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わずか2年半で受講者1万人超え。キャリアスクール「SHElikes」がバズった理由/SHE株式会社 福田恵里さん

2019年3月、世界の女性起業家のためのビジネスコンペティション「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ」で、日本初のファイナリストが誕生しました。

2,900組の応募のなかから選出されたのは、ミレニアル女性の"私らしい働き方"を叶えるSHElikes(シーライクス)を展開する、SHE株式会社。共同創業者・取締役CCOでSHElikesの代表を務める福田恵里さんに、SHElikesのこれまでと未来への展望を伺いました。

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福田恵里さん
1990年生まれ。大阪大学在学中、米国・韓国に留学。帰国後、ウェブデザイナーとして制作会社でインターンをする傍ら、初心者の女性限定のウェブデザインスクール「Design Girls」を立ち上げる。2015年リクルートホールディングスに新卒入社。ゼクシィやリクナビのアプリのUXデザインを担当。2017年4月にSHE株式会社を設立。同社では取締役CCOとしてSHElikesの代表を務める。TwitterInstagram

SHElikesのサービスは「ライフコーチング」から始まる

「自分らしい働き方、生き方が分からない」。女性の社会進出が少しずつ進んでいくなかで、ロールモデルが見つからずにキャリアに悩むミレニアル世代の女性たち。SHElikesは、そんな女性のために、クリエイティブ系のスキルやビジネススキルのレッスン、目標達成のためのコーチングを提供してきた定額制キャリアスクールです。

「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」というビジョンのもと誕生した学びの場は、2017年の創業からわずか2年で世界的な注目を集めるサービスへと成長しました。

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「創業当時『The Wing(ザ・ウィング)』というニューヨーク発祥の"女性専用コワーキングスペース"といったものが世に出てきていて、『日本にも様々なバックグラウンドを持った女性が集まり、共創できるような場を作りたい』と思ったのが出発点でした。でも、その頃の日本にはまだフリーランスやリモートワーク、複業などといった自由な働き方が浸透していなかったので、ただのコワーキングスペースではなくもう少しソフトの部分、レッスンやイベントを拡充していきたいと。それが現在のビジネスの原型になりました。

今のSHElikesは、ミレニアル女性のためのキャリア&ライフコーチングスクールという形で事業を展開しています。大切にしているのは、ユーザーの理想のキャリア、ありたい姿を明確化して、そこに向けてのアクションをブレイクダウンしながら一緒に考えていくライフコーチング。スキルを装着するためのレッスンはオンラインで、交流をしたりモチベーションを高めたりするのはオフラインで、というようにオンライン×オフラインのハイブリッド型で提供しています」

スキル装着だけじゃない、人生の伴走者であるためのリブランディング

スタート時は表参道の拠点を舞台に、Webデザイン、ライティング、広報・PR、起業家/事業家開発コース、動画クリエイトコースなどの"超実践的"なレッスンを開く一方で、授業の息抜きにスイーツやヨガを楽しめる"ゆるふわ・スパルタ"方式が話題になった同サービス。

今年の春から夏にかけてコーポレートアイデンティティのリブランディングを行い、"ゆるふわ"色を減らす方向に変化してきたといいます。

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「受講者が1万人を超えてくるなかで、SHElikesに来れば簡単に理想の自分になれる、受け身でいても仕事が見つかるというような考えの人が少し増えてきているなという危機感があって。でも、本当に自分のやりたいことを叶えるためには努力や時間を捻出する姿勢といったマインドの部分が一番重要ですよね。SHElikesはあくまでサポートのためのツールであり場所なので、それをユーザーと私たち全員で共有したいと思ったことがリブランディングした理由のひとつです。

もうひとつは、今まで"スキルを装着する"スクールと見られることが多かったのですが、もっと大きな生き方の部分で、人生をかけて理想の自分を見つけようとしている女性の伴走者でありたいと思ったから。『もうアラサーだから、新しい仕事を始めるのは無理』とか、『スキルがないからフリーにはなれない』とか、私たちにかけられている外圧、固定概念、呪いみたいな……そういうところからユーザーを解放することが、私たちの新たなミッションになるのではないかと思ったんです」

単なるキャリアスクールではなく、女性達を固定概念から解き放つ"リリースパートナー"でありたい。そうしたスタンスの変化には、「カルティエ ウーマンズ イニシアチブ」での経験も影響しているのだとか。日本初のファイナリストに選ばれて、「生意気かもしれないけれど、国内のみにとどまらず、世界規模の視座でミレニアルの課題を解決していく会社でありたい」という熱が、SHElikesに関わるメンバー全員に生まれたと福田さんは話します。

