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母だから諦めなきゃ、なんてない/椿奈緒子さん、荻野みどりさん、伊是名夏子さん

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母になると、一人で自由に活動できていたときとは違い、体力的にも時間的にも制限が出てきます。もちろん、それは母、父ともに親になったら当然のこと。でも、“母だから我慢しなきゃ”“母なのに好きなことをやろうとするなんてダメ”と、自分で自分にブレーキをかけていることのすべてが、本当に“諦めなきゃダメ”なことでしょうか

ここでは、さまざまな工夫によってさまざまなハードルを乗り越え、母であることと、自分のやりたいことを両立させ、夢を実現させようとしている人3名にインタビュー。三者三様の問題解決方法には、多くのヒントが詰まっています。

「母は新たなキャリアを望めない、なんてない。」YOLO JAPAN 取締役COO 椿奈緒子さん

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YOLO JAPAN 取締役COO 椿奈緒子さん。

「母になって、子育てをしながら仕事でトップランナーであり続けることはやっぱり難しいのかなって、正直思っていました」

そう話す椿奈緒子さん。総合商社での勤務を経て、株式会社サイバーエージェント、株式会社VOYAGE GROUPにて7つの会社や事業を立ち上げ。のち、2018年より外国人向けメディアを運営する株式会社YOLO JAPANの取締役COOとして活躍しています。そして、プライベートではブラジル人の夫との間に2人の子どもを抱えるママでもあります。

一時は「キャリアアップを頑張らなくていいのかも」と立ち止まる

「みんなめちゃくちゃ努力してキャリアを積み上げていくのに、子どもが生まれると仕事量が減るし、周りには“ママなんだから頑張らなくていいよ”と言われたりもして、重要な仕事のメンバーに選ばれなくなっていく。

やっぱり落ち込みましたが、そのうち、“子育ては人生に一度きりのことだから、今は仕事で思うような活躍ができなくても仕方がないのかもしれない”と思うように。それで、一旦ステップダウンしても仕方ないから、今できることを楽しもう、と開き直ったんです

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「子育てだって一度きり、今を楽しもう」と決めたら、毎朝のワンオペも貴重な時間に(パパは夜担当)。

そんな彼女が「母になったからこそできることをやるサードプレイスを」と、同年代のワーキングママ4人で2013年に立ち上げたのが、ワーキングママの多様なロールモデルをシェアするコミュニティ「パワーママプロジェクト」。

2016年に「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログポストが全国的に話題になるとワーママに対する風向きが変わり、このプロジェクトにも大きな注目が集まるようになります。「このとき、子どもを生むならキャリアは捨てるよね、みたいな日本の社会が、一気にワーママ応援ムードに転換したのです」と椿さんは言います。

母だからできることをしていたら、時代が動き始めた

「これをきっかけに、国会議員をはじめ、いろんな人と知り合ったことで、保育制度の拡充を求めるママたちの署名を政治の場に届けたり、内閣府のイベントで1000人の前で話をしたり、これまでの仕事の中ではできなかった体験ができるようになりました。

声を挙げれば国さえも動かすことができることを実感し、社会問題の解決に興味を持つようになったんです。それが、今のキャリアであるYOLO JAPANでの活動にも繋がっています

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女性によるビジネスプレゼンはいまだにレアケースなぶん、目立つのも事実。

発想の転換の先に、新しい世界が広がっている

椿さんは、出産や子育てと仕事の両立に悩むママたちに「ママであることは強みだと思って、発想の転換をしてみて」と呼びかけます。

「私は母になったからこそ、新しい世界がめちゃくちゃ広がり、キャリアの方向性も大きく転換しました。みなさんも自分がワーキングママであることを強みととらえて、そこを伸ばしていくような機会にしがみついてみてください。キーワードは自己肯定感! 無理せず、できることをやることが大事だと思います」

「母の授乳に良い悪い、なんてない。」 BROWN SUGAR 1ST. /Bonyu.lab社長 荻野みどりさん

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BROWN SUGAR 1ST. /Bonyu.lab社長 荻野みどりさん。

「わが子に食べさせたいかどうか」を基準に厳選したオーガニック食材を提供する株式会社ブラウンシュガー1STを設立した、荻野みどりさん。日本初の母乳成分分析サービス「Bonyu Check」を運営する株式会社Bonyu.labを立ち上げ、多彩な活動を展開しています。

彼女も2011年に娘を出産してしばらくは、“◯◯しなきゃ”に囚われていたといいます。

出張に行くのにも自己嫌悪を抱えていた

「そのひとつが、“母なんだからひとり旅してはいけない”というもの。専業主婦だった母から“お母さんは四六時中しっかり子どもに寄り添うべき!”と言われていたので、出張ですら自己嫌悪を抱えながら行っていました

