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ニュースはどう変わる? 女性がメディアで働くことの社会的意義

MASHING UP/マッシングアップ vol.2

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マスコミ業界の印象を問われたら、なんと答えるでしょうか。

ひと昔前なら「タバコの煙がもくもく」「会社に泊まり込んで家に帰れない」といった、いかにも“男性社会”といったイメージを抱く人は少なくないはずです。

各媒体で活躍する女性3名をお招きし、メディアにおける女性の立ち位置や作る記事の変化などについて、お話をいただきました。

登壇したのは、フォーブス ジャパンの林 亜季さん、東京新聞の望月衣塑子(いそこ)さん、フィナンシャル・タイムズの星野裕子さん。モデレーターはカフェグローブの遠藤祐子が務めました。

男性社会だった「メディア」で活躍する女性たち

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フォーブス ジャパンの林 亜季さん。

約10年前、「採用面接で『男性社会だけど大丈夫か』と聞かれた」と話すのは林 亜季さん。新聞社で記者を経験し、現在は『フォーブス ジャパン』のウェブ編集部で編集長を務めています。

「新聞社に入社した当時はまだ圧倒的に男性社員が多く、男性たちが築いてきたやり方に女性がフィットさせていくという感じでした。私も先輩方と同じように記者クラブのソファで眠れるようでなきゃやっていけないなと覚悟をしていました」(林さん)

一方、現在勤務するフォーブス ジャパンの社員は女性ばかりで、もっとも多いのは20代。世界的な経済誌である『Forbes』の日本版で多くの女性、そして若い世代が活躍しているのは頼もしいですね。

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東京新聞社会部の望月衣塑子さん。

『東京新聞』社会部の記者として活躍する望月衣塑子さんは「2000年の入社当時は全体の3割だった女性記者が、現在は5割を占めるまでになっている」と語ります。

「女性記者や女性デスクが増えたことで、ニュースに対する視点や記事の扱われ方も変わってきました。以前なら『待機児童問題』が一面トップを飾るなんてことは考えられませんでしたが、まだまだ男性社会な体質は残しながらも10年前と比較すると大きな変化を感じます」(望月さん)

新聞社はもちろん、テレビ業界でも現場を取り仕切るキャップなどの要職に多くの女性が就いているそうです。

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フィナンシャル・タイムズの星野裕子さん。

イギリスの経済紙『フィナンシャル・タイムズ』の在日代表を務める星野裕子さんによれば、シニアマネジメント層の女性はまだ少ないものの、全世界のフィナンシャル・タイムズで見ると男女比は49:51と僅差ですが、アジアでは圧倒的に女性が多いそうです。

「イギリス本社では、採用の書類選考時に名前を伏せる案が検討されています。性別や人種が想像できる名前をあえて出さないことで、その人の実力に寄り添った平等なジャッジができるからです」(星野さん)

某医大が女性や多浪の受験生の点数を操作していたというニュースが記憶に新しいですが、登壇した3名とも「優秀な人を順番で採用すると、女性ばかりになるだろう」という意見で一致していました。

女性がメディアで活躍することの意義、そして醍醐味とは

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メディアに女性が深く関わる価値や、女性目線で情報を発信することの意義についても話は及びました。

「大きなニュースが一面を飾り、政治面があって経済面があって、文化や暮らし、最後に社会面。これはかつて男性社会だった新聞業界が作った面割りです。それに比べると、ウェブメディアは女性がニュースを自分ごと化しやすいように発信されていると思います」(林さん)

自身がウェブメディアに従事するようになって一番驚いたのが、編集部の記事と一般のブロガーさんが書いた記事が並列されること。「なんなら後者のほうが大きく扱われることがあって、これは革命だと思った」と林さん。また、女性が「生理がつらい」と訴えかけた記事が大ヒットし、「そうか、女性にとって生理がつらいということは、政治経済とはまた別のビッグイシューなんだ」と腑に落ちたのだとか。

まったく新しいニュースのあり方や切り口を生み出していけるのは、女性に限らずメディア人としての楽しみであり醍醐味ですね」(林さん)

