ということですね。

石川:「病気にかかる」というと、ついついネガティブに考えがちだけれど、闘病体験を経て、よりウェルビーイングが高まる人もいれば、そうならない人もいる。すべてがそれで解決することはないとしても……「何事も捉え方次第だ」というのも、ひとつの発想だと思います。どんなに外見が綺麗な女性でも、どこかにコンプレックスを持っていたりしますよね。そういう話を聞くにつけ「捉え方次第ですよ」というのは、あながち方便ではない気がします。

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男性よりも優秀でも、管理職になりたくない女性たち

石川:あと、女性は年を重ねるにつれて、得てして動じなくなっていきますよね。昔だったら絶対に言えなかったようなことを、平気で言えるようになる人も見受けられます。

だけど、男性の老人は違って、年齢差をけっこう気にしますね。1歳だけの年の差でも……それこそ91歳と92歳でも「先輩・後輩の間柄」になる。だから男性集団の場合、一番エラそうにしているのはたいてい最年長者です。一方、女性の場合は、あまりそういうケースがあてはまらない。

——女性は縦構造の社会にフィットしづらくて、どちらかというと個人の充足を求める人が多い。だから、組織をマネジメントをして、何人かの部下を持つことが喜びにつながらないという話も、よく聞きます。

石川:いわゆる「管理職になりたがらない」問題ですよね。「あなたが管理職にならないと私が困る」と言われたら、渋々管理職になる女性はいるのですが。

さらに言えば、女性の方がリスクを取りたがらない傾向はグローバルに認められます。選挙などでも、女性候補者の方がじつは勝率は高いのです。つまり女性は「勝ち目のない戦(いくさ)はしない」といえるのかもしれない。

女性は、勝ち目のない戦をしない

その点、男は「やるか?」と聞かれたら「やります!」と答えちゃうんですね。管理職の成功例は「勝率×人数」で考えなければいけないので、たとえば「(管理職に)なりたい」という男性の数自体が、そもそも多いわけです。でも、実際に管理職になって、ちゃんとやっている男性の比率は、女性と較べたら少ないのではないでしょうかね?

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分母の数で考えたら、「管理職になった女性」の勝率って、かなり高いと思いますよ。つまり「女性のビジネスパーソンの方が優秀である」というのは、そこからも明らかです。なぜかというと、女性は「勝てる戦をきちんとしている」からです。

——女性管理職のほうが、慎重に駒を進めていくタイプ?

石川:たとえば一流の進学校に合格して、いざ入学してみたら「学年内でビリでした」とします。男子生徒がそうだとなると、潰れていくケースが多いです。でも、ビリで入った女子生徒の場合、そこから地道に成績を上げていくケースが(男子よりも)多いことが確認されています。

牛後(ぎゅうご)となったときに、より伸びるのは女性の側ですね。「競争の経済学」という学術分野での研究結果からも「女性の方が競争に強い」と言われています。<後編に続く>

石川善樹(いしかわ よしき)さん/予防医学研究者
1981年生。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。「人がより良く生きるとは何か(ウェルビーイング:Well-being)」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。

聞き手/カフェグローブ編集部、撮影/中山実華、構成/木村重樹

人は創造性を発揮しているときが一番楽しい!/石川善樹さん[前編]

「人生100年時代」と言われ長寿が現実になりつつある今、単に長生きできることは幸福なのでしょうか? 石川善樹さんに聞きました。

https://www.cafeglobe.com/2019/02/singularity5_1.html

自分と真摯に向きあえば、2045年は自ずとやってくる/石川善樹さん[後編]

予防医学研究者・石川善樹さんに「ウェルビーイング(人がより良く生きるとは何か)」の気づきを得られるヒントを教えてもらいました。

https://www.cafeglobe.com/2019/02/singularity5_3-html.html

cafeglobe編集部

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