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Conference:MASHING UP vol.3

石破茂さん、福山哲郎さんが語る「政治とマイノリティ」の関係性

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女性国会議員の比率が10%という先進国最低水準の日本。しかし、前回の参議院選挙では女性候補の割合が過去最高となり、さまざまなマイノリティを代表する候補も見られるようになった。

2019年11月7日・8日のMASHING UPカンファレンスvol.3では、朝日新聞編集委員の秋山訓子さんをモデレーターに迎え、防衛大臣や地方創生大臣を歴任した衆議院議員の石破茂さん立憲民主党幹事長の福山哲郎さんが登壇。多様化する社会が、政治をどのように変えているのか議論してもらった。

「政治とマイノリティ」の関係性

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そもそもマイノリティと政治には、どんな関係性があるのか。石破さんはこう指摘する。

「民主主義が機能するためには3つの条件があります。1つはできるだけ多くの人に参加してもらうこと。2つ目は偏りなくちゃんとした情報を持つこと。そして3つ目が、少数意見を尊重することです。“多数だから正しい”なんてことをしていたら、民主主義は壊れてしまいます」(石破さん)

一方、福山さんが幹事長を務める立憲民主党では、障害のある人やLGBT当事者が安心して暮らせるための法整備を基本政策に掲げている。

「社会の中では女性もマイノリティなのかもしれません。マジョリティの人たちはマイノリティの人たちを意識して排除しているのか、それとも関心がないのか、自動的に社会から排除されているのか、難しいところです。たとえ今は自分がマジョリティでも、いつでもマイノリティになる可能性がある。そういう意識の中で政治とマイノリティの問題に取り組んでいくことが大切だと思っています」(福山さん)

「管理職になりたくない」女性は85%

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衆議院議員 石破茂さん

日本の国会議員では、衆議院に1割、参議院に3割にしか満たない女性議員はマイノリティだ。これについては、「日本の男性は全体の48%なのに対し、女性は52%。それなら、代表も同じ数だけいなきゃおかしいですし、目指すべきだと思っています」と石破さん。

「政治家になんかなりたくないという女性も多いでしょう。世論調査では、20代、30代で『管理職になりたくない』という女性は85%。同世代の男性では54%から55%が管理職になりたくないと言っています。これは、イギリスやアメリカと比べて割合が圧倒的に低い。これはきちんと見極めて解消していなかないといけない問題です。管理職なると責任重い、キツイよね、ということではなく、管理職になったら自分で人生設計できるよ、自由な時間ができるよ、という社会にしていくべきだと思っています」(石破さん)

現代は女性が政治に参加するべき「歴史の転換期」

日本の人口は今後80年で半分になると予測されている。そこまで待たなくても、「20年後の2040年にはおそらく1500万人ぐらい減っている」と石破さん。その頃には高齢化率もピークで、社会が維持できなくなる恐れがある。介護も年金も医療も、もらう人ばかりで払う人がいなくなる。

「それをなんとかしようと思えば、一人ひとりが豊かになって、個人消費を伸ばしていくしかない。そのためには、日本女性が持っている高い能力を生かす社会にしなければいけないのです。この国の73%のGDPは男性が稼いでいます。経済がすべてだというわけではないですが、それを維持しないと社会が成り立たないのです。

おそらく今の日本は100年に一度の歴史の転換点です。社会の仕組みそのものを変えるときには男性だけが集まっていてはダメで、女性の政治参加が必要です。前提として、まずは女性が結婚しやすくて、働きやすくて、子育てしやすくないと、そういう社会は作れません。夫婦が2人目、3人目を作る比率は、男性が掃除・洗濯・育児をする時間ときれいに比率するのです。いろんな価値観を生かすために、どう社会を設計していったらいいか。それを考えるために、女性に政治に参加してもらわないと困るのです」(石破さん)

マイノリティの政治参加が社会の「気づき」に

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立憲民主党幹事長 福山哲郎さん

立憲民主党では、新しい価値観を取り入れるために「ジェンダー平等推進本部」を作り、女性議員を半数立候補させる「パリテ・ナウ」という活動に取り組んでいる。2019年の参議院議員選挙では、過去にMASHING UPにも参加した弁護士の亀石倫子さんやLGBT当事者の増原ひろこさんをはじめ、障害を持つ人や性暴力被害の当事者などが立候補した。

「党の力不足もあり、残念ながら結果は落選でしたが、『そういう人たちが選挙に出てどうなるの?』という偏見や差別みたいなものを選挙中に体験しました。政治というのは、問題を可視化するという点でも、非常に重要な役割を担っていると思っています。どんどん布石を打つことで、次の時代が来る。そのために、今年は女性の候補者を45%立てました。半分近くが当事者の方です」(福山さん)

