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CONFERENCE:MASHING UP vol.2

30代でスタートアップ企業の取締役になった理由

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ビジネスシーンで耳にする機会が多くなった「スタートアップ企業」というワード。イノベーションを通じて新しいビジネスモデルで短期間のうちに急成長を目指すことを特徴とする企業のことです。

働き方が多様化するいま、実際にスタートアップ企業に関わる人たち、とくに女性がどのような経緯でその働き方を選んだのかが気になります。

2018年11月29日・30日に開催されたビジネスカンファレンスMASHING UPでは、「30代でスタートアップ取締役に就任するワケ」と題したセッションで3人の経験者に思いを聞きました。

それぞれ違う、スタートアップ企業の取締役になった経緯

セッションに登壇したのは、企業で複数の新規立ち上げ事業を経験した椿奈緒子さんと、大企業からスタートアップ企業の取締役になった高岡美緒さん。そして、起業を経てスタートアップ企業の経営に参画した松村映子さんという、違ったケースでスタートアップ企業に関わることになった3人です。

ケース1:事業の創出ができる環境=スタートアップは当然の流れ

椿さんは、総合商社からサイバーエージェントへ転職。新規事業の立ち上げを経験し、同社とサイボウズの合弁会社でCEOに。

アドテクやアプリ事業などを経て、現在は在日外国人の就労支援やライフサポートメディアを展開する株式会社YOLO JAPANの取締役を務めています。2児の母でもあり、「パワーママプロジェクト」という働くママに向けた活動もおこなっています。

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YOLO JAPANの椿奈緒子さん。

「私は事業をつくるのが好きなので、それを実現できる環境はどこかと考えたときにスピード感のあるスタートアップを視野に入れたのは当然の流れでした。出張が多かったり終業時間が遅かったりすると子育てとの両立は難しいですが、朝早く出社して早く上がるといった働き方がしやすいのも、規模が小さく声が届きやすいスタートアップの特徴だと思います」

現在の会社は、このセッションがおこなわれた時、入社から1か月も満たなかったため「戦略を練って方針を掲げて、全員と面談して評価基準を決めて……。とにかくタスクが多いけど、オペレーションを整えるのは得意」と椿さん。

そのカオス感をいかに楽しめるかがスタートアップ企業で働くカギだと語っていました。

ケース2:大企業を経て、自分がハッピーでいられる働き方がしたかった

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メディカルノートの高岡美緒さん。

高岡さんは外資系投資銀行を経て、大手ネット金融機関で執行役員とベンチャーキャピタル子会社の取締役を経験。

次男の小学校入学をきっかけにキャリアをリセットしてお休みをしていましたが、知人の誘いを受けて現在は医師・病院と患者をつなぐデジタルヘルスケアプラットフォームを運営するメディカルノートで取締役CFOに。10歳、8歳、5歳の3児のママでもあります。

「社会人になって18年。自分に何があうか、どんな働き方をすればハッピーでいられるかがわかってきますよね。私は誰と何をするのかということを大切にしたいと考えていました。また、自分のモチベーションの源泉を考えると、知的好奇心を満たしてくれることと社会課題に何かしらの貢献ができるということも重要。さらに、子育てとの両立を行っていく上では働く時間をコントロールできる仕事じゃないと難しいなと思っていました。そういった条件を満たす会社がたまたまスタートアップだったという感じです」

今の組織で自分が貢献できることを確認したかったこともあり、取締役のポジションに就いたのは、入社時ではなく入社から約半年後。

肩書きの重さと比例するのが判断の数だと思います。主観ですが、とくに女性は判断するポジションを避けがちという傾向があるように思いますが、判断を重ねることで仕事のやり方や自分の考えが洗練されていくような気がします。自分の判断が会社の結果に直結するので、プレッシャーは大きいですがその分やりがいを感じているところです」

ケース3:自分が作った企業を大手が買収。思いがけず大企業の取締役に

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三度の起業を経験した、松村映子さん。

松村さんは、自身で起業した2社目が有名なアパレル会社に買収されたことをきっかけに取締役に就任。また、その間に別のスタートアップ企業を買収してその会社の取締役にも就任しました。

さらにその後、3度目の起業。現在はこれまでの知見を生かしてスタートアップ企業の支援的立場で取締役に就いています。2017年の年末に第一子を出産しました。

「社員が6,000人もいる大企業の取締役になるなんて思ってもみませんでした。大企業かスタートアップかは、その人の好みかなと思います。私は、大企業での1円の誤差は何億円にもなることを身をもって学べたことはすごくよかったですが、小さなビジネスだけど目が届くところでみんなとミッションを達成するほうが好き。そしてスタートアップでは若くして経験を積めるので、事例の創出には貢献できると思います」

家事や育児と、スタートアップ企業の経営は似ている?

