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「ゴミは次世代の素材です」。バイアスを超える韓国の女性社会起業家イ・ヤンヨンさん

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本来ならゴミだったもの。これを素材の一つとして活用し、新たな価値をもたらす取り組みを行っているのが「Just Project」だ。

韓国・ソウル市を拠点に、捨てられるはずだった素材からバッグやラグ、キーケースなど新しいプロダクトを生み出す活動は、今年で6年目に突入。530 CONFERENCE 2019にあわせて来日したCEOのYi Young Yeun(イ・ヤンヨン)さんに、活動への思いを聞いた。

環境問題だけでなく、雇用の持続可能性も考えたチーム作り

—— Just Projectについて教えてください

Yi さん(以下・イ):ゴミは面白く楽しい素材である」ということを知ってもらうために、Just Projectでは、「I was 〜」(私は〜だった)というシリーズ名をつけて、さまざまな商品を開発しています。

現在は3つのゴミ素材(食品パッケージ、Tシャツ、プラスティック)を使ったプロダクトを作っていて、材料となるゴミは韓国と工場があるフィリピンで集め、フィリピンで商品化も行っています。

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Just Projectのプロダクト。ゴミからできているため2つと同じものは生まれない。

——デザインも含め、今はフィリピンのチームがプロジェクトをリードしているそうですね?

イ:最初の1年は私がデザインをしていましたが、2年目からはフィリピンにデザインチームを作って、私はディレクションを担当しています。

フィリピンのスタッフにデザインも任せることで、プロジェクトの持続可能性が高くなるだけでなく、フィリピンのスタッフの雇用の持続性も保てると信じていたので、忍耐強くディレクションを行いました。

何度もフィリピンに行き、話をしながらJust Projectらしさを伝えました。難しさを感じることもありましたが、権限委譲をすることの大切さを自分の中で信じていたので。

ゴミを扱うのが楽しくて仕方がない「ゴミオタク」

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注目のプロジェクトとして、韓国でも多くの取材を受けている。

—— イさんは元々プロダクトデザイナーとして文房具のデザインなどをされていたと聞いています。その中で「ゴミ」に注目した理由はなんだったのでしょうか?

イ:日常的に道路に落ちているゴミを拾ったり、古着が好きだったりと、もともとエコフレンドリーなマインドがあって、自然にゴミを使ったプロジェクトをやってみたいと思うようになったんです。

でも、何ができるかわからなかったし、最初は、前職を続けながらとりあえず6ヵ月間、試行錯誤してみることにしたんです。だからプロジェクト名も「JUST PROJECT ——ただのプロジェクト」にしました。

——6ヵ月後に心境の変化はありましたか?

イ:ゴミを扱うのが楽しくて楽しくて! ゴミと言われる食品パッケージを見ていると、「こんな形にできるんじゃないか」って商品としてのデザイン案が頭の中に浮かんでくるんです。「ゴミを使って新しい商品を生み出すことでみんなを驚かせたい」という気持ちから、“ゴミオタク”として活動を続けることを決めたんです。

——ゴミオタク! 斬新ですね(笑)。イさんはご自身のことをアクティビスト(活動家)とは言わないそうですが、それはなぜですか?

イ:私は自分をアクティビストだと思ったことがないんです。アクティビストとして活動したい場合は、NGOなどに所属するべきなのかな、と。そういった団体は社会的な見地からゴミ問題に対して発するべきメッセージを日々考えていると思うのですが、私はデザイナーまたはクリエイターとして、そのメッセージを発信していくのが仕事だと思っています。

バイアスを打ち破る「カッコいい女性」になりたい

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イ・ヤンヨンさん。手にしているクラッチバッグもJust Projectのもの。

——これまで5年間の活動を通して、難しさを感じたことはありましたか?

イ:ゴミをシリアスな課題と考えるのではなく、面白く楽しいものとして捉えてもらうために、この5年間は手探りの状態が続いていたんです。それこそ、プロジェクトのスローガンも何回か変えました(笑)。

でも今は、「ゴミ=次世代の素材」と認知してもらうために必要なことは? と考えて活動するようになりました。また、活動だけでなく私自身についてもカッコいいと思ってもらえるようになりたいと思っています。

——カッコいい、ですか?

イ:女性の社会起業家でありCEOでもあるのでスーツやスカートを着たほうがいいとか、女性だからタバコをやめた方がいいとか言われることがあるんです。最初は反抗したくなったのですが、ただ単に反抗する姿はほかの女性の見本にはならないと思って。

意志があったりステレオタイプではない女性は「気が強そう」などネガティブなイメージを持たれがちですが、いつか皆にそういう女性たちをカッコいいと思ってもらえるように、まずは私がカッコいい女性になりたいんです。

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Just Projectでは出版活動も行っている。

* * *

Just Projectの商品はゴミを素材にしていることもあり、まったく同じ商品二度と作れない。だからイさんは、オンライン販売はせず、実店舗にこだわっている。店舗で商品を手に取ってみると、ゴミは次世代のすばらしい素材である、とすとんと腹に落ちる。

ゴミは捨てるものという固定概念、そして、女性たちに向けられる古いバイアスをなくそうと活動を続けるイさん。

Just Project の活動にこれからも期待したい。

写真提供/Just Project

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中村寛子
イギリス、スコットランドにて大学を卒業後、グローバルデジタルマーケティングカンファレンス、ad;tech/iMedia Summitを主催しているdmg::events Japan株式会社に入社し、6年間主にコンテンツプログラムの責任者として従事。2015年にmash-inc.設立。女性エンパワメントを軸にジェンダー、年齢、働き方、健康の問題など、まわりにある見えない障壁を多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かすダイバーシティ推進のビジネスカンファレンス「MASHING UP」を企画プロデュースし、2018年からカンファレンスを展開している。

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