また、党の職員を募集したところ、LGBTの当事者から多数の応募があったという。「立憲民主党はLGBTにポジティブだということが浸透しています。裏返しに言えば、LGBT当事者には働きにくい職場がたくさんあるということです。こうしたチャレンジをいくつもすることで、お互いの気づきになり、皆が共生しやすい世界になればいいなと思います」と福山さん。もちろん、選挙でも挑戦は続けていく予定だ。

「できるだけ当事者の方たちに出てきてもらって、政治の場に押し上げていくことが重要だと思っています」(福山さん)

分断のない、誰もが生きがいを持てる社会に

自民党では、マイノリティと政治の問題に重点的に取り組む動きは多くはない。だが、「まじめに考えている人はいます」と石破さん。

「私はユニバーサル社会推進議員連盟の会長なのですが、LGBTの方も障害をお持ちの方も皆、同じように社会に参画できて、生きがいを持てる世の中を作ることが政治の役割です。すごく好きな話があって、私は行ったことはないのですが、東京ディズニーシーでは障がい者割引は一切しない。それは、障がいを持つ方も十分に楽しめるように作っているからだというのです。そういう社会を作ることが政治の仕事であって、自民党とか立憲民主党とかいう問題ではありません。そもそもそういう分断社会をやめませんか、ということを広めていきたいと思っています」(石破さん)

地域で子どもを育てる「地方の価値観」も広めたい

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朝日新聞編集委員 秋山訓子さん

東京に対する地方も、マイノリティだ。新たな地方と政治の関係を、地方の専門家といえる石破さんに聞いた。

「東京は、食料もエネルギーも作らない、結婚率が全国最高でありながら、出生率は全国最低の街。その東京にどんどん人が集まることは、社会としてサスティナブルなのでしょうか?地方は、食料を作り、エネルギーを作リ、出生率が高い。これから東京の高齢化は世界最高のスピードで進み、社会保障は維持できなくなるでしょう。一方で、地方はどんどん人が減ります。

3.11のとき、『並んでも物が買えない社会って何なの?』と気づいた人は女性が圧倒的に多かったのです。これをきっかけに地方に移住した女性はとても多い。福岡にうきは市というところがあるのですが、若い女性が何人かで移住した。そして赤ちゃんが生まれると、『何年かぶりに赤ちゃんが生まれたよね』ということで、皆が大切にしてくれたそうです。そういう、地方の価値観にもより多くの人に気づいてほしいと思います」(石破さん)

一人の母親が社会を変えた

さまざまな議論が交わされた中で、ずばり、マイノリティは政治を変えられるのか。福山さんが例を出して答えてくれた。

「私が議員になりたての頃、30歳くらいの女性が赤ちゃんを抱っこして私のところに来てくれました。そして、『子どものおもちゃはプラスチック製ですが、赤ん坊なのでベロベロ舐めます。調べてみたら、実はプラスチックの中に入っている中にある成分は、ヨーロッパではすでに使用禁止の成分でした。どうにかなりませんか?』というのです。自分が調べたことをびっしりと書いたノートも渡されました。

その1年後には、フタル酸エステルのプラスチックはおもちゃへの使用を禁止するという法律を超党派で作ることができました。たった一人の女性の気づきが、日本全国の子育て中の親と子どもの安心に変わった瞬間です。この経験は私の政治家としての原点に近いものです。一人からでも変えられる。ということは、マイノリティからだって当然変えられるはずです。

選択的夫婦別姓も、僕が選挙に出た22年前なら『アホか』と言われて終わるような話でした。ところが今では、選択的夫婦別姓をしたいという人が増えています。マイノリティの声にマジョリティが反応して、全体になることはいくらでもあります。僕はそこに政治家の醍醐味があると考えています」(福山さん)

「マイノリティ」という言葉自体が分断を生む

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質疑応答では「マイノリティという言葉自体が分断を生んでいるのでは」という意見も。これには石破さんも「まったく同感です。メジャー・マイナーみたいな言い方、やめましょうよ。今の時代、一つの価値観で社会を覆っているとサスティナブルとはいえません。いろんな個性を最大限に生かし、ハーモナイズさせていかないとこれからの社会は成り立ちません」と共感しきりだった。

与党と野党、政治と非政治を分断していては、社会は変わらない。単に「選挙に勝つか負けるか」という話を超えた、意義深い議論となった。

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MASHING UP vol.3

マイノリティが政治を変える

撮影/TAWARA(magNese)


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中島理恵
ライター・エディター。埼玉県出身、広島県在住。編集プロダクション、出版社勤務を経てフリーランスへ。旅、食、建築、インテリア、ビジネス、育児、動物など多岐にわたる記事の執筆・編集、翻訳などを手がける。3児の母。

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