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- 私たちはシューズメーカーではない/Allbirds共同創業者・ジョーイ・ズウィリンジャーさん[後編]
環境に配慮したものづくりで世界中から注目されるシューズブランド「Allbirds(オールバーズ)」。そのコンセプトストアが、1月に東京・原宿にオープンした。
MASHING UPは来日した同社の共同CEO、ジョーイ・ズウィリンジャー氏に、そのビジネスについてインタビュー。
後編は、アメリカの『Time』誌が「世界一快適な靴」と評するほどの機能性とデザイン性、サスティナビリティを高い次元で融合させたシューズづくりについて深く聞いた。
>>サスティナブルなビジネスへの考えを聞いた前編はこちら
ジョーイ・ズウィリンジャー(Joey Zeillinger)氏/エンジニア兼再生可能エネルギーの専門家として、ゴールドマン・サックスやデロイトといったコンサルティング企業に勤務したのち、2016年、元サッカーニュージーランド代表のティム・ブラウン氏とともにシューズブランド「Allbirds」を立ち上げ。同社の共同CEOに。
「世界一の履き心地」の理由①:自然由来の最高級素材
——ハリウッドのセレブリティやシリコンバレーの人々が愛用し、またたく間に世界に人気が広がったAllbirdsのリアル店舗が日本で初めてオープンしました。改めてシューズの特徴を教えてください。
ジョーイ・ズウィリンジャー(以下、ジョーイ):私たちのビジネスは、この「Wool Runners(ウールランナー)」から始まりました。Wool Runnersは、ニュージーランド産の最高級のメリノウールを使用しています。
右がブランドのシグネチャーモデル「Wool Runners」。夏も冬も靴の中の温度を快適に保ち、さらに防臭効果もある。
メリノウールを素材にしたのは、シューズの快適性や履き心地を重視したからです。カシミアのように柔らかく滑らかで、寒い時は暖かく、暑い時は涼しくと、靴の中の温度を調節してくれます。また、防臭効果があるので、靴下なしで履けるのもいいところですね。
Wool Runnerを始め、今では、夏により心地よく履けるユーカリを主な素材とした「Tree(ツリー)シリーズ」や、防水効果が特徴の「Mizzle(ミズル)シリーズ」など、全9シリーズまでラインナップが増えました。シューズは全て、サトウキビ由来のカーボンネガティブなグリーンEVAソールを使っています。
「世界一の履き心地」の理由②:30回のバージョンアップ
この日、ジョーイ氏が履いていたのは「Wool Runner Mizzles(ウールランナー ミズル)」。
ジョーイ:ちなみに、現在販売しているWool Runnerは、初期のバージョンから30回以上改良して出来上がったものです。
前編に詳述していますが、ほかのシューズメーカーに比べてライナップが少ないのは、時間をかけて、納得するものづくりしているから。顧客のフィードバッグにきちんと向き合い、既存のシリーズのブラッシュアップを続けています。
ファッションは文化の多様化をキャッチアップすべき
——靴のデザインのコンセプトを教えてください。
ジョーイ:日本の美学でもある「ミニマリスト」を踏襲しています。縫い目が1カ所のみのワンシームで、派手なロゴがないところがそれですね。
——なぜ、デザインにミニマムの精神を取り入れようと?
ジョーイ:スマートフォンの登場で、世界中どこにいても仕事ができるようになり、文化がどんどんカジュアル化し、ライフスタイルも多様化していると思います。
この変化をファッションもキャッチアップしなくてはならない。つまり、服や靴も多様性を受け入れられるものでなければならないということです。
ビジネスシーンでも、友人との会食の時でも、あらゆる場面に履いていける。そんな靴には、ミニマムなスタイルがベストだと思います。
我々はシューズメーカーではなく「素材のイノベーター」
——素材について伺います。Allbirdsの靴は、環境に優しい素材で作られていると伺いました。
ジョーイ:その通りです。私たちが独自で開発した木と最高級のメリノウールから作った「Trino™(トリノ)」という繊維は、再生可能な素材です。また、靴のソールには、世界初のカーボンネガティブなグリーンEVAの 「SweetFoam™(スイートフォーム)」を採用しています。
中敷にはヒマシ油を使用。靴ひもはリサイクルのペットボトルが原料ですし、靴のパッケージは90%がリサイクル段ボールでできています。
Allbirdsは、靴のメーカーではなく環境に配慮した「素材のイノベーター」だと思っています。だから、靴の素材には細部までこだわり抜いているのです。
* * *
「孫に誇れる仕事を」を目標に、素材の選定、開発から製造工程、配送過程まで徹底的に環境に配慮しているAllbirds。消費者の手に届く価格設定を貫くために、販売では D2C(ダイレクト・トゥー・コンシューマー/他社を介さず、ECサイトや直営店など自社チャネルで販売する方式)の徹底を図っている。また、商品数は絞り込まれ、何度でもブラッシュアップが繰り返される。
環境によく、消費者に喜ばれ、持続可能なビジネスを実現するには、拡大よりも削ぎ落とし、フォーカスすることが重要なのではないだろうか。
素材のイノベーターが手がける「世界一快適な靴」を、ぜひ、この機会に試してみてほしい。
Allbirds
東京都渋谷区神宮前1-14-34・詳細
撮影/キム・アルム、取材・文/石上直美
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