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Conference:MASHING UP vol.3

世界中の少女たちを元気にするために。アスリートが見る国際協力の現場

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たとえ国や民族・部族、文化が違っても、人と人を結びつけるパワーを持つのがスポーツ。JICAには、そんなスポーツの力を誰よりも知る人材が集い、途上国で女性の社会進出支援など、あらゆる人々のより豊かな生活を目指す国際協力を行っています。

2019年11月7日・8日に開催されたビジネスカンファレンス「MASHING UP vol.3」には、プロテニスプレーヤーでJICAオフィシャルサポーター伊達公子さん、アメリカンフットボールの選手活動を引退後にJICAの青年海外協力隊に参加した浦 輝大さん、ジェンダー・セクシュアリティーの観点からスポーツを研究する野口亜弥さんが登壇。派遣先で見た忘れられない光景や、スポーツを通じた国際協力のあり方について、自身の経験をもとに語ってくれました。

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テニス界のレジェンド伊達公子さんが見た国際協力の現場

トークセッションの第1部には、1995年に世界ランキング4位を記録し、テニス界のレジェンドとして知られる伊達公子さんが登場。2度目の現役引退から2年、2019年の春には早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で修士号を取得し、次世代のテニスプレーヤーを育てるべくハード面の環境整備にも力を注いでいます。

伊達さんはまさに「チャレンジし続ける女性」。JICAの活動には2000年頃から参加し、ベトナム、ホンジュラス、モロッコ、マレーシア、モンゴルと世界各地を訪れてきました。

少女の言葉に衝撃を受けた

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2019年3月には、タイにある人身取引の被害に遭った女性を保護する施設を訪問。150人ほどの女性が生活を共にしながら心のケアや職業訓練を受けるこの「シェルター」には、JICAの技術協力プロジェクトによって、日本ならではの「被害者に寄り添うケア」が導入されています。

そして伊達さんがここで大変印象に残った言葉があったといいます。

「センターで暮らす女性の多くは10代の少女で、中には幼少時に親しい人に売られたという子どももいて、それぞれ心の傷を抱えていました。忘れられないのはタイマッサージの練習をしていた女の子の言葉。家族に売られたという彼女に『ここを卒業したら誰に一番最初にマッサージしてあげたい?』と聞いたら、『お父さん』と。傷つけられても家族に会いたい、家族のために何かしたいという思いで、ここでの時間を過ごしていることが伝わってきました」(伊達さん)

このシェルターでは、JICAの青年海外協力隊員も活動しており、被害女性たちの心のケアを行いながら、卒業後の社会復帰を支援しています。

また伊達さんは、同じくJICAの協力により日本式のメソッドが導入された施設を訪問。それは、高齢者介護施設。かつての日本をしのぐ勢いで高齢化が進んでいるタイでは、国による高齢者介護制度の構築が急がれており、JICAは長年にわたってこれを支援してきました。日本同様のケアマネジメントが導入された施設で、伊達さんが特に印象深かったのは「お年寄りの皆さんの笑顔」でした。

チャレンジは人間の欲求。自分のために一歩を踏み出して

テニスプレーヤーとして現役を退いた後、JICAオフィシャルサポーターとして途上国に赴き、また世界の違う側面も見えたという伊達さん。「日本の普通と世界の普通は違う」ことに気づかされたと話します。

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テニスプレーヤーでJICAオフィシャルサポーターの伊達さん。

「過酷な現実と向きあう人々を見て、生きていく上で大事なことは何なのか、人間の幸せとは何なのかを考えさせられました。キャリアを築くことも大切ですが、ほかの場所でも自分が必要とされることを見つけて、作って、行動すること。それができたとき、初めて自分のなかで満たされるものがあるのかもしれないと感じています」(伊達さん)

チャレンジは人間の欲求。年齢は関係ない」と語る伊達さん。そのチャレンジは目に見える成功や勝利のためではなく、自分のためのチャレンジでいい。“いまできること”から一歩を踏み出してほしいと、会場の参加者にエールを送りました。

MASHING UP vol.3

アスリートとして、女性として – 挑戦し続けることの価値

  • 伊達公子(テニスプレーヤー / JICAオフィシャルサポーター)
  • 聞き手:遠藤祐子(メディアジーン MASHING UP編集長 / メディアジーン執行役員)

スポーツを通して、誰もが生き生きできる社会へ

セッションの第2部に登場したのは、順天堂大学女性スポーツ研究センターの野口亜弥さんと、JICAの青年海外協力隊事務局で「スポーツと開発」を担当する浦 輝大さんです。野口さんはスウェーデンの元プロ女子サッカー選手、そして浦さんは32歳までアメリカンフットボールの選手として、厳しいプロの世界でしのぎを削ってきたアスリート。スポーツを通じた国際協力の可能性について、熱いトークを展開してくれました。

浦さんは現役引退後、アメリカンフットボール以上にワクワクすることを探していたときに青年海外協力隊に出会い、参加したのだそうです。

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JICA 青年海外協力隊事務局 「スポーツと開発」担当の浦さん。