でも、海外のお母さんたちが家族の協力を得ながら単身出張もして、しかも良好な親子関係を築いているのを見て、考えを改めたんです。実際、子育てからひとときでも離れる時間をもったほうが、子どものことも、母親としての自分のことも客観視できるようになりました。それまでは心にゆとりがなかったんだと思います」

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<左>旅先にて娘さんと。<右>仕事の仲間たちと。

わが子に関する全てを自分のせいに感じてしまう

荻野さんは「ママたちは、わが子に関する全ては母である自分のせい、と思いがち。だから、“◯◯しなきゃ!”と自分を追い詰めてしまうんです」と言います。

「母乳育児しなきゃ、絵本読み聞かせしなきゃ、運動させなきゃ……母である自分がいま手を抜いたら、強い体にならないかもしれない、頭が良くならないかもしれない、運動神経が悪い子になってしまうかもしれない。母たちは精神的にもすごく大変なんですよ

自身の経験から、山のようにあるお母さんたちの“◯◯しなきゃ!”的悩みの最たるものが母乳育児の悩みである、と感じていた彼女は、自宅で簡単に母乳の栄養状態を確認できる検査キット「Bonyu Check」を開発。ただ、そのなかで「母乳」と聞いただけで傷ついてしまうお母さんがたくさんいることを知ったそう。

母たちがオープンに話せる社会に

「妊娠後期には約9割のお母さんが母乳育児をしたいと思っているのに、産後に母乳育児できているのは3〜4割。母乳育児の良し悪しの前に、まずはみんなで母乳も、粉ミルクも、液体ミルクも、経管栄養も、全部立派な授乳の選択肢だよね、と話しはじめることが大切なんじゃないかと思ったんです」

授乳の多様性についてオープンに話し合う場を」と考えた彼女は、今年の「世界母乳の日」(8月1日)に、母乳・粉ミルクに限らず、またパパ・ママに限らずみんなで授乳するイベント「おっぱいフラッシュモブ」を開催。参加者たちからは「みんなと悩みを共有しながら話せて楽しかった!」と喜びの声が寄せられました。

一方、ネットニュースなどでは「授乳を人目にさらすな」と炎上。

「想定内の反応でしたが、 授乳は食事なのに、隠す意識がいまだに強いんだな、と改めて思いました。もっともっと、授乳についてオープンに議論できるような場を作っていきたいですね」と、荻野さんは意気込みを新たにしています。

「母乳のこともそうですが、辛く感じていることがあったら“なぜ◯◯しなきゃと思っているんだろう?”と掘り下げてみて。日本の子育ての常識も、違う文化の下では常識ではなかったりしますから」

「障がいあっては母になれない、なんてない。」コラムニスト 伊是名夏子さん

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コラムニストの伊是名夏子さん。撮影/佐藤健介

私にとっての“諦めなきゃ”は、妊娠・出産でした」と話すのは、コラムニストの伊是名夏子さん。骨形成不全症という病気で身長が100cmしかない彼女は、電動車椅子を使って生活しています。

諦めずに出産を応援してくれる医師を探し続けた

「婦人科検診では『あなたは診察台に座ることできない、だから内診はできない』と決めつけられ、問診だけで終わる医師もたくさんいました。生理がこなくても、まさかセックスしていないだろう、妊娠はしていないだろう、と検査すらしてくれない病院も。

でも、医師探しを諦めず、私の体をしっかり診て、『やれるところまでやってみましょう』と言ってくれる医師に出会ったことで、今では2人の子どもがいます」

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大きくなったお子さんたちと。撮影/佐藤健介

自分の思い込みが、自分を苦しめた

めでたく妊娠したときに立てた目標は、27週、1000g以上での出産。身長が100cmしかない伊是名さんにとって、正期産での出産は難しいからです。本やネットには参考にできるものがなかったため、伊是名さんは自分なりに試したり考えたり、また同じ障がいがあって出産経験のある人にアドバイスを求めたりしながら出産まで漕ぎつけたのだといいます。

ただ、無事に子どもが生まれてからは “母だから自分の時間がなくても仕方がない”、という思い込みに苦しめられた、とも。

「子供が欲しくて、ハイリスクでも生んだのだから、自分を大切にすることを諦めていたし、思いもつかなかったですね。美容室に行ったり、自分の服を買ったり、友だちとのお茶なんてもってのほか。大好きなドラマを見るのも我慢して家事や仕事を優先。自分の体力にも自信がなかったので、少しでも時間ができたら寝るようにしていました。