オンラインでも講座を受けられるようにアップデート

2019年の秋以降、これまでの表参道拠点に通ってもらうスタイルから、オンラインでも講座を受けることができるモデルに体制をアップデートしたことも大きな変化のひとつと福田さん。

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「ユーザーが増えるに従い、平日の夜は子どもを置いてこれないというママさんや、土日ではなく平日が休みで、平日の昼間に授業を受けたい方、地方在住だけれど授業を受けたいという方からのご要望をたくさんいただくようになりました。時間や場所にとらわれず、地方にお住まいの方はもちろん、ゆくゆくは世界規模でサービスを提供していきたい。そのためにはオンラインの充実が必要です。

ただすべてをオンラインにしてしまうと、SHElikesが今まで評価していただいてきた同世代間のつながりや、それでモチベーションが担保されるという利点を失ってしまいます。そうならないように、オンラインとオフラインをうまく組み合わせていきたいと考えています」

今後のSHElikesのキーワードは「熱狂コミュニティ&超実践スクール」。2019年10月からWEBデザインやライティング、動画制作などの13コースを、PCやスマホ・iPadで受講可能なオンラインコンテンツとしてリニューアルしたそう。

さらに2020年2月には、銀座に新拠点をオープン予定。運営側のメンバーだけでなく、SHElikesを応援してくれる人たちとみんなでつくっていきたいという思いからアタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake(マクアケ)で行ったプロジェクトには、目標額2,000,000円を大きく超えて13,048,120円(2019年12月16日現在)が集まり、歴代のコミュニティサービス調達額で日本一を記録しました。

福田さんによると、Makuakeのプロジェクトには女性だけでなく、男性からの支援や共感が多く寄せられたそう。

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「ご自分の奥様や妹さんに体験チケットをプレゼントしたいという男性もいて、『イケメンすぎる!』と社内でも話題になりました。銀座拠点のコンセプトは"MAKE GRADATION"。SHElikesを通して新しい自分に出会えたり、一緒に頑張れる仲間に出会えたり。自分が変わり、それぞれが人生のグラデーションを濃くしながら共に成長しあえる空間にできたらと思っています」

リスキーな挑戦ができたのは「マストだと腹落ちして思えたから」

SHElikesの講座は、活躍している同世代のプロがレッスン講師を担当しています。同世代だからこそ「近い将来、頑張れば自分もこんなふうになれるかも」と目標設定しやすく、モチベーションも上がりそうです。

また、すべてのコースが受けられる受け放題プランもあるので、自分が何をやりたいかがわからないときは、お試しで全部つまみ食いしてみるのもおすすめとのこと。無料で実施している体験レッスンでは、一人ひとりの理想のキャリアをヒアリングして、その人に合ったコースをレコメンドしています。

ミレニアル女性の世界観を大切にするSHElikesは、"キラキラした"と形容されることもしばしば。しかし内情は泥臭く、理想とのギャップをどう埋めるか、苦労の連続だと福田さんは語ります。

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「ビジネス立ち上げから固定費のかかる拠点を作るという選択はリスキーだといわれましたが、ユーザーが刺激を受けられる場を作るためにはオフラインの拠点が絶対に必要でした。怖くても一歩を踏み出せたのは、自分たちが達成したい世界観から逆算して考えたときに、それがマストだと腹落ちして思えたから

会員様の声を反映しきれないサービス変更などで厳しい声をいただく機会もあり、まだまだ全ての方のニーズを満たしきれていないと実感することもあります。より一層、会員様の声ひとつひとつと向き合い、アクションをとり続けていきたいです。個人的にも来年には出産予定なので、ライフスタイルが大きく変わると思いますが、そこでの新しい体験もサービス提供や会社経営に生かしていければと考えています。

迷ったときは、まずやってみる! 失敗すれば数ある選択肢の中から消去法でアクションを絞って成功に近づけるからから、私にとって失敗は価値。一歩を踏み出せずに不安を感じている同世代には、まずは少しでも自分がワクワクすること、自分の心の琴線に触れることを臆せずやってみてほしいと伝えたいですね」

SHElikes

撮影/中山実華

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田邉愛理
ライター。学習院大学卒業後、センチュリーミュージアム学芸員、美術展音声ガイドの制作を経て独立。40代を迎えてヘルスケアとソーシャルグッドの重要性に目覚め、ライフスタイル、アート、SDGsの取り組みなど幅広いジャンルでインタビュー記事や書籍の紹介などを手がける。

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