1. Home
  2. Work
  3. アップルの幹部が語る「強い組織」とは/ディアドラ・オブライエンさんインタビュー

アップルの幹部が語る「強い組織」とは/ディアドラ・オブライエンさんインタビュー

640x480TOPサイズのコピー(5)

アップルの人事部門トップ兼リテール部門のシニアバイスプレジデントを務めるディアドラ・オブライエンさん(写真中央)。

2019年9月に開店した東京丸の内のアップルストアに続き、12月に川崎に新店舗がオープンしました。アップルの直営店では、ストアスタッフから情報を得ながら製品に触れることができるだけでなく、ワークショップなど様々な体験が可能です。

世界25か国で展開する500以上のアップルストアと、オンラインストアを統括するのがディアドラ・オブライエンさん。2017年よりアップルの人事部門のトップを務め、2019年2月からはリテール部門を統括するシニアバイスプレジデントも兼任しています。

オブライエンさんは大学を卒業後、1988年にアップルに入社。以来、30年以上にわたり同社に勤務しています。世界有数の企業として盤石な地位を築くまで、平坦ではない道のりを歩んできたアップル。同社で着実にキャリアを積み、幹部となったオブライエンさんにお話を伺いました。

ディアドラ・オブライエン(Deirdre O’Brien)さん
ミシガン州立大学卒業、サンノゼ州立大学でMBA取得。1988年にアップルに入社。ワールドワイドセールス&オペレーション担当バイスプレジデントを経て、2017年に人事部門のトップに就任。現在人事とリテールの両部門においてティム・クックCEO直属のシニアバイスプレジデントを兼任。

危機を乗り越え生まれた数々のヒット

ディアドラ1

良いサービスを提供するために、重視するのは「人」という。

入社当時はパーソナル・コンピュータ「マッキントッシュ」を製造する工場で、スケジュール管理の仕事に携わっていたというオブライエンさん。製品が消費者に届けられるまでの流れを間近で見ることができたのが良い経験になったと言います。

オブライエンさんがこれまでで一番大変だったと記憶するのは、アップルが危機に立たされていた90年代半ば。マイクロソフトのWindows95が市場を席巻していたこの時代、マッキントッシュの熱心なファンはいたものの、アップルの業績は低迷していました。

1997年に創業者のスティーブ・ジョブズが復帰し、翌年には現CEOのティム・クックがオペレーション担当として就任。そこから徐々にアップルの巻き返しが始まります。

困難な時代に、多くのことを学んだ

「多くの人に存続を危ぶまれていましたし、社員の間でも、もうダメかもしれないという思いがよぎることがありました。そうした難しい局面にこそ、集中力とチームワークが求められます。それにはまず目標設定が重要です。

スティーブやティムを始めとする当時の上層部が明確な戦略を描き出し、全社をあげてそれを忠実に遂行していきました。そしてiMacやiPodのような素晴らしい製品を世に問うことができました。

あの時期に本当に多くのことを学びました。困難な状況でもベストを尽くせば道は開けると、自信をつけることができたのです」

トップとして重視するのは「人」

640x430-2020-01-06T154842.904

2019年秋にオープンしたメキシコシティの新店舗で、スタッフたちと。

カラフルなiMacや携帯音楽プレーヤーのiPodなど、斬新な製品を次々と発売していた同じ頃、アップルは直販を開始。90年代末にオンラインストアを、2001年からは直営店を次々に開設していきます。

「アップルは常に顧客との関係を大切にしてきました。直営店を通じて顧客とダイレクトに関わることが、アップルのストーリーを共有してもらうために一番の方法だと考えたのです」

アップルストアに足を運んだ人に良い体験を提供するには、スタッフの育成がカギとなります。そのため、人事だけでなくリテール部門においても、トップとして最重要視するのが「人」だというオブライエンさん。

自身も周りのサポートがあったからこそステップアップすることができたと振り返ります。

責任を与えられたからこそ成長できた

「入社した時から歓迎されていると感じました。それぞれ違うバックグラウンドや経験を持った人が、独自の視点を活かせる土壌があったんです」

当時から多様性の重要性を認識し、インクルーシブな組織づくりに取り組んでいたというアップル。そんな環境だったからこそ、若い女性としてのびのび仕事をし、自分も会社に貢献できると信じられたとのこと。難しい課題に取り組むチャンスを与えてくれ、支援してくれる。そうした環境が成長を促してくれたとオブライエンさんは語ります。

「自分には無理なのでは、という仕事を任されたことが何度もありました。そんなときも、上司や周りの人々は私の可能性を信じてくれました。要所要所で手を差し伸べ、仕事をやり遂げられるようサポートしてくれたのです」

強い組織を作るために必要なこと

640x430-2020-01-06T153226.469

アップルストア丸の内で開かれた小学生向けプログラミングセッションで。

アップルのように危機を乗り越えられる強い組織を作るには何が必要なのでしょう? オブライエンさんが挙げたのは次のようなことです。

まずは、社会においてどんな価値を生み出すのかという、組織の「存在意義」を明確化すること。そしてチームワークを強化するために役割分担をはっきりさせること。スポーツチームやオーケストラのように、各々が自分の持ち場でベストを尽くせば良い結果につながる。コラボレーションを大切にすること。

限界に挑んで仕事をしていれば、当然ミスをしてしまうこともあります。しかし、オブライエンさんは失敗こそ一番の勉強の機会だと捉えます。

「どこでどう間違ったのか、みんなで分析し、改善点を探り、すぐに対処します。これはチーム強化とメンバーのモチベーションを高めるうえでも大切な作業です」

自分の力を信じてほしい

女性の管理職が極端に少ないことが指摘される日本。能力はあっても、自信のなさから昇進の機会を逃してしまう女性も多いと言われています。

そんな女性たちに向けてオブライエンさんは、次のような言葉を贈ります。

「自分がどこまでやれるか分からないのはある意味当然です。最初は分からなくても大丈夫。自分が思っている以上のことができるはずですし、失敗しても、そこから学べばいいんです。経験を通して今の自分を超えていくことができます。

サポート・システムを確保することも大事ですね。同僚や友人など、助言を与えてくれ、キャリアを進めていく上で支えになってくれる人たちと良い関係を築いてください。

そしてなによりも、自分の可能性を信じてください

写真提供/アップルジャパン

  • facebook
  • twitter
  • hatena
野澤朋代

    おすすめ

    powered byCXENSE

    メールマガジンにご登録いただくと、 MASHING UPの新着記事や最新のイベント情報をお送りします。

    また、登録者限定の情報やイベントや座談会などの先行予約のチャンスも。

    MASHING UPの最新情報をご希望の方はぜひご登録ください。