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私たちが使った水と、オリンピックと。東京五輪をSDGs視点で考えてみた

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開催まで1年を切り、何かと話題にのぼる東京五輪ですが、最近こんなニュースを見かけました。「お台場の水質悪くスイム中止 パラトライアスロンW杯」というもの。

記事によると、2019年8月16日に実施された水質検査で、東京・お台場海浜公園のスイムコースの大腸菌の数値が、国際トライアスロン連合(ITU)が定める上限の2倍を超えたとのこと。

この会場では東京五輪・パラリンピックのテスト大会を兼ねたパラトライアスロンのワールドカップを開催中でしたが、翌日はスイムを中止してランとバイクのデュアスロンに変更。また、11日に行われた水泳オープンウォーターテスト大会では選手から悪臭の指摘もあったそうです。

私たちにできることは? 金・銀・銅メダルで表してみました

ニュースを目にして、選手を想って心が痛んだ方も多いのではないでしょうか。水のせいで競技が行えない、ベストパフォーマンスにつながらないなどの事態は回避したいですよね。

私たちが日々、家や仕事で使う水は浄化槽もしくは下水道から下水処理場を経たのちに川と海へ流れます。東京周辺に住む方々の場合、荒川・江戸川・多摩川・鶴見川などから東京湾に流れ出ます。

夏季五輪の実に30%の競技が水を直接利用しますが、オープンウォーターやトライアスロン、カヌーやヨットなどは川や海など自然の水を利用しています。当然選手の口にも入りますし、水中を泳ぐ訳ではないカヌー競技にとっても水中の藻やゴミがタイムを遅らせるなど、重大な影響を及ぼすそうです(※1)。

東京2020パラリンピック出場権を獲得しているパラカヌー選手の瀬立モニカさんも、水環境の改善を呼びかけています。

そこで今回は、私たちが日々の生活の中で、さきほどの記事にあったような海の悪臭や大腸菌の問題解決にどのように貢献できるか考えてみました。これらの行動を取ることによって、東京五輪だけでなく、SDG 6「水と衛生」はもちろん、ほかのSDGsにも貢献できます

それぞれの行動案を難易度に応じて金・銀・銅のメダルで表しました。あなたはいくつメダルを取れるでしょうか?

①節水する

私たちが使った水は下水に流れ、通常は下水処理場が受け入れてくれていますが、大雨が降って下水処理場のキャパシティを超えてしまうと、簡単な消毒のみなどで放流されてしまいます

大雨が降った時だけ節水するというのは難しいですが、普段から使う水の量を減らすよう心がけることで、下水処理場がキャパシティオーバーになるリスクを軽減することができるのです。節水によって上下水道料金も下がるので家計の助けにもなりますね!


※選択肢のなかから、いずれかの回答をクリックすると投票結果がすぐに表示されます。

②雨水を利用する

屋根に降った水は集められてそのまま側溝や下水道へ流される場合が多いですが、雨水タンクを設けていったん貯め、庭仕事や玄関周りの水掃除に利用する人が少しずつ増えてきました。雨水を使う分、これも上下水道料金の節約になります。

雨水を貯めておくことによって、災害などによる断水時や消火活動に役立つという利点もあります。最近はマンションやアパートのベランダに設置できる雨水タンクもあります。また、自治体によっては雨水タンクの設置に補助金を出してくれるところもあるので、調べてみるのはいかがでしょうか。


③庭や畑で植物を育てる

雨が表面を流れてしまう舗装された地面に比べると、土の地面は雨水を吸収します。さらに、一般的に植生が豊かであるほど雨水の吸収は高くなるといわれています

土がむき出しの地面がご自宅にある場合、植物を植えてみませんか? 駐車場などの舗装面を緑地に戻したり、コンクリート塀を生垣に戻したりするために補助金が出る自治体もありますよ


④家からなるべくきれいな水を流す

食後の汚れたお皿、つい面倒でそのまま食洗器へ入れてしまいたくなりますが、そこをひと手間かけて、(再生紙の)キッチンペーパーなどで拭くだけで、下水に流す水が少しきれいになります。捨てる予定の服やタオルなどを使えば、ごみの再利用にもなります。

下水に油を流してしまうと、下水管がコレステロールギトギトの血管のような状態になり、「静脈閉塞」や「静脈硬化」を起こしたり、悪臭のもとになったりします。下水処理場まで流れ着いた汚れも除去をするのに莫大なエネルギーと薬品を使いますし、大雨が降ってしまうと、その汚れがそのまま川や海へ流れ出てしまうのです。


⑤地元でつくられた有機野菜を食べる

日本は大量の肥料を使っている、世界でも有数の施肥(せひ)大国です。なんと、面積当たりの平均施肥量は窒素でOECDワースト3位、リンがワースト1位となっています。

撒かれた肥料がすべて土にとどまって野菜が大きくなるために消費されれば良いのですが、残念ながら半分以上(※2)は環境中に流出してしまいます。

これらが水に流れ出すと、水質汚染や富栄養化による藻の大量発生などにつながります。大気中に放出されるとオゾン層を破壊したり、温室効果ガスとなって温暖化の原因になったりします(※3)。もちろん、肥料だけでなく農薬も環境中に流れ出て様々な影響を及ぼします。

たとえば、農薬や肥料を一切使っていない石綿信之さんのキウイフルーツ。購入する野菜や果物を少し意識して選択するだけなら、すぐにでも始められそうですね。


今はメダルが取れなくても、簡単なところから始めてみるのはいかがでしょうか。選手たちがベストパフォーマンスを発揮できるように、私たち一人ひとりにもできることはたくさんあります!

東京五輪にも、SDGsにも、さらにその先の未来にも貢献できる、一石三鳥なライフスタイルを目指したいですね。

※1 UN Environment, GEO for Youth Asia Pacifichttps://www.unenvironment.org/events/publication-launch/global-environment-outlook-youth-asia-pacific

※2 http://www.japan-soil.net/BOOKLET/H23/H23_A4.pdf

※3 UN Environment, Frontiers 2018/19: Emerging Issues of Environmental Concernhttps://www.unenvironment.org/resources/frontiers-201819-emerging-issues-environmental-concern

SDGs: 6, 12, 13, 14公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)]Image via Shutterstock

いま、世界が「17の目標」に向かって進んでいるって知ってた?

話題のキーワード「SDGs」。 言葉の意味やなぜ取り組むのかなど、きほんの部分から紐解きます。

https://www.mashingup.jp/2019/06/iges_01.html

SDGsは遠い世界の話じゃない。私たちにできる具体的なこととは?

SDGs「17のゴール」の下には、さらに169のターゲット(具体的な目標)があります。私たち個人個人ができる具体的なこととは?

https://www.mashingup.jp/2019/07/iges_02.html

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武田智子
公益財団法人地球環境戦略研究機関 自然資源・生態系サービス領域研究員
水、防災、気候変動適応をはじめとする幅広いテーマを研究。国連防災戦略事務局(UNDRR)のジュネーブ本部・バンコク事務所・スバ事務所に所属し、仙台枠組の導入に貢献した経験を持つ。東京大学工学系研究科修了、タイの地下水におけるフッ素の研究が工学部長賞金賞を受賞。

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