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取締役であるということと同時に、この3人に共通するのがママであること。「子育てとスタートアップの会社経営は似ている」と3人は口を揃えます。

家事や育児は優先順位をつけて、仕組み化していくことを心がけています。会社のマネジメントもまったく一緒で、自分が作業しなくてもいいような仕組みづくりに頭を使っていますね」(高岡さん)

「私も、仕事も家庭も“自走できるマネジメント”を意識しています。私がいないとまわらないではなく、それぞれがリーダーシップを持てるように。仕事も育児も追いつかなければ人に振る。自分でとめないことも大切ですね」(椿さん)

「私は夫と“KPT”(振り返りにより改善を加速させるフレームワーク)をやっていて(一同、笑)。私は問題だと思っても、夫は案外そうでもないこともあるから、よかった点、続けていきたい点(Keep)と問題点(Problem)を挙げて、解決へつながるようにする(Try)ために、子どもが生まれたばかりのころは週1で家族会議をしてましたね」(松村さん)

大変なこともプラスに転換させ、ポジティブにスピーディに物事を進めていく3人の姿勢に、自分と仕事のかかわりについて考えさせられた聴講者は少なくないはず。

これからますます広がるであろうスタートアップ企業での働き方。今後を担う聴講者の方々にも多くの機会がもたらされることを期待してやみません。

椿奈緒子さん(YOLO JAPAN 取締役COO)
外国人向けメディアを運営するYOLO JAPANの取締役COOとして2018年11月にジョイン。シリアルイントレプレナー(連続起業家)。総合商社を経て株式会社サイバーエージェントに入社。広告営業を経てオンラインサンプリング事業「トライアルネット」の事業責任者となる。2005年にビジネスポータルサイトを運営するサイボウズ社との合弁会社cybozu.net株式会社を立ち上げ、代表取締役CEOに就任。その後、メディアマネタイズ事業やアンドロイドアプリ事業、ニュースメディアなど、合計7つインターネットサービスの立ち上げを行う。プライベートではブラジル人夫の妻、二児の母、トライリンガル、そしてワーキングマザーのロールモデルをシェアする「パワーママプロジェクト」共同代表でもある。

高岡美緒さん(株式会社メディカルノート 取締役CFO)
英国ケンブリッジ大学自然科学部物理学科卒業。ゴールドマン・サックス証券へ新卒入社し、モルガン・スタンレー証券(現モルガンスタンレーMUFG証券)などを経て2009年にマネックスグループに入社。主に同社の国内外買収案件や戦略投資を執行し直近ではマネックスベンチャーズのCVC運営などを担当。2016年にはForbes Japan誌による「世界で戦う女性55」の、Fintech Asia 100 Leaders(アジアを代表するフィンテックリーダー100人)の一人に選出された。

松村映子さん(某スタートアップ 取締役)
連続起業家・エンジェル投資家。2014年に二度目の起業でネット宅配クリーニングサービス「バスケット」を立ち上げ、2015年に株式会社ストライプインターナショナルに全株式を譲渡、子会社化。同社の取締役CDOに就任。2016年、株式会社スマービーの株式を取得、子会社化し、同社取締役に就任。そして2018年7月末、2社の取締役を退任し、同年11月、 某スタートアップの社外取締役に就任。現在は三度目の起業をしながら、投資先のアドバイザーや社外取締役を兼任している。

MASHING UP

FIRESIDE CHAT——転職・キャリア 30代でスタートアップ取締役に就任するワケ
11月29日 @TRUNK(HOTEL)

撮影/中山実華

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大森りえ

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