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また、「女性ひとりの勇気ある声は世間を動かす」と望月さんが例に挙げたのは、大物政治家が起こしたスキャンダル。テレビ局の女性記者が財務省の当時の事務次官から受けたセクハラの様子を録音し、週刊誌に情報提供しました。

「女性記者はネタが取れるなら多少のことは目をつぶらなければいけないという体質は確かにありました。この女性記者は、いま自分が声を上げなければ変わらない、このままでは次世代の女性たちが同じ思いをするという気持ちだったんだと思います。このケースにしろ、ジャーナリストからの性的暴行を実名で訴えた伊藤詩織さんにしろ、私たちの世代がもっと声高に訴えていれば、彼女たちが傷つくことはなかったかもしれないですね……」(望月さん)

アメリカの「#me too」然り、勇気あるひとりの声が世の中を動かし得る時代に、メディアがどうあるべきかをあらためて考えると話します。

日本ならではの女性の負担を、自らが率先して「いたしません」と宣言したというのが星野さんです。

女性社員がやりたくないことは、させたくない。やりたいけどできていないことはできるように、仕向けていくのも私の役目だと思っています。私は育休も取りましたし、海外出張に子どもも連れて行きます。そうすることで、スタッフは『子育てと仕事が両立ができるんだ』と安心してくれるでしょうし、会食でのお酌や料理の取り分けもやりたくないから『一切やらない』とイギリスにステイトメントを出しました」(星野さん)

ダイバーシティ推進を加速させる存在として、無視することはできない「メディア」。その世界に身を置き、積み重ねた経験に裏づけされた3名の生きた言葉はどれも説得力がありました。これからニュースを目にしたとき、画面の向こうでいきいきと活躍する女性たちの思いも一緒に受け取れたらと思わせてくれるセッションでした。

林 亜季さん(フォーブス ジャパン)
フォーブス ジャパン ウェブ編集部編集長。2009年、朝日新聞社入社。記者経験後、新ビジネスの開発や投資などを行う「メディアラボ」で複数の新規事業立ち上げに携わる。経済部記者を経て同社を退社。ハフポスト日本版 Partner Studio チーフ・クリエイティブ・ディレクターを経て、2018年7月からフォーブス ジャパン ウェブ編集部副編集長 兼 ブランドボイススタジオ室長。同年12月から現職。

星野裕子さん(フィナンシャル・タイムズ)
フィナンシャル・タイムズ 在日代表、コマーシャルディレクター。2000年フィナンシャル・タイムズ(FT)に入社。コマーシャル部門所属。2006年からFTのアジア地域のデジタルコマーシャルディレクターを務める。2007年1月から日本代表を兼任。2014年より現職。現在、東京で日本支社の陣頭指揮をとるとともに、アジア全域における広告営業を統括する。

望月衣塑子さん(東京新聞)
東京新聞 社会部記者。東京・中日新聞に入社し、千葉・神奈川・埼玉の各県警、東京地検特捜部などで事件を中心に取材。2004年には自民党と医療業界の利権構造を暴いて大スクープに。東京地裁・高裁での裁判担当を経て、経済部記者・社会部遊軍記者として、防衛省の武器輸出、軍学共同などをテーマに取材。森友学園・加計学園問題でも取材チームの一員となるなど、第一線で活躍。

遠藤祐子(カフェグローブ)
多摩美術大学大学院修了後、同大学情報デザイン学科研究室に勤務。その後、フリーエディター・ライターとして雑誌やウェブサイト制作に携わり、株式会社カフェグローブ・ドット・コムに入社。Cafeglobe編集長を務め、2012年より株式会社メディアジーンでカフェグローブ編集長に。MYLOHAS編集長、女性メディア統括プロデューサーを歴任し、2017年4月より現職。

——このセッションは、2018年11月29日・30日に開催されたビジネスカンファレンスMASHING UPで行われました。

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MASHING UP

女性とメディア
2018年11月30日 @TRUNK(HOTEL)

撮影/中山実華

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https://www.cafeglobe.com/2019/02/mu2_report_survival_kit.html

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大森りえ

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    2019.04.13.Sat

    【終了】シチズン時計株式会社「NewTiMe, New Me」キャンペーン × MASHING UP
    〜明日からできる、世界をほんの少し変える選択〜

    common ginza (GINZA PLACE 3F)

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