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Reshape:パートナーシップ

自分らしさ求めたら、今の法律婚の先には正解がない気がした。「自分と結婚する感覚」の提案 #ふたりのはなし

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今回の「#ふたりのはなし」は、美容系の求人メディア「リジョブ」の創業メンバーであり代表取締役COOだった高松裕美さんと、同社の取締役副社長CMOだった高梨大輔さん。ふたりは「リジョブ」の売却経験を経て、スタートアップの経営およびマーケティングサポートを行う「ビタミン」を2015年に設立しました。

仕事でもプライベートでも時間をともにするふたりに、お互いが幸せでいられる関係について伺いました。

13年一緒にいても、籍も入れず、住む場所も別々な理由

仕事を通じて知り合った高松さんと高梨さん。二人の関係性をどう伝えていいかわからず、公言することはなかったといいます。婚姻関係でもなく、単なるビジネスパートナーでもない。公私ともにお互いを大切な存在と考えながらも籍は入れず、住む場所も仕事場も別々。でも、「ふたりの会話の量はすごく多いと思います」と高梨さん。それはたぶん、私たちが想像する一般的な恋人や夫婦関係よりも、もっと。

ふたりは「初期段階で恋愛期間を経験」(高松さん)し、13年という時間をかけて、現在の関係になっていると言います。

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ビタミン ファウンダーの高松裕美さん。

「知り合ってから13年、わたしたちの関係の変化に大きなターニングポイントみたいなものはなかったのですが、一度“自然解散”はしたことがありました。リジョブの売却後、ロックアップ期間を終え、辞めたあとに、特に合意をとりあうでもなくそれぞれ別の道を行ったんです。互いに自分の人生と向き合う時期だったんだと思います。

私はアメリカ西海岸に渡って、高梨さんは日本で仕事をして。私は向こうではほぼ日本の誰とも連絡を取っていなかったんですが、ある時、高梨さんからSkypeで連絡がきて。そしたら結構まずい精神状態で(笑)」(高松さん)

「当時はとにかく仕事をしまくっていました。仕事は山ほどあって一人でこなしていたんですけど、前職時代は僕はプロダクト側の人間で、交渉とか対人関係は得意ではなくて。

でも一人だと全て自分で抱えなければいけない状況になり、精神的にも限界を感じて、仕事の面でもそれ以外の面でも、自分らしくいるためにも高松さんが必要なんだなと痛感したんです」(高梨さん)

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ビタミン ファウンダーの高梨大輔さん。

対等で、親密で、でも固定化されない、自分が自分らしくいられる関係

お互いを必要としていることを再認識したふたりは、その後まったく対等な関係で会社を設立。ひとところに定住しない“アドレスホッピング”を続けながら、お互いと人生をともにすることを選んでいます。

「ドキドキするような“好き”って、徐々に消えるものじゃないですか。だから、今の関係は恋愛とは違う。文字にするとドライに感じられてしまうかもしれませんが、親密な関係ではあります。精神的な親密さというか。

でも、お互いのことをわかったつもりにはなっていない。少なくとも私は、自分以外の人を100%理解することなんてできないという前提でいるので、高梨さんのことも未だに全部はわからないんですよ」(高松さん)

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今の関係に全く「不都合がない」と、高松さん。

「13年一緒に仕事をしている関係で、僕からすれば“戦友”が一番近い表現かな。なんていうか、高松さんといることは“自分と結婚している感覚”なんです。2014年の『TEDxOlympicBlvdWomen』で、脚本家のトレイシー・マクミランという人が『あなたが本当に結婚すべき人とは』というスピーチを行って話題になったんですが、その中に“自分自身と結婚することで、全ての人間関係は成功する”といったことが言われていて。

僕はそれを高松さんから教えてもらったんですけど、それが一番しっくりくるかな。うまく説明できないんですけど、高松さんとの関係には“こうあれ”が全くなくて、常に僕が僕らしくいられる。それが心地いいんです」(高梨さん)

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「僕には一人の空間が絶対的に必要」という高梨さんに対し、高松さんも「彼には絶対に必要」だと思っているそう。

それぞれが「自分の幸せを最大化」した結果

「今はこの関係が心地いい」と繰り返す高松さんと高梨さん。結婚という法律婚の形にこだわらないのも、今のままで十分幸せだからだと言います。

「あくまでも私たちにとっての話ですが、結婚=幸せではないし、一緒に住むこと=幸せとも限らない。私たちは仕事を共にしているぶん、一般的な夫婦よりも一緒にいる時間が長いし、一緒にご飯も食べるし飲みにも行く。でも住まいは別の方がいい。それが自分らしくいられて相手にも優しくなれる距離のとり方。

さっき高梨さんが言ったトレイシー・マクミランのスピーチじゃないけれど、自分の幸せを最大化したら今はこの形になっている。自分の幸せを第一に考えたら相手を尊重できる気がしていて、極論、高梨さんが別の人に惹かれてその人を選ぶなら、その時は離れるだけと思っています。相手の選択を尊重できる自分でいたいなと、難しそうですけど(笑)、理想はそんな感じです」(高松さん)

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お揃いのブロンドヘアは「『いい人そう』など周囲からの先入観を壊してくれる」と、高梨さんが高松さんにおすすめした。

セルフマリッド? 結婚以外の選択肢がもっとあってもいいんじゃない?

