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温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることは可能? 地球温暖化のない世界に向けて、社会は動き出している

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2019年9月、ニューヨークで弱冠16歳のグレタ・トゥーンベリさんが行った演説は忘れられないものになりました。

次の10年、本気で地球温暖化のない世界に向けて行動を起こす。そういった時代の幕開けにふさわしい演説であったと思います。

2019年9月23日に国連本部で開かれた「気候行動サミット」で、グレタ・トゥーンベリさんが行った演説の様子(毎日新聞/Youtube)

温室効果ガスの排出を実質ゼロにするには?

2020年には地球温暖化問題に対応するための新たな国際枠組み「パリ協定」の実施が始まります。このパリ協定の2050年を見据えた長期的な目標にはこう書かれています。「今世紀後半、地球温暖化の要因となる温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」と。

つまり、今世紀後半には地球温暖化を引き起こす温室効果ガスが追加的に排出されない世界を創ろうとしているのです。

二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスは、私たちが暮らしの中で行う様々な活動によって排出されます。たとえば、発電にともなう、石油など化石燃料の燃焼。これは日本で最も排出量が多い活動のひとつです。

このほか、工業製品を作る過程、自動車の利用、家庭ゴミの処分プロセスからも温室効果ガスは発生します。これをゼロにしようというのですから、一個人の努力の積み重ねに加え、社会全体としての抜本的な変革が不可欠となるでしょう。発電の仕組みそのものを、化石燃料に頼らず再生可能エネルギーでまかなえる社会へ移行することなどが急がれます。

「排出量実質ゼロ」は、達成しなくてはならないこと

昨年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル/「Intergovernmental Panel on Climate Change」の略称)という世界の科学者グループは、社会の抜本的な変革を持ってすれば、将来、温室効果ガスの排出をゼロにすることは可能だという道筋を示しました。

同時に、その変革を遂げなければ、大量の二酸化炭素を大気に触れないように地中に埋蔵するという今日この時点でまだ確立されていない新技術に大幅に依存しなければならなくなることを明らかにしています。

パリ協定の下、いち早く国として自ら排出量実質ゼロを目指すと宣言した中米・コスタリカ政府の気候変動政策担当者は、こう言っています。

「排出量実質ゼロにするかどうかはもはや選択ではなくて、地球温暖化を食い止めるために皆が達成しなくてはならないこと。我々はその事実を目標に設定したまで」

今後、2050年を見据えて各国や自治体、企業などの各主体がどのような行動を取っていくのか。私たちが暮らす日本の行動を含め、COP関連のニュースなどに注目していきましょう。



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気候変動に関する政府間パネル(IPCC)「1.5℃特別報告書」, 公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)]Image via Getty Images

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梅宮知佐
IGES気候変動とエネルギー領域主任研究員。気候変動政策と途上国における国際協力の役割について研究を行う。早稲田大学大学院博士後期課程修了(博士号(人間科学))。国立環境研究所、タイ国カセサート大学などを経て2013年より現職。

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