かといって、休むことにも罪悪感はあった。笑える時間も少なくなっていきました。子どもは可愛いのに、彼らの可愛さにどっぷりつかる気持ちの余裕がありませんでした」

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車椅子でお子さんたちとおでかけ。

そんな状況を打破するきっかけは、「どんどん体調を崩し、風邪をひいたり、肺炎やインフルエンザになったりして、自分の体を大事にしているつもりが、全然できていないと気づいた」から。

「心と体は繋がっているとわかったんです。休むだけじゃなく、もっと楽しまなくちゃいけない。そこで、意識的に自分の時間を作るようにしていきました。

時には家事が遅れても大丈夫、子どもに待っていてもらおう。夫に丸投げしても大丈夫。本を読んだり、自分の洋服を買ったり、朝に好きな紅茶を入れたり、友だちとお茶に出かけたりといった時間を少しずつ増やしていったんです」

今日も一日、私はよくやった

出産や子育てにまつわる“◯◯しなきゃ”“◯◯を諦めなきゃ”を、ひとつひとつ、自分の力で打破してきた伊是名さんは言います。

自分を大事にできるのは子どもでもパートナーでもなく、まずは自分です。時にはわがままだと思われたり、何もしていない、と思われてたりしてもいい。余裕があるときには意識して手を抜いて、自分を大事にしましょう! 手を抜くって、自分を大事にするって、結構難しいんですけどね。

そして寝る前に『今日も一日、意外と私、よくやったんじゃないかな』と自分を褒めながら、眠りにつきませんか? お母さんたちは本当によくやっていますよ! かっこいいです!

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友だちに会いにミャンマーへ。「おかあさんたちは、みんなかっこいい」。

* * *

“母だから◯◯しなきゃ ”という枠は、確かに存在します。それは、日本社会に根強く存在する既成概念だったり自分の設定した心理的な壁だったり。でも、そんな枠を取り払い、やりたいことを“母であっても”実現できる方法を編み出したり、“母だからこそ”やれることを見つけたりすることは、きっとできるはず。

そのためには、自分をニュートラルな状態に戻し、やりたいことを見つめ見つめ直す時間を意識して作ることが必要なのかもしれません。

今、「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、社会課題解決に取り組んできた株式会社LIFULLが、お母さんたちを含めた誰もが生きたいLIFEを実現できる社会を目指して、Twitter上でハッシュタグ投稿キャンペーンを行っています。

これは、Twitter上に「#しなきゃなんてない」のハッシュタグをつけて投稿されたツイートからLIFULLが社会課題を抽出。ステークホルダーと共に解決に向けて取り組むというもの。

あなたが思う「#しなきゃなんてない」をTwitterに投稿することで、どんな立場でも自分らしく生きられる未来に繋げていきませんか。

母だから諦めなきゃ、なんてない。ここから、ママたちが笑顔で軽やかに活躍する場が増えていくかもしれません。

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椿奈緒子(つばき・なおこ)さん
株式会社YOLO JAPAN 取締役COO。1979年千葉県生まれ。総合商社を経て株式会社サイバーエージェントに入社。広告営業を経てオンラインサンプリング事業「トライアルネット」の事業責任者となる。’05年にビジネスポータルサイトを運営するサイボウズ社との合弁会社cybozu.net株式会社を立ち上げ、代表取締役CEOに就任。その後、合計7つインターネットサービスの立ち上げを行う。’18年11月にYOLO JAPANにジョイン。「パワーママプロジェクト」共同代表。

荻野みどり(おぎの・みどり)さん
株式会社ブラウンシュガー1ST代表取締役社長/株式会社Bonyu.lab 代表取締役。1982年、福岡県で生まれる。2011年第1子を出産後、お菓子ブランド「ブラウンシュガーファースト」を創業、’13年に会社を設立し「有機エキストラバージンココナッツオイル」の販売を開始。‘18年に自宅で簡単に母乳の栄養状態を確認できるサービス「Bonyu Check」を提供する、株式会社Bonyu.labを創業。また、「8/1 #おっぱいの日」を運営する、あの手この手子育て実行委員会を主宰。

伊是名夏子(いぜな・なつこ)さん
コラムニスト。1982年、沖縄県で生まれる。神奈川県在住。骨が折れやすい障がい「骨形成不全症」のため、電動車いすを使用。身長100cm、体重20kg。パートナーと6歳、4歳の子どもの4人暮らし。家事や育児を10人のヘルパーと共に奮闘中。「助け合う」をテーマに、16歳から講演活動もしている。2019年5月、著書『ママは身長100cm』(ハフポストブックス/ディスカヴァー・トゥエンティワン)を上梓。

しなきゃなんてない、キャンペーン

sponsored by 株式会社LIFULL

文/山下紫陽、撮影/鈴木智哉(1枚目・伊是名夏子さん)

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