「スポーツをしているとき、僕は人に優しくできませんでした。ポジションを獲得するために競い合い、チームメイトもライバルだった。それで、引退したら100%人に優しくしたいという思いがあって青年海外協力隊に参会しました。

でも、青年海外協力隊として初めてバヌアツに派遣されたときに現地の人に言われたのは、『日本人って人生ずーっと成長していかなきゃいけないんでしょ? それってユニークだよね』と。『毎日ずっと同じだといけないの? バヌアツでは毎日おなじ生活を続けられることが一番幸せなこと。日本では毎日成長しないと、誰かが困ったり、悲しんだりするの? ここでは成長しなくても誰も困らないのに』と言うんです」(浦さん)

スポーツの価値はどこにある?

それまで「人間は成長するもの」と考えていた浦さんは、はたと困ってしまったそう。浦さんの仕事は現地の教師に体育の指導法を教えることでしたが、「体育によって成長を促す」という考え方は、彼らには響きませんでした。

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「ボランティア泣かせというか、行った先の人が“困って”いなかった。考えてみれば途上国という言葉は、先進国の人が使っているだけ。彼らの人生や生活環境に問題があると決めつけ、先進国の幸せのモノサシで文化や価値観を押しつけるのは間違いだと気がつきました」(浦さん)

悩んだ浦さんは子どもたちと一緒に楽しもうと発想を転換。道具なしでできる簡単な運動や、組み体操、ハンカチ落としなどをやってみると彼らが夢中に。その姿を見て、教師も体育指導に関心を示してくれるようになったといいます。

「途上国ではよく『道具がないからできない』と言われますが、足りないのは道具ではなく自分自身のイマジネーションだと気がつきました。できないことができるようになると、子ども達はすごく喜んでくれる。その繰り返しが成功体験になり、人生を豊かにしてくれる、それがスポーツの価値だと思います」(浦さん)

サッカー選手として感じたジェンダー格差

「私もザンビアに行ったとき、同じことを言われました! 『何も道具がないけど、どうやってスポーツをしたらいいですか?』 って」と話すのは、野口さんです。

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順天堂大学女性スポーツ研究センターの野口さん。

3歳からサッカーを始め、筑波大学卒業後にアメリカに留学、その後スウェーデンのトップリーグでプレーした経験を持つ野口さん。引退後にアフリカ・サンビアのNGO団体に所属したことから、スポーツを通じて女性たちをエンパワーする活動に携わるようになりました。

「ザンビアの女性たちは意志が強く、女性がスポーツをする権利を自ら主張できていたことは新たな発見でした。そもそも私がジェンダー課題に関心を持つようになったのは、日本にいたころサッカー選手として男女の格差を感じてきたから。女子は男子と同じ環境ではサッカーができず、プロの道もありませんでした。でも留学先のアメリカや、プロになるという夢をあきらめきれずに渡ったスウェーデンでは、女性アスリートや女性コーチが男性と変わらず当たり前にリスペクトされていて、カルチャーショックを受けたんです」(野口さん)

社会課題の解決にスポーツを

スポーツ界に根強く残る男女格差には、スポーツの成り立ちも関係していると野口さん。

そもそも近代スポーツは、次世代リーダーを育てるためにイギリスで始まり、男性社会で広がっていったという背景があります。第1回オリンピックに女性は参加していませんでしたし、多くのスポーツでリーダーになるのは男性。予算配分も男性メインのスポーツが多い。そうした不平等性が存在します」(野口さん)

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野口さんの願いは、スポーツを通してジェンダーの格差を乗り越え、誰もが生き生きとやりたいことを追求できる社会をつくること

「たとえば、途上国の女性にHIVやエイズの予防、妊娠・出産のための知識、被害に立ち向かう方法を伝える手法にスポーツが活用できます。女性たちがスポーツにアクセスできる環境をつくり、スポーツイベントの一環としてライフスキルをシェアする場を設ければ、参加した女性たちの自信の向上にもつながり、女性たちだけでなく、そこに集まる地域の人々も含めて積極的に耳を傾けてくれるんです」(野口さん)

いまJICAは2020年のオリンピックイヤーに向けて、青年海外協力隊や連携するNGOなどを通じ、途上国と日本の架け橋となるさまざまな取り組みを進めています。

スポーツが社会課題の解決に貢献できる事を、オリンピックのホスト国である日本から発信することが大切だ」という浦さんの言葉に、大きく頷く野口さん。挑戦し続けるアスリートたちの視線は、スポーツが人と人をつなぐ未来へと向けられています。

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MASHING UP vol.3

スポーツから考える、ジェンダー平等
– 明日につながるスタートライン

  • 浦 輝大(JICA 青年海外協力隊事務局 「スポーツと開発」担当)
  • 野口亜弥(順天堂大学女性スポーツ研究センター 研究員)

撮影/c.h.lee 取材/田邉愛理

JICA

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