「関係性を固定化されるのが苦手なんです。僕たちが従業員を雇わない理由もそれです。主従関係のようなニュアンスが生まれてしまいそうで、雇用を否定してるのではなくて僕にはそういう関係性は向いてないんです。結婚もそうで、それによって外からは夫と妻という関係性で見られたりすることに抵抗を感じる。周囲の"まなざしの囚われ人"になりたくないと。

ただ、自分たちに結婚というものがフィットしないというだけで、結婚制度に反対しているわけではないし、結婚している人に対して否定する気持ちはまったくなくて、それぞれの選択として捉えています。

そういう考え方が前提にあって、いろいろな生き方がある現在、共に生きる関係の2人にも、結婚以外の選択肢がもっとあってもいいんじゃないかなとは思っています。人は言葉があると理解しやすいと思うので、こんな関係に何かぴったりフィットするようなワードがあればいいなと思ってるところです。ニュアンスとしては互いに自分らしい自然な状態で、それが肯定的な関係のような。Being me(ビーイングミー)、Humanship(ヒューマンシップ)、Natureship(ネイチャーシップ)、Self married(セルフマリッド)、Self love(セルフラブ)とか? 募集します!(※)」(高梨さん)
※本当に募集します。詳細は文末で!

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「髪、めっちゃ痛みますよ!」と笑う高松さん。撮影中もずっと続く和やかな会話に普段の様子がうがえた。

相手が今、何に興味をもっているかを知ることは敬意

長い時間をともに過ごしながら、いい関係を保ち続ける秘訣についてお二人に訊ねると「興味を持っていることや気になったことを常に共有すること」(高梨さん)という答えが返ってきました。

「本、記事、映画、動画など、面白いと思ったらすぐにお互いに知らせます情報の共有は背景の共有だと考えていて、これをしてると普段の意思疎通がとてもスムーズなんです。

例えば、はじめて一緒に仕事をする人がいたら、過去のインタビュー記事やSNSをみたりして、その人がどんな人なんだろうって背景を知ろうとするじゃないですか。それを知っているかどうかで意思疎通のしやすさが違う。それと同じで、敬意として相手のことを理解しようとしています」(高梨さん)

「相手が今、何に興味を持っているかを知ることは大事にしています。あと、ふたりとも内向的な性格なのもあって自分の時間を持つことも大事だと思っています。だから、喧嘩にはほぼならない。何か問題が起きた時にも、自分が変わることで解決することがほとんどですし、相手をコントロールしたくないと思っています」(高松さん)

子供は? これからの形は、これから探っていく

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6月の代々木公園で。オールブラックのファッションはふたりの「制服」だそう。

そんな2人は今、子供を持つことを考えているといいます。そろそろ欲しい、と言い出したのは高松さん。最初は戸惑った高梨さんも、今は高松さんとともに、新たな一歩を踏み出そうとしています。

「僕は生まれてこのかた、近くに子供がいたことがないんですよ。だから、これまでは子供というのはよくわからない宇宙人みたいな認識しか持っていなくて、考えたことがありませんでした。でも、年齢的にも高松さんは子供が欲しい、と言う。

それを聞いて、僕も横で一緒に子育てをしたいなと思うようになりました。戦友の関係のまま子育てをしても良いのでは?と。僕、高松さんの子供だったら、自分の子供じゃなくても育てられると思う。僕にとって、高松さんというのはそういう人です」(高梨さん)

「実際、子供が生まれたら私たちの関係がどう変化するかはわからない。この関係のままで子育てしてもいいのでは?とも思うし、籍を入れるとか住まいを一緒にする考えはないけれど、もしかしたらアドレスホッピングのようなことはできなくなるかもしれないですよね。それはその時になってみないとわかりません。

役所関係のことで不利益を被ることはありそうですが、何かでカバーできるかもしれませんし。実際、子供ができるかどうかもわからないので、先のことはわからないというのが正直なところです」(高松さん)

今後ふたりがどのような生き方を選択するのか。数年後、またお話を伺ってみたいと思っています。

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ぜひまた、数年後に。

ふたりが大切にしているモノ・コト・時間

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あなたにとって、パートナーとは

そのニュアンスがしっくりきていなくて、
だから自分たちの関係性を表現する、
パートナー以上の言葉を探しています。

ふたりの関係の「呼び方」、募集します

「住まいも別々、職場も別々、籍も入れない。でも戦友のように、一緒に生きていく」。そんなふたりのかたちを形容する呼び方をMASHING UPのTwitterで募集します。
実は高梨さんは「アドレスホッパー」という呼び方を考え出した人。ふたりの形にしっくりくる呼び方も考えたいと思っているそう。
ぜひ、私たちと一緒に考えてください!
※募集はMASHING UPのTwitterにて。

取材・文/山下紫陽、撮影/中山実華

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山下紫陽

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